バックオフィスのデジタル化
当社では、自社運営でのインフラ構築に関して、次のような課題がありました。
上記内容を解決するため、2006年よりプライベートクラウドにシステムの移行を開始し、2014年にフルクラウド化を実現しました。
当初はプライベートクラウドが主流でしたが、各種クラウドサービスの提供が始まり、プライベートクラウドに比べるとコストも安くリソースの追加が柔軟にできることから、ハイブリッドクラウドの利用を2014年に開始しました。またハイブリッドクラウドよりコストが安くさまざまな標準サービスを兼ね備えたパブリッククラウドの利用も、一部テスト的に2016年から開始しました。
パブリッククラウドであるMicrosoft Azureを活用し、大規模システムの構築(DX系の取り組み)や社内システムの構築を行いました。
プライベートクラウドから順次脱却を目指します。パブリッククラウドであるMicrosoft Azureの利用を進め、システムによってはあらかじめ用意されたサービスを利用するSaaS(*1)、PaaS(*2)へ移行していきます。(図1)
図1:クラウド活用事例(軌跡と将来像)
(*1)SaaS(Software as a Service):クラウドサーバにあるソフトウェアをインターネットを経由して利用できるサービス
(*2)PaaS(Platform as a Service):クラウドサーバにあるプラットフォームが利用できるサービス
クラウドを活用することにより、下記3つの価値を得ることができます。
クラウドを活用することにより、メーカーおよびベンダーによるシステムの安定稼働を実現し、社員の運用負荷を軽減しました。サーバスペックに関しても、スケールアップ・スケールアウトに柔軟に対応できるため、費用対効果の高い運用が可能になりました。(図2)
図2:クラウドの価値
従来のモバイルアクセス環境は閉域LTEを使用した方式でしたが、「Zscaler」を導入し、自宅のインターネットや安全なWi-Fi環境から安心して社内インフラを利用できる環境を構築しました。(図3)(図4)
また、「Zscaler」のオプション機能による機密情報や個人情報などの重要データの持ち出しを防ぐことが可能な、セキュリティ強化のPoC(コンセプト検証)を実施しています。
図3:従来のモバイル環境
図4:見直し後のモバイル環境
また、インターネット上に存在するSaaSシステムの利用増加にともなう社内ネットワークの通信量増加に耐えられるように、事業所のネットワークインフラ(ローカルブレイクアウト)の構築を行いました。(図5)(図6)
図5:従来の事業所のネットワーク環境
図6:見直し後の事業所のネットワーク環境
「Zscaler」を利用した、ローカルブレイクアウト環境を導入したが、現場からはTeamsの通信が途切れる等、想定していたレスポンスの改善には至りませんでした。
現場に調査をした結果下記原因が発覚しました。
上記問題を解決するため、無線のアクセスポイントのWi-Fi6化と、事業所のスイッチのギガ化を全国事業所に実施をしました。(図7)(図8)
図7:従来の事業所のネットワーク環境
図8:見直し後の事業所のネットワーク環境
2023年度の取り組みとして、前期実施した通信のレスポンスの改善活動後、問題が解決したのか、利用している社員にアンケートを実施しました。結果、改善されていないと回答のあった事業所に対して、通信レスポンスの改善活動を実施しています。
また、安定した通信レスポンス環境を提供していくために、レスポンスの低下が起こる前に、改善が必要なところを予知するソリューションの「ネットワークの見える化」の PoC(コンセプト検証)を実施しています。
昨今の業務変革のスピードや建設DXを支えていくには、クラウドサービスをはじめ、その環境の利用を前提としたシステムとサービスを積極的に導入することが必須と考えられます。今後は、クラウドサービスやクラウド環境のメリットを最大限に享受できるよう、当社グループのクラウドネイティブ環境の構築を進めていきます。また、ネットワーク環境については「ゼットスケーラー」の導入により、いつでもどこでも安全・安心に社内接続ができる環境を整えました。インターネットを中心とした業務が増えることで、今後は大容量のファイルの受け渡しなどより一層の通信レスポンスが必要になります。ユーザの要求に応え、ユーザが満足できるインフラ基盤の環境整備を進めます。
働き方の変革を支えるインフラ環境
インフラ環境全体の施策として、インターネットを通じて仕事ができるように、PoC(コンセプト検証)の実施に取り組んできました。さらに、コロナ禍において社員が安全・安心に業務を遂行でき、企業活動を存続するために必要な環境として前倒しで実施しました。これらの取り組みにより、インフラが従業員の「安全」、「安心」、「生命」を守る武器になったことを実感しています。また昨今の業務変革のスピードに耐えられるクラウドサービスを中心とした、当社グループのクラウドネイティブ環境の実現と、今後も従業員から信頼されるインフラ基盤を構築していきたいと思います。
※ Azureは、Microsoft Corporationの、米国およびその他の国における登録商標または商標です。
※ Zscalerは、米国および他の国々で登録された、Zscaler Inc.の商標です。
※ Googleは、Google LLC の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
※ Microsoft Teamsは、Microsoft Corporationの、米国およびその他の国における登録商標または商標です。
※ Office 365は、Microsoft Corporationの米国及びその他の国における商標または登録商標です。