大和ハウス工業株式会社

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土地活用ラボ for Biz

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コラム No.27-33

サプライチェーン

秋葉淳一のトークセッション 第1回 変化するロジスティクス株式会社フレームワークス 代表取締役社長 秋葉淳一 × 株式会社アッカ・インターナショナル代表取締役社長 加藤大和

公開日:2019/01/25

株式会社アッカ・インターナショナルが大和ハウスグループの傘下となって約1年。大きな変革が起きている物流業界の中で、今何が起きていて、何が必要なのか。これからの物流の在り方を語っていただきました。

この1年、大きく変化

秋葉:アッカ・インターナショナルが大和ハウスグループの一員となり、1年が過ぎました。この1年間、大きな変化があったと思います。

加藤:業務的には同じですが、投資できる幅が一気に広がり、お客様のサイズが急激に大きくなってきています。グローバルブランドのスポーツメーカーなど、海外からのお声がけも多数いただいています。既存でずっとやってきたお客様においても、これを機にBtoBの大型の在庫を任せたい、アジア圏のECを検討してほしいといった問い合わせもあります。

秋葉:すべてにおいて広がってきたという印象ですね。やはり、大和ハウスグループの傘下となった影響が大きいでしょうか。

加藤:それは大きいですね。これまでであれば、最初にふるいにかけられることもあるし、最後の最後で選びきってもらえないこともあります。物流は経営に直接影響しますから、そこがこけてしまうと自分たちのリスクにも繋がってしまいます。アイデアもサービスも大切だけど、与信の問題がないというのも大きいです。

秋葉:与信の問題があったときに、これまでだと物流の場合は継続性をどう証明するかという話になるのですが、継続性の証明というのは難しい問題です。大きな会社でもどうなるかわからないという状況ですし。それでも大丈夫だということを何で証明するかというと、後ろにいる資本力だったりするのが実態だと思います。3年、5年、10年大丈夫なことをどう証明するかという意味では、バックに大きな資本が控えているというのは、大きいですよね。
ダイワロジテックも設立から1年が経ちました。私たちは、この1年間「サービスプロバイダー」を標榜し、提案し続けてきました。サービスプロバイダーとは、サービス自体を提供することであり、施設や設備を提供することではありませんので、目に見えづらいものです。ソフトウェアやコンサルティングのサービスといった、なかなか目に見えないものをどうやって証明するかは難しいものです。そこにアッカ・インターナショナルが入ってくれたことはすごく大きいですね。実際にわれわれのグループでオペレーションも含めてきちんと提供しているところを見せることができるようになりました。これは非常に大きなポイントとでした。

トータルサービスとシェアリングモデル、両方の提供

秋葉:また、ダイワロジテックのサービス範囲も広がりました。アッカ・インターナショナルという会社が、グローバルのブランドや大手のお客様に対してトータルにロジスティクスのシステムを提供することができますし、その一方で、それほど規模が大きくないお客様に対してはシェアリングのサービスや従量課金でサービスを提供できる、その両方を提供できるという点も大きいですね。
アッカ・インターナショナルは、ある程度の規模のお客様に対して、基本的には相対でサービスレベルをどうするかを考え、ロボットやシステムを活用していくというモデルです。フレームワークスでは、規模感が小さいお客様も含めて対象としており、先行投資をして設備を整え、その中でシェアリングをしていただき、従量課金としてお金をいただくというモデルです。
従量課金のビジネスだけをやっていると、対象となるのはスモールからミディアムの規模の企業なのかと思われることもあるのですが、グループ全体では、大手の企業に対してもサービスを提供することができます。スモールサイズからグローバルカンパニーまであらゆる規模の企業に提案できるようになりました。

