和の落ち着きを生む京町家風の賃貸住宅 その工夫とは?
公開日:2019/03/29
福岡県糟屋郡粕屋町。福岡空港や博多駅から車でおよそ10分の地に、今回ご紹介する、和風の賃貸住宅「コンフォルタ柚月」があります。
敷地面積は約540坪。1階、2階をひとつの世帯で使う3LDKのメゾネットタイプが1棟5戸、2棟の2階建て(全部で10戸)となっています。
倉庫から賃貸住宅へ
以前、この土地には築49年の貸し倉庫が建っていましたが、オーナー企業様の税務対策をきっかけに、個性的なデザインで注目される京町家風の賃貸住宅を建築されました。
福岡市を中心に事業用倉庫や賃貸住宅の経営を行っているオーナー企業様が、今回貸し倉庫を賃貸住宅に転換した理由は、税務対策として収支のバランスを取るためでした。
オーナー様によれば、倉庫の賃貸事業は、土地の面積も含めて賃料収入が大きい分、リスクも大きいビジネスです。約4000m2の貸し倉庫を建て替え竣工したばかりということもあり、事業収益バランスを考えた上で、今回の賃貸住宅の建設を選択されました。
賃貸住宅経営のメリットについても、オーナー様は「景気や経済動向などにあまり左右されず、安定性があります。場所を考慮し、建物も考えた上で行えば、長期的な安定性が望める」と語ります。
プロジェクトを担当した大和ハウス工業の瀬戸山は、今回の土地活用のポイントを次のように語ります。
「会社全体の事業収支のバランスを考え、賃貸住宅の提案をさせて頂きましたが、今賃貸住宅が非常に増えてきているといわれている中で、ずっと選ばれる賃貸住宅を目指して、和風の商品をご提案させていただきました。近隣に1LDKの賃貸住宅が非常に多いエリアでもありましたので、3LDKのメゾネットタイプで長期的に安定経営をしていただけるようにご提案させていただきました」
デザインや安全性にもさまざまな工夫をこらす
設計についても、入居率の向上と長期安定経営を目指すために、さまざまな工夫をこらしました。
まず、敷地の中を一体感のある空間として仕上げるために、外部のデザインや素材を住戸内にも取り入れました。坪庭のように石やタイルを採用し、玄関周りには外部の延長のような形で同じタイルと砂利を使用しました。また、全ての住戸に下屋(げや)を取り付けることで、和風の外観を際立たせ、統一感が出るように工夫。植栽は和の品種を中心に、懐かしい里山の風景をイメージしています。
そしてオーナー様たっての希望で植えられたのが、コミュニティスペースの中央にある梅の木です。オーナー様も、この梅の木を シンボルツリーにされており、「まだ枝葉があまりないですけど、これが大きくなったらさぞかし素晴らしいと思う」と期待されています。
一方、課題もありました。交通量の多い前面道路には歩道が無く、入居者の出入りに危険がありました。この問題に対しても、側道の方に出入り口を設け、安全面に配慮。一戸分のスペースを使って通路を設け、課題に配慮しました。
今回の土地活用で大和ハウス工業を選んだ撫養(むや)様、実は所有する他の賃貸住宅や倉庫も大和ハウス工業に依頼されています。その理由を次のように語ります。
「うちの会社の事業内容とベストマッチです。倉庫もできますし賃貸住宅もできる。入居者募集に関しては大和リビングさんの協力で、竣工したばかりでも満室になるのは早いですし、集合住宅部門の方の営業力も相当あると思っています」
また、税務対策をきっかけに和風賃貸住宅を建築した、今回の土地活用についても、「私は学生時代京都で過ごしたものですから、こういう建物は見慣れているつもりです。それになかなか負けない賃貸住宅にしていただいたと、非常に満足しています」と語ります。
住まいに対する価値観は多様化しています。都市部でありながら和の落ち着きがある空間を生む、日本的な癒しをもたらす京和風賃貸住宅へのニーズは、ますます高まりそうです。
大和ハウスグループは、創業以来長きにわたり多くの土地活用を手掛けてきました。企業が持つ不動産の有効活用(CRE戦略)においても、大和ハウスグループの実績に基づいた多彩なスキームを組むことが可能です。
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