駐車場を保育所に転換 収益性向上と地域貢献を実現
公開日:2017/12/27
今回は、相続対策をきっかけに、稼働率の低かった駐車場を保育所に転換することで、収益性の向上と地域貢献を実現した実例を取材しました。
土地オーナー様、テナント企業様のニーズが合う
東京都板橋区、東京メトロ千川駅からおよそ1㎞に立地する閑静な住宅街の中に、今回の実例「保育園ほっぺるランド大谷口」があります。
敷地面積約230坪、2階建て、防音対策も施された東京都の認可保育所です。以前は駐車場だったこの地に、2017年4月にオープンしました。
オーナー様である大野様は、今回の土地活用のきっかけを次のように語ります。
「理由のひとつは、父の相続税対策です。以前は駐車場でした。この地域は仕事で車をよく使う職人さんが多かったのですが、今は職人さんがかなり減り、稼働率がかなり下がってしまい、土地活用について税理士さんに相談しました。また、地域貢献をしたいという思いがあり、このあたりは住宅が多いものですから、競争の面でも、ほかとは違うものを何とか建てたいと考えていました」
相談を受けた顧問税理士である長井先生は解決策を講じました。
「安定した収入をまずどうやって確保するかを考えました。それと相続税対策、しかも賃貸住宅以外でというご希望もありましたので、さまざまな店舗のご紹介、その場所に合ったご提案をいただける、バリエーションが豊富な大和ハウス工業さんをご紹介させていただきました」
大和ハウス工業は、オーナー様の土地情報とテナント企業様の出店情報の双方で把握しそれぞれのニーズを結びつける「LOCシステム」を展開。これまでにおよそ4万件の施工実績があります。
今回のプロジェクトを担当した大和ハウス工業の馬は、さまざまな土地活用がある中で、なぜ保育所を提案したのでしょうか。
「何か地域貢献できるものを提案してほしいというご希望があったのですが、ちょうど同じ時期に、板橋区のこの地域で認可保育所の公募がありました。さらに、我々大和ハウス工業が新規で保育所を開設したいという事業者さんの情報も持っていましたので、タイミング良くご紹介させていただきました」
また、「保育所は、行政による認可事業ですので、経営の観点から長期安定な経営ができます。駅から少し距離があっても、たとえば賃貸マンションに比べて入居率も心配することなく、運営事業者に一括でお貸ししますので、将来に対する不安も軽減できます」と保育所のメリットを語ります。
保育所という提案に対し、オーナー様はどのような印象を持たれたのでしょうか。
「ここのすぐに横にある幼稚園が5年くらい前になくなったため、地域住民の方々がお子様を預ける場所がないということでした。そこに保育園というご提案を聞きましたので、これは良いと思い、その話に乗ることにいたしました」
オーナー様が施設を建てて事業者に貸す、建て貸しが保育所誘致の条件にもかかわらず、オーナーの大野様は、「契約期間は十分見込めると思っていましたので、まったく不安はありませんでした」と語ります。
信頼できるテナント企業を誘致することが、土地活用を成功させる鍵
一方、テナント企業である株式会社テノ.ホールディングス様がこの場所での事業展開を決めた理由について、代表取締役社長池内比呂子様は、「板橋区は待機児童が多い重点エリアであり、それ以外にも、私たちが保育事業をやる上では、地域に愛されなければならないと思っていました。今回は、オーナーさんが本当に地元に根付いた方でしたので、連系しながらできると思い、選択させていただきました」と語り、大和ハウス工業と連系するメリットについても次のように語りました。
「私たちが事業をスタートしてから3~4年は、いろいろな不動産屋さんに私どもで営業して、過去は苦戦していました。そういった中で大和ハウス工業さんと出会うことができました。保育の基準もしっかりご存知の上でオーナー様に提案をしていただけるので、ありがたく思っております。決まった後に、住民の方への説明等たくさんあるのですが、そこも大和ハウス工業さんが私どもの営業と一緒に連系していただくので、私どもの代わりに営業していただくかたちで大変助かっています」
今回の土地活用の税務面でのメリットについても、長井先生は「2017年に東京都の税制優遇措置が始まりました。保育園用の土地を賃貸した場合には、5年間土地にかかる固定資産税、都市計画税が全額免除されます」と語ります。もちろん相続税の評価額も抑えられました。
今回の土地活用、オーナー様の評価はどうだったのでしょうか。
「私どもは兄弟3人いるのですが、3人いる中でいろいろ説明していただきましたので、相続前提という中で、みんな話が非常によくわかり、スムースにいけたと思います」
保育所への転換は、収益性の向上が見込め、待機児童問題の解決にも貢献できますが、信頼できるテナント企業を誘致することが、土地活用を成功させる鍵となりそうです。
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