マンション建替えには状況に応じてさまざまな方法がありますが、一般的には組合施行によるマンション建替えが住民にとって有利な方法と考えられています。組合による運営や意思決定のルールが法律によって明文化され、労力のかかる合意形成や事業実施への道筋が整えられているのが、その理由です。
組合施行によるマンション建替えが住民にとって有利な点として以下のメリットが挙げられます。
組合施行方式のメリット
建替え決議
5分の4以上の賛成があれば成立
建替え決議は区分所有者及びその議決権の各5分の4以上の賛成で成立します。個人施行方式の場合は全員の同意が必要となります。もちろん、全員の合意は望ましいことです。決議のときに出席できなかったなど、賛成の意志を示せなかった方でも、後に賛成の意志を示す機会があります。
建替組合の設立
公平・公正な組合運営方法と事業計画概要
建替組合の設立には建替えに合意した組合員(住民)が定款と事業計画を作成したうえで知事等に申請をし、認可を受ける必要があります。こうして建替組合の運営方法や事業計画概要の公平・公正が保たれます。また、非賛成者に対して売渡し請求権の行使ができます。
権利変換
公平・公正が保たれる公的認可
「住戸を取得するか」「金銭を取得し転出するか」を決める権利変換は、知事等から公的な認可を得る必要があります。言い換えれば、公平・公正が保たれる仕組みになっています。
マンションに関する権利の担保
組合員のマンションに関する権利が消滅してしまう期間がありません。(他の方式では権利が一旦消滅する場合があり、住民にとってリスクとなります)
抵当権の移行(ローンの移行が可能)
抵当権をそのままに権利変換ができるため、従前のマンションでのローンを従後の新しいマンションに移行できます。つまり一旦ローンを完済する必要がありません。
工事実施 / 新マンション完成
税制の特例の享受
住戸の取得を選択した住民は、権利変換によって新たなマンションを取得するときに、さまざまな税制の特例を受けられる場合があります。
住民にとって
マンション建替えが有利に!
法定建替えと任意建替えの違い
建替えには大きく「法定建替え」「任意建替え」の2つに分けられ、さらにそれぞれの建替えには複数の建替えがあり、ケースや状況によってさまざまな方式を選択することができます。
これまで触れてきたとおり、建替えをする場合は、法定建替えに含まれる「組合施行方式」が、住民にメリットのある方法である場合が多いといえます。