もちろん、両方を利用いただいても問題ありません。その場合、それぞれどれくらいのポイントでどちらに乗ったほうがお客様にとって有効なのか、測っていかなければいけません。両方の選択肢があると思っていますので、何がお客様にとって効率的なのかを私たちが提案します。
そうした、2つのスキームを良いとこ取りできることがわかると、お客様側で様々なことが起こります。仕組み、サービスだけを導入して自分たちが全体のマネジメントをするというケースもありますし、物流自体を委託するケースも当然あります。これは荷主から見てもそうですし、3PL企業から見ても同様です。ベースは私たちものを利用して、そこに自分たちのオリジナリティを乗せてさらに効率化するということがあっても問題ありません。これはシステムの世界では当たり前にやっていることです。例えば、フレームワークスのパッケージをベースにして、そこに自分たちのオリジナリティを乗せて、さらに荷主ごとのカスタマイズを少しずつ入れる。お客様ごとに開発をやってしまうとコストにしてもシステムにおいても効率化がされないのは、自明のことです。いわれてみればごく当たり前のことです。それをシステムの世界だけではなく、もっと広い範囲、ロジスティクスの分野でもやりましょうということなんです。

ダイワロジテックのブランディングとしては確実に浸透

秋葉:この1年、ダイワロジテックの業務範囲は広がりましたが、もっともっとスピードをつけたかったというのが正直なところです。しかし、市場に対しての提案、ブランディングという点では一定の成果はあったと思っています。先日の「MOVOFORESIGHT2018」や大和ハウス工業主催のイベントでのプレゼンテーションなど、私たちのビジネスをご提案する機会はたくさんいただきました。ビジネス雑誌などにも、毎月それなりのメディア露出があり、ブランディングの点では、幅広くリーチできたと思っています。そういう意味ではすごく効果があったのではないでしょうか。一方で、もっともっとビジネス自体を加速したかったですね。

加藤:今まで経験したことがない領域に踏み込んでいっていますし、ものすごいスピードが求められますからね。日々変化する状況の中で、さあ行こうとなったときに、これまでのビジネスプロセスでは、なかなか対応しづらい部分もあったのではないかと思います。

秋葉:それだけチャレンジングなことだったのでしょう。チャレンジするということはリスクがあるということです。リスクがあるにもかかわらず、以前と同じ指標やスピードを指標にしていては、誰も決断できません。ただ、2年後、3年後にその同じリスクを負っていたら意味はありません。業界をリードしていることの価値をどう測るかということも必要です。そもそも急激な右肩上がりは難しいので、どのポイントでどのようになれるかということは、もっと明確にしていかなければならないと思っています。

加藤:ただ、去年ダイワロジテックとして、こういうビジネスをやっていきたいといっていたことは、実際に具体化して、実現しています。

秋葉:実際にこの1年、物流業界では大きな変化が起きています。ロジスティクスにおけるニーズ、困りごとが顕在化してきたと思います。

サービスの幅が広がり、ビジネスの土俵が変化

加藤:お客様のニーズが顕在化して、より具体的になってきたということに対して、物流の部分だけを改善しても、荷主が求めていることに対しての答えにはなりません。異業種がより連携していくことによって実現するしかなくなってきていますし、いかにリスクを負ってまでも荷主のためにできるかという対応力やフレキシビリティを持つことを求められています。
ロジスティクスがいろいろな分野と絡んできているので、どのように対応するか、相当難しくなってきているのですが、当然そこでチャンスも生まれるわけです。だから、私たちのようにアイデアはたくさんあるのに、資本力がない会社がサービスインしていくためには、大和ハウス工業のような大きな力も活用させていただきつつ、小回りも利くというかたちでやっていかなければなりません。この1年やってきて、どのようなことが今市場は求めているのかを理解し、またそれを理解していく中で、さらに2年先、3年先に何が本当に求められるのかを考えることで、様々なアイデアを組み立てていける感覚がさらに強まった年だったと思います。

秋葉:例えば大手メーカーから、オーダーが入ってから東京都内は2時間で届けてくれという要求があったとします。これを解決するには当然いろいろな要素がありますが、店に並ぶまでの時間、店でのオペレーションも含めて、ロジスティクス、サプライチェーンをどう最適化するかが大きなポイントです。2時間は、オーダーが入ってからほとんど待たせずにいける時間です。半日かかる、1日かかるということであれば、店ですべて用意していないといけません。店のバックヤードに保管しておく必要が出てきます。そして今度はバックヤードから品出しをするという店舗側のオペレーションが出てきます。
実はここがポイントです。高頻度で店に届けることができる、あるいはお客様のところに届けられるという機能を持っているとしたら、そこから先の無駄なタッチ回数を減らすことができます。これは大きいですよね。
大和ハウス工業の建物を建てるというところまで含めて、一緒にベストなプランを考えていけるので、ダイワロジテックによって、物流がバリューを生み出すことができるようになりました。ビジネスの土俵が変わっています。

