大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

DXアニュアルレポート2024

DX推進を支える組織体制

スポーツクラブNAS

目的、ビジョン

スポーツクラブNASでは、デジタル化で「業務の省力・省人化」、DXで「マーケティング改革」を推進します。

当社ではお客さまとの各種手続きや情報管理の多くを書面で行っています。サービスが多様化するなか、それら手続きの種類と量は年々増加傾向にあり、個人情報など重要な情報が記載された書面の管理にも多くの時間を要し、従業員の業務を圧迫しています。また、社内の各種申請も書面での記入・捺印が多く従業員の負担となっていました。デジタル化の目的は、それら定型業務の省力・省人化を図り、そこから生まれる時間や余力をお客さまへのサービスにさらに充当し、顧客満足度を高めることにあります。

次にDXについて。会員制であるスポーツクラブでは、いかに多くの方に入会いただき、利用を継続していただけるかがビジネスの肝となっています。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や小型ジムの急増により、マーケットの状況が一変し、新規入会者の減少および競合店舗への移籍など、我々のビジネスの土台部分に関わる問題が生じています。これまでの経験に頼る感覚的な広告販促や接客サービスでは限界があり、DXによってマーケティングの多くの部分を自動化・効率化し、データや実績に基づいた合理的な接客サービスを推し進めます。

デジタル化とDXを効果的に導入・活用し、「入会していただき、満足していただき、長く利用していただく」というスポーツクラブ事業の根幹を再整備してまいります。

取り組みの全体像

デジタル化とDX、それぞれ手法は異なりますが、目指すゴールは同じです。

デジタル化は「省力・省人化により従業員の余力を高め、お客さまの満足度アップに注力できる環境をつくる」。DXは「マーケティングの自動化・効率化で一人でも多くの方に入会していただき、データや実績に基づく接客サービスで1日でも長く利用してもらう」。

すべてはお客さまのためであり、市場の変化で揺らいでいるスポーツクラブ事業の根幹を再整備するためのものです。

そのゴールへの指針を全従業員で共有し、さまざまな施策や取り組みを包括的に進めていきます。

図1:デジタル化およびDXによる事業根幹の再整備

昨今の主な取り組み

等を図るべく、さまざまな取り組みを進めています。

業務管理タブレット

2023年度4月より全店舗に導入しました。
これまで「忘れ物管理台帳」「返金管理台帳」など、紙ファイルの台帳を使って様々な管理を手書きで行っていました(お客様にも手書きでの記入をお願いしていました)。この作業をタブレットで行えるようにしたのが業務管理タブレットです。
会員管理システムとの連携により必要な情報をタブレットへ自動反映するほか、情報入力の多くを選択式にするなど、お客様と従業員双方の負担を軽減し、効率化を図っています。
2024年度は既にタブレットで運用している9台帳に加え、新たな9台帳の開発に着手。2025年4月には26台帳のうち18台帳が「業務管理タブレット」で運用される環境となります。

会員マイページ

2023年度4月よりスクール会員に、2023年10月よりクラブ会員に提供開始しました。2024年7月時点でスクール会員は約55.4%、クラブ会員は約39.5%の方にご利用いただいています。

以前は、会員様が各種サービスや休会のお手続きをする際は、フロントへお越しいただき所定の用紙に記入いただいていました。
2024年5月より「会員マイページ」を店舗ごとに順次アップデートし「諸届機能」を導入しています。こちらの機能を利用すれば、お客様のスマートフォンから手続きの多くを行うことが可能になります。お客様のみならず従業員の負担も軽減され、業務の効率化につながっています。
2024年度は、さらにスタジオレッスンやパーソナルトレーニング、テニスコートレンタルなどの予約・決済機能の開発に着手しており、2024年度内に追加リリースを予定しています。

会員管理タブレット

2024年6月より全店舗導入に着手しています。
以前は、見学や入会に関わるすべての手続きを紙の書類に手書きで記入していました。
「会員管理タブレット」では、見学・体験から入会いただく際の一連の手続きをタブレット上で行います。入会時には見学・体験時に頂戴したお客様の情報が自動連携され、お客様と従業員ともに同じ情報を二度入力する手間が解消されました。また、これまで全て紙でお渡ししていた会員規約や手続き書類の控え、施設利用の手引きなどを電子化し、登録メールアドレスに送信されるようになりました。 2024年度内に対象となる全店舗にて運用を開始する予定です。

効果、今後の展開

サスティナブルな環境構築を目標とし、当社のデジタル化およびDXでは「従業員の業務効率化」「ペーパレス化」「会員証やプラファイルなどのプラスチック利用量の削減」「お客さまの利便性・CSの向上による会員数の増加」等の効果を見込んでいます。その結果として収益改善を図り、「会員や地域の皆さまにさまざまな形で還元を行う」ことを視野に入れています。

今後の展開としては、開発したシステムは全て、2024年度中に対象店舗へのリリースを完了する予定です。
お客さまの利便性・CSを高めていく一方で、従業員の会員管理・台帳管理に関わる業務量を60%以上削減。さらに年間約110,000部使用している帳票類や年間約3,000,000部使用しているコピー用紙、年間約100,000枚製作している会員証(プラスチック製)などの使用量も計画的に削減していきます。

お客さまの「仲間」になることが我々の使命。デジタル化・DXをその追い風に

我々が取り組むデジタル化・DXでは「従業員のバックヤードでの業務時間を減らし、お客さまとの接客時間を増やす」ことを第一の目標としています。また、商品・サービスのレベルを向上するには、継続的な研究・研修が必要で、そのための時間を確保するためにも業務の省力・省人化は極めて重要ととらえています。

スポーツクラブが会員を増加させるには、とりわけ入会初期における習慣化が不可欠です。毎朝歩こうと決意しても習慣化できず、挫折した経験をされた方は多いと思います。私も運動習慣や趣味が確立できない人間の一人ですが、友人との定期的な飲み会は習慣化されています。それは「仲間」の存在があればこそで、スポーツクラブ事業においては、従業員がお客さまに「仲間」と認めていただくことが我々の使命だと考えています。

入会初期において習慣化できたお客さまはその後従業員の手を離れ、自然と他のお客さまとつながっていきます。そしてスポーツクラブNASを大切なコミュニティとして位置づけ、人生においてなくてはならない存在として長いお付き合いが続きます。そのようなお客さまを増やすことが、事業の成功は元より、地域の皆さまへの還元につながるものと信じています。

デジタル化・DX推進の風潮はその追い風であり、会社の未来を見定め取り組むべき事案であると考えます。

執行役員 総務本部長 齊藤 豊

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