大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

DXアニュアルレポート2024

バリューチェーンのデジタル化

BIMによる事業DXの実現に向けて

住宅系 設計・施工管理・施工作業

住宅系事業における取り組みの全体像

住宅系事業では、BIMデータを顧客情報およびものづくり情報と一元化することで、BIMデータの高度活用と競争優位性の確立を目指しています。BIM導入前は、仕様データとCADデータとの整合性をとるために「同期処理」が必要でしたが、現在はBIM対応の3次元CAD(Revit)をベースに3Dモデルと仕様データを統合したBIMデータとして運用活用しています。

BIMの運用により設計情報のフロントローディングが進み、設計技術者の作業負荷増加が問題となっていますが、プレゼン系のCADツールの導入することで、設計作業の前捌きが可能な環境とし、設計技術者の負荷軽減と運用効率化を実現しています。

図1:バリューチェーンのデジタル化 5年後に目指す姿

住宅系事業における昨今の主な取り組み

戸建住宅事業

戸建住宅の取り組みとして、ビッグデータ(過去契約データ)を活用した売れ筋要素を盛り込んだ「ファストプラン」の運用を開始しました。過去に契約していただいたお客さまが実際に建築されたプランを分析し、売れ筋要素を盛り込んだプランを作成。そのプランをハイクオリティパース(図2)やWebVR(パノラマ)・感動動画でプレゼンテーションできます。これらを初期提案で活用することで、プラン合意までの時間短縮や初期段階での提案差異化を図り、決定率の向上および契約拡大につなげることを目的としています。

契約後は、このデータをRevitに連動することで、DiMAS-Jの入力作業低減とデータ精度の確保を図ります。また、カラーシミュレーションやDIGボード(*3)への自動連携を行い、お客さまとの色決め作業が飛躍的に効率化できます。(図3)

(*3)DIGボード:内装を主とした顧客提案ボード(DIG:ダイワハウス・インテリア・ガイド)

図2:ハイクオリティパース(内観)の例

図3:業務の流れとシステムフロー

集合住宅事業

集合住宅では、BIMデータを作成する為のCAD関連ツール展開を終え、BIMデータを活用する事による業務の効率化や新たな付加価値の創造に取り組んでいます。モノづくりの工程に応じてBIMモデルの粒度を粗→密に上げていくことで、効率的に精度の高いBIMデータを作成し、設計工程だけではなく施工やCSなどの業務においてもBIMデータを活用することを目指しています。

図4:Revitの情報付加イメージ

戸建住宅事業・集合住宅事業

D’s BIMでは、構造設計にて配置した柱・梁などの主要部材を、3D空間上に配置させたうえで各部材の接合状態を把握します。そして、商品開発段階で設計したルールに従って結合するための部材を発生させ、主要部材と統合することで部品を生成する仕組み(3D自動部品生成)を考案し、実現させています。これにより、管理品目点数が大幅に削減できるだけではなく、別注品の削減にも寄与します。(図5)

また、鉄骨部品と企画設計情報の重ね合わせが仮想3次元空間上でできるため、さまざまな干渉チェックが可能になります。

図5:3Dによる一棟組上げシミュレーション

住宅系事業における効果、今後の展開

戸建住宅事業

  1. プレゼンCADの機能充実を行いさらなる業務効率化を進めます。
  2. Revit導入展開をさらに進め設計作業の軽減を図ります。
  3. BIMデータの活用と自動化促進による作業の省力化を進めます。
  4. 点で展開していたツールを線でつなぎ、かつ蓄積したデータを活用していくことで、BIMを活用したさまざまな戦略を実施することを可能にしていきます。(図6)

図6:BIMにおける既存展開ツールの位置付け

集合住宅事業

  1. BIMデータ作成の効率化に取り組み、設計の更なる効率化を目指します。
  2. BIMモデルを使ったシミュレーションなど、新しい技術へのチャレンジを行います。
  3. BIMモデルデータをより広い領域で活用する為のデータ基盤の構築に取り組みます。
  4. 社内外問わずデータ活用できる環境の構築に取り組みます。

スマート技術者および建設作業受持者の働き方改革

住宅系施工

当社では、住宅系事業本部において施工担当者全員にスマートフォン等を配布し、2021年5月より施工現場のスマートコントロール環境の整備を進め、施工現場での定点カメラ(「D-Camera」)の全棟設置、「物件ポータルサイト」による施工現場ごとの情報一元化・関係者間共有、「ダッシュボード」による過去物件を含む複数現場の見える化・分析を行って、技術者の生産性向上の取り組みを行っています。(図7)
これらの取り組みによって技術者の移動時間削減や休日の確保だけではなく、業務の効率化によって創出された時間を使って、品質向上に向けた業務やお客様との打合せの時間確保にもつながっています。(動画2)
また本社の技術部門にモニターを配置し、災害時には指令拠点として実際に施工現場を確認しながら迅速に的確な指示を出すことが可能となっています。

さらにこれまで施工店の自主検査記録写真については、基準に適合しない検査結果が発生した場合、再施工を行うための部材調達や工程調整などの複雑な業務に追われるため、施工管理担当者と作業従事者は、タイムリーな基準適合判定と、再施工による工程遅延や失敗コストの発生リスク抑制が課題となってました。 そこで写真撮影のナビゲーション機能やAIによる写真の合否判定のシステムを導入し、同時進行する複数の施工現場管理をスムーズに行うことができるようになりました。(動画3)

今後も2024年の「働き方改革関連法」の適用に対する技術者の働き方改革の実現と、お客様満足向上の両立を目指して取り組みを進めていきます。

図7:スマートコントロール環境の概要

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