長生きするリスクをカバーし、同時に相続対策にも効く不動産投資術。
第1回 長生きするリスクとは?
公開日:2016/08/31
平均寿命が飛躍的に伸びた日本人
人が長生きをするという事は、かつての日本ではとてもおめでたい事でした。おめでたい事ですからそれをお祝いする為に先人は様々な語呂合わせを用いて、人が長生きした喜びを言葉で表し家族で大いにお祝いしていました。
還暦(数え年61歳)・古希(数え年70歳)・喜寿(数え年77歳)・傘寿(数え年80歳)・盤寿(数え年81歳)・米寿(数え年88歳)・卒寿(数え年90歳)・白寿(数え年99歳)
厚生労働省が公開している「平成27年度簡易生命表の概況」※によりますと、終戦直後昭和22年の日本人平均寿命は、男50.06歳、女53.96歳、でした。という事は、当時は還暦まで生き抜く事さえ難しい時代であり、故に、先のような長生きをお祝いする言葉や習慣が生まれたのだろうと考えられます。
※参照データ…「厚生労働省 平成27年簡易生命表の概況」
一方、平成27年になりますと先の平均寿命は劇的な変化を示し、男80.79歳、女89.05歳まで日本人の平均寿命は伸びました。かつて還暦まで生きればめでたい!といわれていた時代と比べて、現代社会に生きる日本人は、男性約30年、女性に至っては約35年も長生きできるのが普通となってきているのです。街を歩いている60歳前後に見える初老の紳士やご婦人が、実は80歳オーバーだと知ってビックリした!といった経験が、誰でも一度や二度はあるのではないかと思います。名実ともに現代の日本社会が超高齢社会に突入している具体的一例といえるでしょう。
平均寿命と健康寿命
ところで「平均寿命」と似たような言葉で「健康寿命」という言葉も皆さんは聞いた事があると思います。
平均寿命とは亡くなる瞬間をゴール地点と考えた場合、そのゴールに到達するまで平均何年生きられるのか? を表した数値です。一方健康寿命とは闘病生活に突入する瞬間をゴール地点と考えた場合、そのゴールに到達するまで平均何年健康で生きられるのか?を表した数値です。
厚生労働省が公開している「平均寿命と健康寿命をみる」※によると、平成22年度の日本人の平均寿命と健康寿命は以下のようになっています。
- (1)平均寿命 … 男性:79.55歳、女性:86.30歳
- (2)健康寿命 … 男性:70.42歳、女性:73.62歳
- (1)-(2)の差 … 男性:9.13年、女性:12.68年
つまり、現代社会に生きる日本人は男女とも人生の終末期において、約10年前後もの長期間に渡り闘病生活を送る可能性が高い事がこれら統計データから読み取れます。闘病生活を送るのですから、当然ながらそれらに必要な医療費や介護費等を自己負担する事となり、また、それらとは別に生きるために必要な全ての費用も加えて自己負担する必要があります。
※参照データ…「厚生労働省 平均寿命と健康寿命をみる2」
長生きするリスクとは?
仮に1年間という時間軸の中で生きるために必要な全ての費用が500万円ほどかかるとすれば、10年生きれば5,000万円必要となりますし20年生きれば1億円必要な計算となります。但しこれらには医療費や介護費等は含まれておりませんので、健康寿命が満了してから本当の意味での寿命が来るまでの数年間は、これらの費用に加えて闘病生活中にかかる諸費用もプラスして計算する必要がある事も予め覚悟しておかなければなりません。
ちなみに、これら闘病生活中にかかるであろう諸費用は、今後医療費等の値上げ、薬代等の値上げ、また健康保険被保険者負担割合率アップ等が起これば、現時点で認識可能な諸費用水準を遥かに超える可能性がある事も併せて覚悟しておいた方が良いと思います。
かつての日本人は還暦までに寿命をまっとうする事ができたのですが、超高齢社会に生きる現代の日本人は、医療行為等の進歩により、かつての時代に比べて飛躍的に長生きできるようになり、その結果、寿命をまっとうするまでの時間で、生活費、医療費、介護費等、の個人負担分がかつてとは比較にならない位莫大にかかる可能性が高くなってきています。
結果として、生きる為に多額のお金が必要になることがわかります。それらの必要なお金が準備不十分なまま、超高齢社会に突入しているのが現代社会の実態であり、長生きするために必要となる生活費、医療費、介護費等をどのようにして確保するのか?一切無策のまま歳だけ取っている…。
これが「長生きするリスク」なのです。読者の皆様は長生きするリスク対策については万全でしょうか?