加藤:アッカ・インターナショナルとお客様との関係も大きく変わりました。業務の範囲が明らかに広がっていっています。物流だけで委託してくるお客様はほとんどいません。カスタマーサポートやささげ、ALIS、ロボット、さらには海外展開を一緒にしたいなど、全部ひっくるめて戦略的なパートナーとして、バリューアップを一緒にできるパートナーですよねといってくださる人たちが多くいらっしゃいます。単純な物流もたしかにできるのですが、全体的にサービスを提供できるほうがより私たちの力を発揮しやすいと思っています。

秋葉:私は以前からロジスティクスと物流という言葉を混同して使っていることに違和感があるといっているのですが、もともと、物流とは、いかに分配し、流通させ、配送するかというディストリビューションのことです。周囲にある生産、流通まで含めた戦略、戦術こそロジスティクスなわけです。まだまだ昔のディストリビューション、物流・配送の領域の中だけでやろうとすることや、ここだけで価値を出そうとするのと、本当の意味での経営戦略のところまで考え、お互いに価値を出しましょうと協力しようとする人たちでは、まったく違う話だと思います。

加藤:そこはお客様の意識として本当に変わってきていると思います。

秋葉:先ほどもいったように、センターだけではなくお店まで含めて、といった物理的な範囲も広がっていますし、こういうことをすると売上が伸ばせる、在庫回転率が上がる、つまり利益率を上げることができるなど、もはや、作業いくらという世界ではなく、サービス提供の深さや広さもまったく変わっています。
もう一つ、当然荷主さんは僕らにとって大切なお客様なのですが、その荷主さんの先のお客様、そこを一緒に見ることが大事だと思います。

ロジスティクスファイナンス

加藤:今、「ロジスティクスファイナンス」が具体的に動いていますね。

秋葉:ロジスティクスがファイナンスを生む。あるいは、ロジスティクスを中心とした証券化といった、いわゆる「ロジスティクスファイナンス」という概念があります。今まで物流系でファイナンスをかけようとすると、棚卸資産の価値をどう見るかだけでした。在庫の商品というのは、同じような商品でも、ある会社さんにとってはものすごく価値が出せるもので、ある会社にとっては出せないものかもしれないわけです。それを同じ在庫資産で見ているということ自体がおかしいと思います。瞬間の棚卸資産を見て価値を見るという話ではなく、ロジスティクスとしてきちんと動いていることに対してどう価値を見るかが「ロジスティクスファイナンス」です。

加藤:そのロジスティクスの動きをデジタル化して、「見える化」していないと、みんながわかる物差しで比べたり、価値をつけることができません。そこの整備が必要ですね。

秋葉:もう十何年も前ですが、物流倉庫を証券化していくスキームが生まれ、ある意味エポックメイキングなことが起きました。それに対して、ロジスティクスの仕組みにファイナンスをかけるというのはまた新しいことですし、価値が出せると思います。

加藤:以前のスキームはハードアセットで、「ロジスティクスファイナンス」は情報に価値を出すということです。そのためには、リアルタイムですべての販路の商いの状況がどれくらいの価値で、どういう推移で、会社が立てた予定に対してどれくらい達成できているのか、できていないのか、リアルタイムで把握しながら、最適な意思決定をし、実際のオペレーションを行っていくという体制が必要になりますし、すでに準備はできています。

秋葉:ロジスティクスのスコアカード的なものを出して、価値を証明できればいいのではないかと思います。経年の財務諸表を見れば、それでスコアカードが作れると思います。それとは別に、ロジスティクスの動きの数字でスコアカードを作るような仕組みができるといいですよね。
そうした仕組みを研究する意味でも、私たちは市川で様々な研究・開発を行っているわけです。まだまだやるべきことはたくさんあります。

加藤:様々な規模や業種のお客様にサービスを活用していただきたいので、最適なロジスティクス体制のためには何が必要なのか、私たちがしっかり把握したうえで、お客様に提供していきたいと思います。

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土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス会長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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