CASE19
医療施設
吉本整形外科・外科病院
- 所在地:
- 奈良県葛城市
- 構造:
- 鉄骨造
- 延床面積:
- 3,406m2
- 竣工:
- 2019年5月
- 用途:
- 一般病床(57床)
さまざまな外傷に対応できる整形外科として、地域から高い信頼を得ている一次・二次救急病院、それが吉本整形外科・外科病院様。年間の手術件数は1,200~1,300件を数える高い実績で、地域密着型の医療を実践しておられます。
開設以来、移転することなく同じ場所で医療を続けてこられた同院ですが、病院の老朽化は進み、抜本的な解決に向けて今回、新病院の移転・新築を計画されました。
計画のポイント
機能性を高めた新病院を新築・移転
患者様とスタッフの動線にこだわり、必要とされる機能をコンパクトかつ効率的に集約した新病院を計画。1階に外来・リハビリテーション・管理部門、2階に病棟・手術室という2階建ての構成で建設しました。
外壁には複数の色使いを施し、建物全体にさわやかで上質な雰囲気を演出しています。また、来院者の利便性を考慮し、十分な駐車スペースを確保しました。
広さと利便性にこだわり適地を確保
旧病院から自動車で約5分の距離にある葛城市内の約9,020m2の土地を購入。敷地は、十分な駐車スペースが確保できるだけでなく、バイパスにつながる生活道路に面しており、患者様やスタッフの利便性向上につながっています。
住宅密集地に立地していた旧病院。
高い医療技術が発揮できる環境を創造
新病院には、旧病院の約3倍のスペースを確保したリハビリテーションルームと、歩行訓練ができる屋外リハビリテーションスペースを設置。これに合わせスタッフの増員も実現されました。さらに、年間1,200~1,300件の手術実績を支える手術室を中心とした必要機能の充実を図られています。
年間1,200~1,300の手術が行われる吉本整形外科・外科病院様にとって、新病院の心臓部ともいえる手術室。
お客様の声
多くの機能強化と高い利便性を手に入れ
将来に向けた医療の可能性が広がる新病院
医療法人 興生会 理事長・院長 吉本 雅俊様
開設より50数年が経過し、施設面における課題が徐々に顕在化。私が理事長に就任した2002年以降も、施設基準への対応や耐震補強など、幾度も増改築改修を重ねてきました。旧病院の限界を感じ、2015年には新病院の新築・移転を決断、しかし、施設計画が思うように進まず、一時は断念して、旧病院敷地内での診療所への転換を考えたほどです。ですから今回、大和ハウス工業さんより納得のいく提案をしていただき、本当に感謝しています。
新病院の理想像を考えるにあたり、さまざまな必要要素が挙げられました。まずは「リハビリテーション機能の強化」です。年間手術数が多い当院ですが、入院患者様の平均在院日数を考慮すると、これ以上の手術件数は望めない状態。いかにスムーズに退院していただけるかを考えると、やはりリハビリテーションは今後、より重要度を高めていくことでしょう。
しかしながら、旧病院のリハビリテーション室は狭く、多くの患者様への対応が困難でした。今回、明るく広々と開放感のあるスペースが確保できたのは、患者様にとっても病院経営の面においても大きなプラス要素となりました。移転を機に導入した電子カルテの運用と併せ、今後は年中無休のリハビリテーションを実施する予定です。
次に重視したのが、「外来部門の動線」。整形外科には、車椅子や松葉杖など自立歩行の困難な患者様が多く来院されます。『そうした方々の動きを最小限にしたい』という発想から提案していただいたのが、中央に待合スペース、診察室と検査室を左右に分け、診療後は玄関前の受付へ向かってもらうといった“診療の流れに即した動線”。同時に職員動線の圧縮にも十分に考慮されており、待合スペースが乏しい状態だった旧病院と比べれば、まさに理想的と言える環境です。
また今回、手術室については、かなりこだわりました。いままでスペースや設備等の観点から対応できなかった人工関節などの手術も新病院では可能です。実は、移転したことで大学病院との距離が近くなったため、これまで以上に整形外科手術を中心とした、連携強化の可能性を期待しています。
人材確保の面においても、新病院の影響の大きさを実感しています。計画前は、いくら募集しても応募がなかったリハビリテーションスタッフの採用が、移転・新築発表後は非常にスムーズでした。他の部門のスタッフの採用にも期待できると思います。
また、小規模であっても職員寮・院内保育の機能を加えることは重要な要素。旧病院の職員寮に居住するスタッフは、完成を心待ちにしているようです。
今回、大和ハウス工業さんとの定期的な打ち合わせでは、丁寧な対応を実感しました。医療施設のトレンドを熟知されているだけに、提案内容も私たちの想像を超えるものがたくさん。なかでも病室の色合いや質感は、まるでホテルを思わせる高級な雰囲気で、とても驚きました。
令和という新たな節目の年に、念願の新病院が完成しました。今後も、外傷を中心とした整形外科の領域において、より質の高い医療の提供に努めていくことはもちろん、新病院隣接地に誘致予定の内科系診療所や調剤薬局、他の医療機関との連携を深めることで機能の充実を図り、“困ったときに通院しやすく、便利で、頼りになる病院”を目指していきます。