大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

DXアニュアルレポート2021

インタビュー等

吉澤顧問のメッセージ(インタビュー)

DXは経営そのもの
企業や社会の未来を
構築する力になる

  • 顧問(非常勤)

    吉澤 和弘

  • 執行役員(情報システム部門担当)

    松山 竜蔵

  • 顧問(非常勤)

    吉澤 和弘

    日本電信電話公社入社後、(株)NTTドコモ代表取締役社長、取締役。現在は(株)NTTドコモ相談役、ソニーフィナンシャルグループ(株)取締役(社外役員)

  • 執行役員(情報システム部門担当)

    松山 竜蔵

    (株)メディアテック代表取締役社長

デジタル化とはビジネスの仕組みを変えること

松山吉澤さんには2021年から当社の顧問を務めていただいていますが、社長の芳井から依頼を受けた経緯を教えていただけますか?

吉澤芳井社長とはビジネスはもちろん、お互いにラグビー好きという共通点もあり、以前からお付き合いがありました。そのなかで、2020年ぐらいから企業経営にとってデジタル化の推進が肝になるという潮流が高まり、私がNTTドコモでデジタル化の一翼を担ってきたこともあって、芳井社長から「当社としてもデジタル化を推し進めたい。その支援をお願いしたい」と声をかけていただいたのです。

松山2018年に経済産業省がDXレポートを発表し、その後、コロナ禍で急激にデジタル化が進展しました。当社は、“働き方”については東京2020オリンピック前からリモートワークの環境整備に着手していましたが、建物を設計して納品するまでの“バリューチェーン”のデジタル化に関しては、まだまだ途上にあります。

吉澤建設業界に限らず、日本では仕組みや方法を変えることを恐れ、昔ながらのやり方が心地いい、変えたくないと思う傾向がありますよね。しかし、DXを活用してビジネスの形や方法を新しいものに変える流れが止まることはないでしょう。
DXが進んでも、ビジネスの最終目標はそれほど変わるわけではありません。当社であれば、お客さまへ居心地のいい“生きる”ための住宅を提供することも、変わらない目標の一つです。「それなら今でも実現できる」と言えるかもしれませんが、人材や部品・部材が不足するなど世の中はどんどん変化しています。その状況下で、さらなるリードタイムの短縮やお客さまへの提供価値を高めようとすると、今までの方法のままでは無理でしょう。そのためにデジタルの力を活用するのです。

松山建設業界の技術者不足は今、大変深刻になっており、当社ではデジタルコンストラクションで建設プロセスを改善しようとしています。デジタルコンストラクションについてはどう思われますか?

吉澤実際に稼働する様子を見て、社員とディスカッションもしましたが、非常にいい取り組みですよね。全国に何千とある施工現場を見える化する、あるいはリモートで管理する。デジタルを活用すれば、現実をサイバー空間に置き換えて遠隔操作や評価ができるようになるわけです。さらに進んで、工事の無人化や認定検査の自動化までできれば最高ですね。

松山当社のDXには、ものづくり改革と並行して、バックオフィスにおけるレガシーシステムの更新という課題もあります。これまでのご経験からアドバイスをいただけますか?

吉澤バックオフィスの業務はルーティンで決まっているので、古い機能を新しいシステムに載せ替えていくのは、それほど難しくないと思いますが、レガシーシステムを刷新する本来の目的は“業務そのものの効率化”です。
そのためにはバックオフィスの業務を一度洗い直す必要があります。例えば会計システムは、売り上げや支払い、決算などをリアルタイムに見える化するシステムであるべきです。NTTドコモでは、月締めではなく「日締め」を基本とするシステムをつくっています。日々、数千万人のお客さまが契約や解約、機種変更を行い、膨大なトランザクションが発生するため、その日のうちに処理しなくては前に進みません。当社も、会計方針や会計基準が変わる時をトリガーとして対応する手もありますが、常日頃から方針を打ち立てて“やり方を変えていく”ことを前提にするべきだと思います。

DXでまちづくりや建設業界の改革に貢献する

松山社外の専門家として見た場合、DXによって当社にどう成長してほしいと思われますか?

