特集:中小企業の為の不動産戦略~基礎編 第2回目~ CRE戦略の具体的なアクションと精査について
公開日:2017/10/26
CRE戦略の目的とは
CREとはCorporate Real Estateの頭文字を取ったもので企業が保有する不動産を意味します。所有するビル、工場、社宅等不動産の種類はさまざまです。
CRE戦略とは、企業と不動産の関わり方の方針で、企業が所有する不動産を最大限有効に活用することにより、「企業価値の最大化」を図ることを目的とします。
企業価値を何で測るかは、企業の状況によって異なります。上場している企業ですと、株価、時価総額などのわかやすい指標があります。一方、中小企業等では、売上、利益、経常利益等で測ることになります。そのため中小企業にとってのCRE戦略とは、効率的に不動産を使って、いかにお金を生み出すか、生産性を上げるか、株主や社員に利益還元するか等が重要となります。
中小企業における資産線引きの曖昧さ
中小企業の場合、経営者(創業者)の資産と会社の資産の線引きがあいまいなことが多く、これは銀行から融資を受ける際に担保、個人保証等の事からこうした曖昧な状況が生まれていることが多いのだと推測されます。
こうした点を考えると、中小企業の不動産戦略を上手く行うことは、会社と経営者の資産の線引きが明確になり、その先にある事業承継が行われる際にも、有効な手段になりうるということになります。
CRE戦略の具体的なアクション(1)精査ステージ
まず、具体的なアクションを起こす前段階に「精査」のステージがあります。企業が関わっている(所有する、あるいは借りているなど)不動産について、次の視点で精査を行います。
- 1)コアビジネスかノンコアか
事業に深く関わっている動産なのか、それともそれほど事業に関係がないのか?
前者には、オフィスや工場、倉庫等があります。後者には、社宅、保養所などがあります。 - 2)収益をあげる不動産かどうか
不動産そのものがお金を生むのかどうか?事業で使う不動産では事業収益が上がります。
また、賃貸で貸している物件からは賃貸収入があります。 - 3)不動産の活用状況
毎日使う、時々使う、滅多に使わない等使用頻度の確認を行います。
こうした、不動産の活用状況をしっかりと精査します。
さらに、各不動産の資産価値についても、専門家に依頼して金額を査定してもらい、具体的な価値を把握します。
CRE戦略の具体的なアクション(2)代表的な3つのアクション
精査すると、1番多いのは、適切に使われている不動産を「現状のまま活用する」だと思います。
精査に基づき、改善が必要な場合は以下のようなアクションを検討します。
しかし、そうではないもの、つまり、あまり活用されていないもの、利用効率が悪いもの、あるいはあまり収益の上がっていないものなどは、精査に基づき、改善する必要があります。
- (1)遊休地(あまり使われていない)について
・売却
・遊休地活用(賃貸物件などを建てて、貸す等) - (2)低利用地について
都市部で、容積率等が、使い切れていない状態。さらなる有効活用が見込める。
・建て替え
・未使用部分の貸し出し - (3)低収益地について
・利用用途の変更(コンバージョン)
代表的な3つの例の他にもさまざまな検討ができますが、専門家に解決策を相談するのがいいと思います。