マンション建替えにおいて、しっかり理解しておくべきことのひとつが費用に関することです。流れ、項目、発生のタイミングなど、費用についてのポイントをおさえることで、マンション建替えへの理解が深くなります。
マンション建替えの「事業コスト」
●マンション建替えは資金調達が可能な事業
建替えにあたって、一戸建てやマンションに共通していえることは、資産価値が向上することです。一方で、一戸建ての場合は自己負担ですが、マンションの場合は、図のようにデベロッパーから費用を補填できる可能性があります。つまり、マンションの建替えは、他者からの資金調達を検討し、実現できるかもしれないのです。
- ※1 従前マンション・・・建替え前の旧マンションのことを指します。
- ※2 従後マンション・・・建替え後の新しいマンションのことを指します。
●資金の流れ(例)
※金融機関からの貸付の場合もあります
建替組合は、保留床を売却することで事業資金を得ます。
新しいマンションが建った後、図のように保留床(※1)を売却、あわせて権利床(※2)を取得することで、建替組合(住民)は新しいマンションの住戸を手にします。
※1 保留床 … 権利変換後にデベロッパーに売却する建物・敷地・専有面積など、いわゆる住戸や不動産のこと。デベロッパーは、取得した保留床を分譲します。
※2 権利床 … 建替え前の権利の所有者=建替組合(住民)が、建替え後に得られる建物・敷地・専有面積など、いわゆる住戸や不動産のこと。権利変換計画にしたがって、建替え前の権利に相当する権利床を得ます。
担当者からの
アドバイス
保留床売却までは金融機関やデベロッパーから資金を調達する必要があります。ダイワハウスでは資金の貸付や金融機関のあっせん等のサポートを行います。
大和ハウス工業株式会社 平山正樹
●マンション建替えにおける主な費用
マンション建替えにかかる費用はさまざまですが、まず認識しておきたいのは、建替組合負担となる「事業として発生する費用」と、個人負担となる「各個人に発生する費用」があることです。なお、個人負担における「新居取得のための負担金」は一律の規定があるわけではなく、取得する住戸をどう選ぶのかによって大きく変わります。デベロッパーやコンサルタントとしっかり相談して住戸を選ぶことが重要です。
建替組合負担 | 個人負担 | ||
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準備・検討 段階 |
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計画段階 |
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施工段階 |
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入居時 |
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全般的に かかる費用 |
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※事業内容によって費用品目や金額は異なります。
事業コストが決まるまで
組合負担となる事業コストは、以下のステップのなかでそれぞれ確定していきます。
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(1)事業協力者選定
デベロッパーが提案する事業計画(案)。大まかな事業コストも提示される場合があります。複数の会社を比較して選定するのが一般的です。
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(2)「建替え決議」の実施
建替組合設立の合意を得るにあたっての、事業計画概要です。建設会社などが決まってないので、まだ未確定要素があります。
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(3)建替組合設立認可
合意を得た事業計画概要から、詳細な計画を行います。建物の詳細設計が始まるのはここからです。
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(4)権利変換計画認可
事業計画が確定し個人の取得住戸が決まる、このタイミングで個人の負担金などが一旦決まります。
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(5)お引渡し
お引渡しまでに新居取得のための負担金を建替組合に収めます。
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(6)建替組合解散・清算
すべての費用が確定。清算を行います。
個人の負担金がいくらになるか分かるのは(4)権利変換計画認可のタイミングだという点、また、さまざまな要因によって費用の変動があるという点は、あらかじめ認識しておきたいポイントです。
最大のメリットは資産価値の向上
マンションの建替えにおける最大のメリット、それは資産価値の向上です。資産価値の向上は、すべての住民にとってプラスとなるため、建替えにおける住民間の合意形成において、最も推進力となる材料のひとつです。以下では、具体的な資産価値の向上についてご紹介します。
住民の費用負担を左右する「還元率」
従前マンションの専有面積に対して、無償で取得できる従後マンションの専有面積の割合を指す還元率。ただし、還元率に一喜一憂せず、総合的に冷静な判断をすることが重要です。以下では、知っておきたい還元率のポイントについてご紹介します。
建替えの費用は条件によってさまざまです。
ダイワハウスでは条件をふまえた簡単な無料試算も対応しています。