バックオフィスのデジタル化
当社では2000年頃からメインフレーム(*1)をすべてオープン系に切り替えるなど、早くからレガシーシステムの刷新に取り組んできました。業務推進システムという位置付けで全国展開したD-SMART(*2)は18年が経過し、その間、当時の技術のまま多くのシステム改善を重ねてきたこともあり、肥大化・複雑化したレガシーシステムとなってしまいました。それにより、ビジネスの変化に対応するスピード感や柔軟性を持った開発に適応しにくいシステム環境になっています。
そこで、レガシーシステムのモダナイゼーション(*3)に取り組み、これからの当社グループにおける「事業の多角化・ビジネス成長」、「営業スタイルの変革」、「働き方改革への対応」など社内外の環境変化に迅速に対応できるDXを支える基盤へと刷新します。(表1)
(*1)メインフレーム:大型汎用コンピューター
(*2)D-SMART:顧客・案件管理の営業支援機能、グループウェア機能、工程管理機能やアフターサービス機能など全従業員が利用する総合業務システム
(*3)モダナイゼーション:稼働しているソフトウェアやハードウェアなどのシステムを最新の製品や設計で置き換えること
表1:ビジョン
「働き方改革への対応や業務変化への迅速な対応」や「ビジネスアイデアの早期実現」などイノベーションを推進するためのDX環境を構築します。(図1)
ビジネス価値の優先度に基づき、より価値の高いアプリケーションを早いタイミングで提供します。
積み重ねられた機能追加のなかで発生した無駄を削減し続けることで、システム改修時のメンテナンス性や開発容易性を高めます。
新しい開発スタイルであるローコード開発の採用や、自動化技術の利用によって、起案からアプリケーションリリースまでの期間短縮を実現します。
(*4)アジリティ:機敏さ
マイクロサービス(*5)的なシステムアーキテクチャを採用して、巨大な1枚岩(モノリシック(*6))で作られた現システムの問題を解消し、システムのメンテナンス性や開発容易性を高めます。
(*5)マイクロサービス:小さな単位に分割したシステム構造
(*6)モノリシック:システム全体が密結合で作られていること
一般化された業務領域において求める機能(ユーザーストーリー(*7))がSaaS(*8)によって実現可能な場合、SaaSの採用によりデリバリー速度を向上させます。
(*7)ユーザーストーリー:顧客や利用者の目線で示したソフトウェアの要件
(*8)SaaS(Software as a Service):クラウドにあるソフトウェアをインターネット経由でユーザーが利用できるサービス
図1:取り組みの全体イメージ
(*9)SFA(Sales Force Automation):営業支援システム
(*10)CX(カスタマー・エクスペリエンス):商品やサービスの利用における顧客視点での体験
(*11)API(Application Programming Interface):異なるアプリケーションやソフトウェア同士が情報をやり取りする際に容易に利用できるインターフェース
レガシーシステムの運用・保守に割かれていた資金・人財をDXにつながるような取り組みへシフトしていくことで、DXを加速させていきます。(図2)
図2:シフトイメージ
ニューノーマル時代に求められるモバイルワーク/テレワークなどのビジネスの変化に適応したシステムに変革し、働き方改革を推進します。
DXや建設のデジタル化対応などに迅速かつ柔軟に対応するため、クラウドサービス活用やマイクロサービス化などの最新テクノロジーに適応した環境に刷新します。
DXを加速するため、モノリシックなシステムから脱却し、クラウドサービスの活用やモバイル化機能の新システム基盤移行を推進します。また、アジャイル開発手法の採用やローコード開発ツールの導入により、システムによるビジネス価値を素早く現場へ届け、要件の変化にも柔軟に対応します。
物件HUBの源泉データであるD-SMARTのデータ(建物・受注・工事)のさらなる正確性を確保します。
法令遵守、申請誤り・漏れの防止など、守るべき業務プロセスをサポートします。
グループのDX実現を支えるシステム基盤の刷新に向けて
第6次IT中期計画から継続して、当社グループの成長や競争力に資するDX環境を構築するべく、システム刷新を目指します。持続的成長モデルの構築にともない、グループ全体での顧客価値提供や、バリューチェーンを支える業務システム基盤として、柔軟かつスピード感をもった仕組みの構築を、プロジェクトメンバー一丸となって進めていきます。
東京本社 情報システム部 部長 府川 利幸