宮前グリーンハイツマンション建替え事業
マンション建替組合理事長の三浦祥一様に
宮前グリーンハイツ建替えについての感想をお聞きしました。
プロフィール
- ・神戸市施行の六甲駅前地区第一種市街地再開発の代替住宅として、昭和56年の宮前グリーンハイツ竣工時に三浦様のお父様が取得、その後相続されました。
- ・平成24年の再生検討委員会設置のときの管理組合理事長。
再生検討委員会の会長だった福本様の「少しでも若い方にお任せしたい」という意向を汲み、建替組合の理事長に就任。最後まで理事長を務めていただきました。
左から 福本会長、三浦理事長、大和ハウス工業 マンション事業推進部 再開発・建替推進グループ グループ長 西本
●建替え事業の経緯など
- ● 建物の老朽化、所有者の高齢化、外部居住者や空き住戸の増加など、管理組合による建物・設備の維持管理活動が困難になる要因が増えてきていたこと。
- ● 建物(特に給排水設備)の老朽化対策と防火避難安全性の改善対策の為、今後の建物の維持、補修には大規模な修繕費が発生することが予想されたため。
●事業の特徴
- ● 再開発事業の権利者の受け皿として建設された分譲住宅の建替事業
- ● 神戸市で初※のマンション建替法に基づく法定建替事業
- ● 建替組合が施行者となり、権利変換手法による権利の移行
- ● 主に権利者の少人数世帯向けとして40m²台、50m²台の小規模住戸を設置
- ● 住宅金融支援機構の高齢者向け返済特例制度(まちづくり融資)の活用
- ● ダイワハウスが参加組合員として、保留床を一括取得
※当社調べ(平成26年10月時点)
- 所在地
- 兵庫県神戸市灘区森後町3丁目地内
- 敷地面積
- 1,295.72m²
- 築年数
- 築33年(1981年築、建替決議時)
- 事業手法
- 「マンション建替え円滑化法」に準ずる
建替え前 | 建替え後 | |
---|---|---|
規模 | 鉄筋コンクリート造地上5階 | 鉄筋コンクリート造地上14階 |
総専有面積 | 2,410.94m² | 4,548.40m² |
総戸数 | 36戸 | 69戸 |
間取り | 2DK、2LDK~4LDK | 1LDK+F※1、2LDK、3LDK |
専有面積 | 56.19m²~98.14m² | 43.50m²~72.74m² |
※1 納戸
建替えを経験して分かったポイント
- 普段から権利者同士のコミュニケーションがとれていることが大切
- 2回の引越しと仮住まいは大変だけど、その対価が「新しいマンション」
- 建替え成功の秘訣は「高齢者への配慮がどれだけできるか」
●建替え事業全体で印象に残っていること
約5年間、理事長として取り組んだマンション建替え事業のなかで、一番印象に残っていることを教えてください。
やはり新しいマンションが完成して鍵を引受けた時ですね。感動と喜びで涙がこぼれそうになりました。検討期間の4~5年や約2年の仮住まい期間がやっと終わって、新しいマンションに住めるんだという嬉しさがあって、一番印象に残っています。
はじめは建替えに乗り気でない方もいらっしゃいましたね。
推進決議の時は、まだ賛成か反対か気持ちが中途半端な方も多くいらっしゃいました。そこから建替え決議までの1年間、説明会や個別面談を通じて気持ちが建替えに向くように変わり、結果として全員賛同となりました。理事長としては、苦労したことがいくつかありましたが、全員賛同で建替組合の認可をもらったときは嬉しかったですね。
全員賛同になってからは、スムーズに事が運んでよかったと思っています。
●建替え後の新しいマンションでの暮らし
新しい住まいはどうですか。
私個人としては住まいが新しくなるのは4回目です。ここが一番規模が大きくて、最新の住宅設備機器がついている。住み心地は快適です。建替え前は私の部屋は3階でしたが、建替え後は8階の部屋を取得したので見晴らしがよく、夏には神戸港の花火が見えました。
建替え前よりも部屋は狭くなりましたが夫婦2人暮らしにはちょうどいい感じです。
妻も台所が使い勝手がいいようですし、洗面台やお風呂が広くて喜んでいます。
建替え前のマンションと比べて一番変わったことはなんでしょう。
