バックオフィスのデジタル化
第7次中期経営計画における、海外売上高と営業利益を大きく成長させる目的を達成するためにも、グローバルでのIT環境の整備およびそれにともなうITガバナンスやセキュリティ対策の強化は必要不可欠と考えます。
グループ全体でのITコストが最適化され、見える化が図れており、事業環境やテクノロジーの変化、セキュリティ対応が担保され、事業戦略・成長に向けたIT環境が整備管理された状態を目指します。
会社としてムダな投資が避けられ、標準化(業務フローや利用ツールの共通化)にともなうリソースの共有化などにより社員としても働きやすい環境(グローバル規模でどこに異動しても同じルール)が整備されている状態を構築します。
下記のイメージ図は第7次IT中期経営計画の最終年である2026年度に向けて目指すべき姿となります。
本社の関連各部門との連携を深めつつ、本社機構と各社との一体となったITガバナンス推進体制を構築していきます。
グローバルに適用できるITガバナンス関連の規程・ルールを整備し、IT管理レベルを自己評価できる仕組みを導入する事で、RC拠点を中心とした管理の強化、各社でのITガバナンス成熟に向けた自律自走を促進し、リスクの削減を目指していきます。
図1:当社グループ全体のシステムアーキテクチャ
将来的には、RC(リージョナルコーポレート)単位での管理強化・自律自走を目指してRC単位でIT担当者を配置しつつ、HQ(当社情報システム部門)とRC拠点での権限・役割分担の見直しを行い、海外事業の成長加速および海外ガバナンス体制強化に貢献していく体制を構築していきます。
グローバル全社でのITガバナンスの強化・底上げを行っていくために、2023年度に、COBIT2019(*1)に準拠した、当社グループ全社でのITポリシーとなる『グループIT基本規程』、ITセキュリティに関するスタンダードとして『グループITセキュリティ基準』を発行するとともに、各社での定着を行う為の説明会を開催しました。
現在、各社での定着状況の確認や定着に向けた支援を行っています。
説明会開催と合わせて、本社機構として『グループITガバナンス運営事務局』を設立し、グループ各社でも『ITガバナンス運営責任者』及び『ITガバナンス運営担当者』を任命しました。
また、本社内においても、海外本部や総務部等の関連部門との相互協力体制を構築し、ITガバナンスに関する各部門で保持している情報を共有化、部門間で活用していく事で業務の効率化や連携強化を図るとともに、グループ各社への調査負荷の削減を図りました。
今後、本社機構とグループ各社との連携体制を検討し、グローバルでの施策推進体制を構築していきます。
2022年度から2023年度にかけて、セキュリティ状況の確認・分析ツールとしてのSecureSketCH(*2)を活用して、M&Aの会社含め、海外の子会社のIT調査・ヒアリングを実施し、各社のIT環境の実態の把握・可視化を行いました。
これにより、グローバル全社での傾向が推定でき、サイバー攻撃対策の一環としてのCybereason展開をはじめ、様々な施策の具体的検討を行っていくことができました。
また、各社でのIT資産の管理状況を可視化できるツールとしてTaniumの展開を行い、各社でのIT資産管理の強化・自社ネットワークへの不明機器からのアクセス検知によるリスク削減を行いました。
IT調査については、調査項目を見直しつつ毎年継続して実施し、これにより各社でのITガバナンスの成熟度の確認につなげていく予定です。
(*1)COBIT2019:Control Objectives for Information and Related Technology(情報及び関連技術のための管理目標)の略称であり、ITガバナンスと管理に関する包括的なフレームワークのこと
(*2)SecureSketCH:各種ガイドラインに沿ったセキュリティ評価を、Web上で設問に回答するだけで「得点」や「偏差値」で定量的に見える化し、効率的に対策を推進できるサービスのこと
『グループIT基本規程』『グループITセキュリティ基準』の発行により、グループ各社でのITガバナンスに対する意識が高まり、自社向けのガイドラインの作成等定着に向けた取り組みも各社で始まっており、順次定着に向けた支援を実施しています。
今後、セキュリティ領域以外のスタンダード規程についても、優先順位及び各社での定着状況等を確認しつつ、第7次IT中期計画完了時までに順次整備・展開していく計画を立てており、2024年度には『IT保守運用管理・IT資産管理』、セキュリティ以外の『ITリスク管理』のスタンダード規程の発行を行っていく予定です。
2023年度までに実施したIT調査・ヒアリングにより、グローバル全社でのIT環境が把握できただけでなく、様々な課題等がわかり、サイバー攻撃対策の一環としてのCybereason展開をはじめ、支援や対策検討を行っていくことで、リスク削減に繋げることができました。
また、M&A会社も含めたグローバル各社との連携を深め、コミュニケーション基盤構築を行うこともできました。
今後、IT調査内容を見直し、年1度継続実施し、合わせて、SecureSketCHのセキュリティの標準診断を海外でも実施し、各社での成熟度診断につなげていきます。
各種ITガバナンス関連の規程によるルールの整備、Taniumでのモニタリング、SecureSketCHでのIT調査(成熟度診断)によるセルフチェック、これらを組み合わせて運用していくことで、各社での自律自走を促進していく予定です。
本社部門間での情報共有化や更なる連携強化を図り、施策推進調整を行いつつ、共同推進等も行っていく所存です。
各社で任命して頂いた『ITガバナンス運営責任者』『ITガバナンス運営担当者』の方々と本社との連携体制を構築して一体となった推進を行っていくとともに、RC拠点を中心としたRC単位での管理強化・自律自走に向けた環境整備や体制検討を行っていきます。
グローバルでのIT環境整備・ガバナンス強化は急務
グローバルに事業を展開拡大、加速化している中で、それらを支えるIT基盤のガバナンス推進・管理を強化していくことは、必須かつ急務であるという認識のもと推進しています。
グループ全体のIT本社機能としては、グループ共通の必要最小限かつ必須のルール整備(規程制定)やグループ会社間の関係性向上へ向けた活動に着手してまいりました。
これからも引き続き、①グループIT戦略・投資資産の最適化、②データドリブンな経営、③HQとしての価値提供、④セキュリティの確保という4つの側面から施策を立てて推進していき、グローバルに対応できる組織へと成長させていきたいと考えています。
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