土地活用としての「コインパーキング事業」を考える(2)
コインパーキングの新たな需要、パーク&ライド、パーク&ワーク
公開日:2016/09/30
通勤の駅を変える人もいるほどのパーク&ライド
10年ほど前からパーク&ライドと呼ばれる、駅前に通勤用のコインパーキングをつくるというケースが非常に増えてきました。
たとえば、地方や郊外において、バスで駅まで行こうとすると、本数も非常に少なく、料金も片道200円強、往復で500円近くかかったりします。ところが駅前でもコインパーキングを使うと安いところだと1日300円~600円で利用可能な場合もあります。
そうなると、バスと比較してもほとんどかかる金額は変わりませんし、バスを待つ時間も必要ありません。また、時間も何時になってもかまいません。
駅周辺に店舗も何もないところで、大きなコインパーキングがあることがありますが、これはまさしくパーク&ライドです。近隣住民の方がコインパーキングを通勤に利用されているわけです。
今では、コインパーキングが沢山あるという理由で隣の駅まで車で行って、コインパーキングを利用する人もいるほどです。
パーク&ワークというワークスタイル
パーク&ワークとは、郊外の工場や生産施設の近くにコインパーキングをつくり、その工場等で働いている方々が、車で通勤してきて、職場近くのコインパーキングに駐車し、勤務するというスタイルです。
交通が不便なために車で通勤したいが、会社の敷地内には従業員用の駐車場がない場合や仕事着のまま、仕事道具をもって公共の交通機関で移動はしたくないというニーズもかなりあります。
現在は、工業団地のような複合的に様々な会社の施設が建っているような地域に10台~20台くらいの駐車場(コインパーキング)を作ると、すぐに埋まり、またそこから100~200m離れたところに作ると、また違う会社の需要があり、すぐに埋まってしまうという状況です。
今までは、工業団地に有料駐車場(コインパーキング)をつくっても、「停める人などいない」と言われていたのですが、今ではこうした多くのコインパーキングが非常に高い稼働率状態を実現しています。
また、こうした工場は、駅から遠いために、工場への来客者のニーズもあります。ですから、朝停めたら夕方まで車は動かないと予想されていましたが、意外に1日の中でも入れ替えがあります。
鎌倉や京都といった観光地でも、混雑緩和の為、指定の駐車場まで行き、車を駐車させた後、バスや鉄道等の公共交通機関を利用して目的地に向かう、といったパーク&ライドのスタイルを推奨するようになっています。他の地域でも徐々に多くなってきています。
公共事業としてのコインパーキング
公共施設においてもコインパーキングを活用して、収入源にするような動きもあります。
たとえば国立病院などで、テレビは有料なのに、駐車場という最も高価な資産である土地の利用は無料となっていたりします。
これではおかしいだろうということで、最近では、付帯駐車場をコインパーキングとして収入の一部としているケースがあります。公共施設においても、車で来る方と公共の機関を使って来る方をきちんと分けて、車で来る方からは駐車料金をいただき、サービスを行っていくというシステムを選択されているところが増えています。
また、多くの地方自治体が、現在「空き家の老朽化」という大きな問題を抱えています。
これは、老朽化した空き家が居住環境や地域活性化の阻害をしていて、防災面でも防犯面でも、地域内で問題になっている、というものです。
空き家の解体費用等に助成金を出している自治体もあるほど対策が急務となっており、解決策の一つとして、コインパーキングが採用されるケースが(大和ハウスパーキングにおいて)増えています。
これらは資産の有効活用だけではなく、大きな視点で見れば、地域の活性化にもつながりますので、こうした動きが今後さらに広がっていくでしょう。