吉澤顧問に就任し、建設業界のなかでも当社や当社グループは、実に幅広く事業を展開していることがわかりました。「住」もあれば「ビジネス」もある。「医療」や「物流」、「エネルギー供給」まで全てできる。言ってみれば“まちづくり”のポテンシャルが非常に高い。そこにデジタルを活用し、スマートシティを構築するとしたら、他社と比較して当社は一番良いポジションにいるのではないでしょうか。当社がつくったまちの中では、1つのIDで買い物も病院へ行くのも全て簡単にできる。そのような活用を大いに期待しています。
新たにつくるだけではなく、過去に開発した住宅団地を再耕するリブネスタウンプロジェクトも進めていますよね。そこにも最新の交通システムやエネルギーシステム、高齢になった住民の方の見守りなど、デジタルを積極的に取り入れてほしい。すでに取り組んでいることもあるでしょうが、これだけ良い基盤やポテンシャルを持つからには、そこまで考えるべきですし、「当社が実現する」と私は思っています。
もう一つ期待するのは、建設の全工程を一元管理して省力化・無人化を目指す「デジタルコンストラクション」が完成したら、建設業界全体に広めてほしいということです。SI(システムインテグレーション)の専門事業者もいますが、建設を最も理解する企業が自らつくったシステムは、他社にとっても良いものになる。自動で測定・測量したり、画像・映像を証拠として保存したり、デジタルコンストラクションを使えばこんなにも早く簡単に、正確にできると証明できれば、国の法律でさえ変わるかもしれません。ぜひトライしてほしいと思います。
AIや5G、IoTなどの先端技術はデジタル化の“目的”ではなく“手段”です。仕組みや制度を変えて、生産性を格段に向上させる、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)を劇的に変える、全く新しくて価値あるものを生み出す。それがデジタル化の目指すところなのです。例えば、アメリカ発で世界最大級となったECサイトは、生産者と消費者の間を結ぶ大部分を1社で行い、お客さま一人ひとりのデータを持ち、レコメンドもする。デジタルを組み入れて、昔ながらのビジネスを全く新しいものに変えた好例です。

松山デジタルの技術を使って、どういう世の中にしたいのか、その構想力が問われているんですね。

経営戦略を先取りできるDX人財の育成へ

松山DXを推進するには、既成概念を取り払い、新しい仕事の流れをつくる人財の育成も課題です。

吉澤今のデジタルの要素であるAIや5Gなどがもたらしたのは、仕事のやり方を変える“勇気”を後押しすることです。「最先端技術を使えば変えられる」というポジティブなマインドセットを社員一人ひとりが持つべきです。開発スピードを考えると、今進めているように内製化チームによるアジャイル開発の動きも当然必要ですが、全てを自社でつくろうとするのではなく、海外も含めて世の中にあるさまざまな技術を取り入れることもできます。確立された手法も成功事例も数多くある。そうやってイノベーションが起こせる時代になっているというマインドを持ってほしいと願っています。
さらに、自分の会社やビジネスがどんな目的でどんな動きをしているのか、経営戦略を理解し、むしろ先取りするぐらいじゃないとDXは難しいと考えています。私は常々、NTTドコモの情報システム担当者たちに「1年先、2年先、3年先を考えよう」と言ってきました。競争環境が厳しい通信業界では、料金変更や新サービス導入などでシステムに手を入れる頻度が高い。それを先取りし、システムに少し埋め込んでおくのです。オーダーがあった時にもし条件が増えても、ビットが立つように用意しておく。そういう考え方や動きができるマネージャークラスの社員が何人もいました。
つまり、将来、自社のビジネスがどう変わるか常に考える人を、いかに増やしていくかが重要なのです。特にDX関連部門の社員には、その意識を持っていただきたい。「それって経営者そのものじゃないか」と思われるでしょうが、結局そういうことなのです。私は、DX関連部門は企業の変革を支える根幹であり、DXは“経営そのもの”だと考えています。システムは企業にとって見えない資産であり、偉大な遺産になります。その認識に基づいてDXを推進することが、当社や当社グループの未来を切り拓くことになるのです。

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