CASE13
医療施設
尾洲病院
- 所在地:
- 愛知県一宮市
- 構造:
- 鉄骨造
- 延床面積:
- 7,347m2
- 竣工:
- 2017年9月
- 用途:
- 回復期リハビリテーション病床(72床)、医療療養病床(59床)
在宅復帰に向けた包括的なケアに取り組み、地域医療における貢献度を高めてこられた医療法人来光会様。
法人における医療の中心的役割を担う尾洲病院では、病床転換に伴い回復期リハビリテーション機能のさらなる強化を計画。“施設面においての機能強化”を実現するために、新病院への建て替えを実現されました。
介護老人保健施設ピエタ様の移転建て替え(2021年)についてはこちらでご紹介しています。
計画のポイント
患者様の快適性を最大限に考慮
旧病棟では、診療科目ごとに分かれて診察室と待合スペースが配置されており、患者様、スタッフ様にとって使い勝手に不具合が出ていました。新病棟は、待合スペースを中心に各診療科目の診察室を配し、外来を一つのエリア内だけで完結する施設レイアウトとなっています。
玄関ホール部分に設けられた、高級感ある受付エリア。各診療科目の診察室へつながっており、外来が一つのエリア内だけで完結するよう、待合スペースを中心にレイアウトされています。
多目的なリハビリテーションを実現する充実の設備
スムーズな在宅復帰支援のため、より実践的な回復期リハビリテーションを行うための設備が充実。さらに、未病の方を対象に「基礎体力づくりによる健康増進」という目的から、旧病棟にも導入されていた屋内プールとフィットネスマシンも設置されています。
充実の機器を備えた1階のリハビリテーションスペース。ADL(日常生活動作)機能回復のための和室スペースも設けられています。
雇用維持・促進につながる職員向けアメニティスペース
職場環境の改善についてもきめ細かく配慮。更衣室には男女ともにシャワールームを設置。女子更衣室には、落ち着いて身だしなみが整えられるパウダースペースが設けられました。明るく広々とした職員向けの食堂・談話スペース、夜間にはリハビリプールやマシーンを職員も使用できる等、配慮されています。
シャワールームと大型のドレッサーを備えた更衣室。さらに、女子更衣室には周囲を気にすることなく身だしなみが整えられるパウダースペースが設置されています。
お客様の声
周辺環境・医療ニーズの変遷に対応し、
半永久的な地域への貢献を果たす。
医療法人来光会 理事長・病院長・施設長 𦚰田久様
尾洲病院を開設した9年後、ますます増える在宅療養が困難な高齢者に対して、私たち医療法人ができることは何かと考え、病院に併設するカタチで介護老人保健施設「ピエタ」を開設。これが医療だけでなく介護や福祉の分野へ総合的に取り組む大きなきっかけとなり、法人全体で在宅医療にも少しずつ取り組んでいきました。現在、尾洲病院を中心に介護老人保健施設、デイサービス(5事業所)、訪問看護ステーション、さらには社会福祉法人 来光会が運営する介護老人福祉施設やケアハウス、グループホームと連携し、グループ全体で地域の方々に医療・介護・福祉を通じた“安心の提供”を目指しています。
尾洲病院では、健康増進を目指したリハビリテーションに力を入れていましたが、今後はより多角的な目的を持つリハビリテーション機能が求められており、過去に幾度となく行ってきた建物改修では、私たちが望む“施設面においての機能強化”は実現できないと強く感じていました。
病院の建て替え計画を検討するにあたり、大きな課題となったのが「建設地の問題」です。周辺は、病院の開設後に市街化調整区域に指定されており、原則的に新病院の建設は不可能でした。「この地域に育てられた病院だから、なんとかこの地域で」という思いは強く、悩んだ末にご相談したのが大和ハウス工業さんでした。自治体との交渉や調整を全面的にサポートしてくださり、無事に建設許可をいただくことができました。思えば、多くの時間を費やしましたが、行政の理解と大和ハウス工業さんの親身な支援がなければ、この計画は達成できなかったと感謝しています。
新病院では、回復期リハビリテーション機能をさらに強化し、病床を倍の72床に増床(医療療養病床:59床)。リハビリスペースなどハード面の充実には特にこだわりました。さらに、職場環境の改善にも着手し、福利厚生にもつながる各種アメニティ機能を充実させることで、業務へのモチベーション向上につなげたいと考えています。設計段階から竣工間際まで大和ハウス工業の担当者には、いろいろと要望や意見を出させてもらいました。両者が意見交換する会議は、延べ90回にも及んだのではないでしょうか。根気よくきめ細かく対応いただき、結果としてその出来栄えには非常に満足しています。
施設計画についての今後の構想としては、まず旧病院は解体し駐車場にすることは決めています。そして何年後かに隣接している老健が老朽化し、建て替えの必要が生まれた場合にはその場所に移転。さらにその跡地は…、というように上手な土地の活用サイクルが考えられます。医療法人として半永久的にこの地域に根ざし、貢献していくことがグループの使命と考えています。
介護老人保健施設ピエタ様の移転建て替え(2021年)についてはこちらでご紹介しています。