大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

DXアニュアルレポート2024

DX推進を支える組織体制

大和ライフネクスト

目的、ビジョン

建物管理業は労働集約型産業であり、これまで多くの業務を人の手で行ってきました。

そのような中、人手不足が年々深刻なものとなり、将来の顧客サービス力維持が困難になってきています。従前のように労働力が十分に確保できていた頃は、「各業務」を担当する人財を「各現地」に配置し機能していました。

しかしながらこれからは「人でなければ対応できない必要最小限の作業」を残しつつ、可能な限りデジタル化を進め、品質を維持したまま管理業務の「省力・省人」を実現する新しい建物管理が必要な時代になります。

当社グループは省力・省人からさらに一歩進んで、各種IoT機器から得られるデータを集積・分析し、管理業務の数値化・見える化を図ることで、お客さまにも透明性と付加価値の高い管理業務を提供していきます。

そして「労働集約型産業」から脱却し「労働分散・データ活用型産業」へ、「アナログ対応」から「デジタル化・データ活用」への構造転換を図ることで、お客さまに必要とされる企業であり続けます。

取り組みの全体像

建物管理の基本構成要素である「受付」、「巡回」、「点検」、「清掃」、「警備」といった業務を「人でなければできない作業や対応」と「機械やITに置き換えられる作業」に分解します。
前者は「アナログ手法の強化・特化」、後者は「デジタル手法への転換・DX化」を行い、それぞれの持つ能力・機能を最大・最適化し、管理業務全体の品質向上と効率化を図ります。

また、その過程で得られる「受付対応記録」、「防犯カメラ映像解析」、「点検結果・モニタリングデータ」、「清掃記録」、「警備報告」を分析・活用することによって、管理上の課題や設備異常、不具合箇所等の抽出を行い、改善提案や修繕提案につなげます。

「人」と「IT」が融合したハイブリッドDX管理を構築し、居住者・建物利用者の皆さまに快適な住環境、安全・安心を提供するとともに資産価値の向上も同時に実現します。(図1)

図1:人×デジタル=新しい管理業 集積データの二次活用

昨今の主な取り組み

(1)建物管理におけるロボット活用の取り組み

【経済産業省との取り組み】

建物管理におけるロボットのフロア移動について、ローコストでエレベーターと連携するシステムの開発への取り組みが2023年度の経済産業省の「革新的ロボット技術開発等基盤構築事業」に採択されました。その取り組み結果について、経済産業省および日本ロボット工業会の成果発表会にて登壇・報告を行ないました。

図2:経産省 革新的ロボット技術開発等基盤構築事業

図3:経産省成果発表会の登壇風景

【東京都との取り組み】

ロボットやITを取り入れた建物管理のDX化の取り組みにおいて、2023年度の東京都の「西新宿における最先端サービス実装・産官学コンソーシアムプロジェクト」に参画しました。
ロボット活用において、建物管理業界のみならず広く社会に貢献できるよう努めていきます。

図4:西新宿における最先端サービス実装・産官学コンソーシアムプロジェクト

図5:取り組み概要

(2)受付ロボット・デリバリーロボット

当社の赤坂本社で受付ロボットによる『ご来社のお客様の受付対応』を開始しました。
『エレベーター乗降によるフロア移動』や『自動ドア連携』によって、ロボットがお客さまを会議室までご案内します。
デリバリーロボットやAIと連携し、インタラクティブな利活用を予定しています。

図6:受付ロボット操作画面

図7:受付ロボット操作時

(3)物流倉庫無人化管理に向けて

物流倉庫管理において無人鍵管理システム、小型クラウドカメラ、PTZカメラ等の遠隔管理ツールを導入し『初動対応の迅速化』と『効率化』を図りました。『遠隔受付対応システム』の実証実験も進めており、『遠隔化・無人化』を実現する次世代の物流倉庫管理を目指しています。

図8:無人鍵管理システム

図9:遠隔受付対応システム

(4)マーケティング機能を用いた建物管理

商業施設のCOTOE流山おおたかの森にて、人流解析等を活用した建物管理の検証を行ないました。来店客の数や歩行動線などを分析したマーケティングデータを施設運営に提供するとともに建物管理や清掃、施設管理に応用していきます。

図10:映像解析システム(映像マーケティング)

(5)管理建物でのロボット活用 

建物管理においてロボット活用し業務のDX化を進めています。
2024年6月1日にグランドオープンした神戸須磨シーワールドにおいて、複数のロボットを活用した清掃を開始しました。マンション、オフィスビル、物流倉庫、商業施設、水族館など様々な用途の建物に適材適所のロボット配置を行ない、清掃をはじめとするDX管理を行なっています。

図11:神戸須磨シーワールド導入の清掃ロボット

図12:用途別ロボットによる清掃

効果、今後の展開

今後、管理員業務や受付業務の省人・省力化をさらに進めるために「スマートフォンを活用した遠隔作業支援システム」や『ロボットサービス』 の開発に取り組みます。

また、管理建物各所に設置したセンサーやカメラ、ロボットから発信・集積される計測データ・数値データ・映像解析データに、気象データ・温湿度データ等を組み合わせ、AIで集積・分析することにより、安定的な設備稼働やセキュリティ強化、清掃品質・美観の向上など、管理品質の向上を実現する「データ活用システム」を構築します。

さらにデータ分析を細分化することにより、マンションにおいては汚染度合いによる清掃手法の最適化、気象情報に基づく防御的設備トラブル対策など、居住者・建物利用者の皆さまに安全・安心・快適を提供します。また、ビル管理においてはエアコン制御の最適化による電気料金の削減、人流解析やヒートマップによる管理コスト削減の方策やマーケティングデータの提供など、ビルオーナー・テナントの皆さまに役立つ情報配信を行えるようにしていきます。

「人」と「IT」、「アナログ」と「デジタル」の両面から得られるデータを分析し、「学習・比較・予測・実行」のプロセスを繰り返すことによって生まれる「管理業務改善サイクル」を利用した「ハイブリッドDU(Data Utilization)管理システム」の構築を目指します。

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