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  • 土地活用法律コラム

コラム vol.093

ケースで学ぶ「土地活用と法律」(3)
無断で転貸は違法? 土地の転貸と増える民泊について考える

公開日:2016/01/05

事例(5): 土地を貸したら無断転貸されていた?

この事例は、土地を所有する方が建物所有目的で賃貸していたところ、いつの間にか貸主に無断で第三者に転貸されていて、しかも、賃料の支払いも滞っていたというケースです。
このように賃貸目的物の無断転貸が判明した場合、不動産所有者としてはどのように対処すべきでしょうか。

賃貸借契約

賃貸借契約において、賃借人は賃貸人の承諾なく賃借権を第三者に譲渡したり賃貸借目的物を第三者に転貸したりすることはできません(民法612条1項)。賃借人がこれに違反した場合には、賃貸人は賃貸借契約を解除することができます(民法612条2項)。賃貸借契約を締結するときに、きちんと賃料を払ってくれるかどうか、契約の決まり事を守ってくれるかどうか、審査したうえで契約するのが一般ですから、勝手に賃料すら払ってくれないような第三者に又貸しされたのでは困ります。賃貸人は契約を解除して、賃借人にも第三者にも明け渡しを求めることができます。
もっとも、賃借権の無断譲渡や賃貸目的物の無断転貸であっても、解除できない場合があります。すなわち、第三者に何も問題がなく賃貸人に損害がないような、賃貸人と賃借人との信頼関係が破壊されたとはいえない特別の事情が認められる場合には契約の解除が認められません(最判昭和28年9月25日民集7巻9号979頁)。
例えば、借地人が同居していた妻に借地権を賃貸人に無断で譲渡して離婚した場合や、個人事業主である借地人が法人化して借地を賃貸人に無断で会社に使用させた場合は、形式的には無断譲渡、無断転貸ですが、実質的には従前の利用状況と変化がないことから、信頼関係を破壊するような背信的行為には該当しないとされます。

賃貸借契約の解除の通知

無断転貸が判明した場合、早急に無断転貸を理由とした賃貸借契約の解除の通知を行うことが必要です。なぜなら、無断転貸であることを知りつつそのままにしていると「黙示の承諾」があった、賃貸人と賃借人の信頼関係を破壊するような背信的行為がなかったとされて解除が認められなくなる可能性があるからです。
今回のケースでは、まず賃借人に対して内容証明郵便で賃貸借契約の解除を通知するとともに、未払いの賃料については交渉の結果、分割払いで支払うという内容の和解をしました。
また、転借していた第三者は、きちんと賃料を払っていける会社だったので、賃貸人である所有者の方は直接この第三者と賃貸借契約を締結しました。

事例(6): いま流行の『民泊』って法律違反なの?

この事例は、大家さんが賃貸マンションの空室をホテルの代わりに旅行客に宿泊させることに法律上問題があるのか気になって、弁護士に相談に来られたケースです。
少子化や人口減少に伴い、賃貸住宅やマンションの空室がでてきた大家さんの目に留まったのは、「あなたの賃貸マンションの空室、旅行者の方に泊まってもらいませんか?」という案内。
円安の影響もありいわゆるインバウンドといわれる海外旅行客の方たちが年々増えています。
都心、地方を問わず、ホテルの宿泊予約が取りにくいこともあるそうです。
そこで、ホテルではなく、一般のマンションや賃貸住宅の空室をホテル代わりに宿泊してもらうといういわゆる『民泊』というものがでてきました。それを知ったこの大家さんは、自分の賃貸マンションの空室で『民泊』を行ってもいいのか相談に来たわけです。

旅館業法に違反する可能性

宿泊料をうけて人を宿泊させる営業は旅館業にあたります。生活の本拠を置くような場合は貸室業であって旅館業には含まれません。
この旅館業を営むには都道府県知事の許可を受ける必要があります。
したがって、大家さんが知事の許可なく、継続的に、旅行者から宿泊料を受け取って空室に宿泊させることは旅館業法に違反する可能性があるのです。
もっとも、国家戦略特別区域では、滞在期間、部屋の広さ、設備など一定の要件を満たせば、旅館業法の適用が除外されます。
平成27年10月には、政府の規制改革会議において、『民泊』に関する規制を緩和し、外国人観光客の増加による宿泊施設不足に対応することを発表。大阪府でも『民泊』条例が可決しました。ところが、京都では、マンション民泊業者が旅館業法違反の疑いで事情聴取を受けています。
規制緩和の傾向にあるとはいえ、『民泊』を実施するためには旅館業法の適用が除外されるのか、各地の条例によって要件を満たせばできるのか、慎重に対応することが必要です。

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