大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

DXアニュアルレポート2021

DX推進を支える組織体制

IT部門としての人財育成

人財育成の考え方

情報システム部門では、ゼネラリストとしてのマネジメント人財と、スペシャリストとしての高度IT人財の両方が必要です。マネジメント人財として能力の幅と深さをバランスよく成長させるか、高度IT人財として技術に特化して成長させるか、個人個人の資質に合わせて育成します。育成にあたっては、座学だけでなく実践する場を与えることを重視して進めています。

キャリアパスガイドラインの策定と運用

多くの企業のIT部門と同様、私たち情報システム部門ではゼネラリストの資質が重視されます。しかしIT部門としては、高度ITスキルに特化した人財も必要です。そこで、情報システム部門のメンバーがやる気と誇りをもって自己成長を遂げられるように、IT部門としてのキャリアパスガイドラインを策定しています。
ガイドラインにおいては、マネジメント人財と高度IT人財のそれぞれに求められる能力をスキルマップとして明確化しました。そして、自己分析シートを活用して自分の現在位置を定期的に確認し、今後の成長・育成について上司とコミュニケーションをとっています。(図1)

図1:人財育成の全体像

さまざまな学びの機会の提供

情報システム部門のメンバーの自己成長を促すため、これまで自主的勉強会や外部セミナーの受講促進、公的資格の取得推進などの取り組みを実施してきました。2018年度からは、人財育成は管理職の責務であることを再認識し、管理職が自組織の業務を効率化したうえで、部下に対して新たな技術・知識の学習や実践を展開しています。(図2)

図2:ざまざまな学びの機会

2021年度から新入社員教育を一新

情報システム部門の従来の新入社員教育は、約1カ月で「当社」の社員として必要な教育(基礎教育)を行っていました。「情報システム部門」の社員として必要な教育(専門教育)については、基礎教育を終えた後、情報システム部門内の各グループに配属し、実施してきました。習得できるスキルは配属されたグループの業務に必要な技術が中心でした。この教育手法は、OJTを通じて短い期間で配属先の戦力になれるというメリットの反面、適性を十分に考慮した配属が行いにくく、また、配属された各グループの業務内容に知識が偏る、というデメリットがありました。

そこで2021年度の新入社員教育からは、今までの体系を抜本的に見直し、内容・期間ともに一新しました。新教育は、基礎教育として「①社会人、当社社員としての教育」。IT知識の偏りを排除するため、これからのIT/デジタル人財に必要とされるスキルを改めて再定義した専門教育としての「②IT/デジタル人財に必要な教育」。それらのインプットされた教育内容を実戦でアウトプットするための「③インターン」。テレワーク下においても社員間のコミュニケーション量を増やし、多くの先輩社員から価値観や仕事に対する姿勢を生の声から吸収するための「④社員交流」。以上、4つのカテゴリで構成しました。また、教育期間を1年間にすることで、これらの教育を着実に行うとともに、適性を見た配置が可能になります。(図3)各種教育は一方的に知識を詰め込む座学だけではなく、ワークショップ形式を取り入れるなど、新入社員が長期間の教育にモチベーションを高く持って参加できるよう配慮して設計しています。

図3:新教育体系

「①社会人、当社社員としての教育」は、1年間を通じて繰り返し行われます。「社内規定」や「創業者精神」「ビジネスマナー」など、どの部門においても重要とされる教育を行います。「② IT/デジタル人財に必要な教育」では、「要件定義」や「プログラミング」などのハードスキルだけではなく、「デザイン思考」や「伝達力」などのソフトスキルも学び、情報システム部門の社員として必要なスキルを習得します。ここでは先輩社員から新入社員への教育だけではなく、必要に応じて外部サービスを活用し、先輩社員を対象とした教育も実践しています。「③インターン」ではインプットされた教育を実戦でアウトプットし、得られた「知識」を自身の「能力」に昇華することや、本配属へ向けた見極めを目的に、情報システム部門内の特定のグループに2カ月間所属して実務を経験します。インターンは計2回行い、それぞれ業務内容の異なるグループを経験します。「④社員交流」では、教育期間が1年間に延びたこと、テレワーク中心の働き方になっていることに鑑み、新入社員と先輩社員はもちろん、先輩社員同士もコミュニケーションを図り、関係が育まれるように設計しています。社員交流は3種の交流会を設け、それぞれ参加対象者を分けて実施しています。また、円滑なコミュニケーションが図れるようにファシリテーターを1人ずつ立て、トークテーマの提供や会話の隙間をフォローするなど、各交流会が活発に行われるよう工夫しています。(写真1)

写真1:社員交流の様子

これらの各種教育は、教育をする側と教育を受けた側のフィードバックを随時行っており、毎年継続的な改善につなげられるよう運用しています。フィードバックは、うまくできた点とうまくできなかった点をまとめ、うまくできた点を継承し、うまくできなかった点を改善材料として活用しています。

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