オートロックやインターホンなどセキュリティ面での不安もなくなりました。新しい管理人さんもよくみんなに声をかけてくれています。また、各居室にクローゼットがついているので、家具を置かなくてよいのはいいことです。もっと大きなクローゼットだとなおよかったのですが、贅沢ばかりは言えませんね。
新しいマンションでも理事長をされていると聞いています。
いろいろ建替えに関する書類などもあったようなので、理事長を引受けました。理事6人のうち、3人は宮前グリーンハイツのころのメンバーです。
最初なのでやることは多かったですが専門家である管理会社がついていますし、自治会や公園の掃除のことも含めていろいろと決めていきました。
新しい住人が増えたことへの違和感はまったくありません。若い夫婦や小さいお子様がいる家庭も多いのですが、エレベータやエントランスで会うとみなさん礼儀正しく挨拶してくれます。
●仮住まいを経験して
仮住まい探しや仮住まい期間のことを教えてください。
仮住まいについては次のような流れでした。
- 1. 仮住まい先を探す
- 2. 荷物の整理と処分
- 3. 引越し
- 4. 仮住まい先での2年間の生活
- 5. 引越し
- 6. 新マンションでの生活が始まる
仮住まいは探し始めるまでは不安が大きかったです。大和ハウスグループの日本住宅流通さんにお願いをして手伝ってもらい、実際に探し始めるとスムーズに仮住まい先が決まりました。仮住まい先がマンションの近くなので建設中の現場をよく見に来ました。近くで仮住まいをしている方が多かったので、みなさん何かのついでに見に来ていたようです。理事会で集まった際にも見に来て、完成が楽しみでした。仮住まいの2年間、理事の方もよく理事会に参加してくれて、みんな建替え事業に熱心でよかったと思います。
引越しの際に荷物の処分はどのようにしましたか。
新しいマンションの部屋はこれまでより狭くなることが分かっていたので、引越しの際に荷物は結構たくさん捨てました。以前の管理組合の管理費を使って敷地内にゴミ捨て用のコンテナを設置しました。皆たくさん捨てていて予算オーバーとなりましたけど、皆がいろいろと捨てやすかったと言っていたのでやってよかったと思います。
●高齢者への配慮について考える
事業としての高齢者対応についてはどのようにされましたか。
ここのマンションは権利者の高齢化が進んでおり、建替え決議時点で70歳を超えている方が半数以上でした。一人住まいの人向けの小さい住戸を用意してもらい、再度入居することを希望する人達が皆ここを離れることなく戻ってくることができてよかったと思っています。
コンサルさんもダイワハウスさんも積極的にひっぱってくれたのでありがたかったです。住戸選定の際にも建替組合として皆の総意で配慮が出来ました。普段からのコミュニケーションが生きた場面だったと思います。
●建替えを経験してわかったこと
引越しを2回しなければいけないことくらいはわかっていたけれど、それ以外のことは初めて経験することばかりでもともとのイメージはありませんでした。わからないことばかりなので、信頼できる事業協力者を選ぶということがいかに大切だったかということです。
大変なことは多々あったけれど、その対価が新しい住まいを手に入れることだったと思っています。
また、高齢者への配慮、丁寧な説明や引越しのフォローなどをしてもらって、お年寄りをはじめ、適切なケアがうまくいくことが成功の秘訣だったと思っています。コンサルさんもダイワハウスさんも、困ったことがあって電話するとすぐに駆けつけて対応してくれたことはありがたかったし、心強かったです。ダイワハウスさんはみんな親切でいろんな相談に乗ってくれました。ダイワハウスさんにお願いしてよかったと思っています。
●今後のダイワハウスに期待すること
事業全体を通じて、ダイワハウスの取組みはいかがでしたか。
権利者同士はもともと良好なコミュニティが形成できていましたが、権利者とダイワハウスさんもよくコミュニケーションが取れていて信頼関係を構築できたと思います。最後の方はほとんどお任せ状態になっていました。
今後も事業規模にかかわらず分け隔てなく、ここと同じスタンスでやっていただければと思います。みんなが笑顔で事業を終わることができて本当によかったと思っています。
この度は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。