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コラム vol.471-12
  • 土地活用税務コラム

CASE12「生前相続家族会議」の正しいやり方とは

公開日:2024/07/31

父はまだ元気ですが、ある日、兄から突然「親父の相続の話をするぞ」と家族会議を持ちかけられました。なんともいえない違和感を覚え、どうにも気持ちが乗りませんでした。それは他の兄弟姉妹も同じらしく、足並みが揃っていないように感じていました。
大事なことなのでスムーズに進めたいとは思うのですが、どのようにすればいいのでしょうか。

家族会議は親の主導のもと始める

相続をトラブルなく進めていくためには、生前相続家族会議をうまく実施することが必要となりますが、兄弟姉妹がいる場合、親の相続について、たとえば兄から「相続対策の話をするぞ」と言われたら、イヤな感じがするのではないでしょうか。「何かあるのかな?」と思ってしまうかもしれません。
一方で、父から同じことを言われたとしたら、納得できるのではないでしょうか。
相続対策を行う上での鉄則として、親の相続に関する生前相続家族会議を子ども世代から他の兄弟姉妹に言い出さないほうが良いでしょう。父または母から呼びかけるべきものなのです。

生前会議の参加メンバーは、必ず法定相続人だけにしましょう。それぞれの配偶者や家族を入れてしまうと、お互いが権利の主張ばかりしてしまうことにもなりかねず、もめる原因となります。会議が決裂すれば、弁護士などの第三者が入ることになることもあります。
そして、家族会議の進行・司会も親が行うようにしてください。子どもが司会をしてしまうと、疑いの目を向けられてしまうこともあります。あくまで親が主導で進めることが大切です。
主導するということは、親として準備しておくことも少なくありません。次のような内容に関して、事前に準備したり、まとめたりしておくことが必要です。

  • ・相続する財産目録を作成する。
  • ・土地を含め親から相続した財産は、すべて自分の名義に変更しておく。
  • ・自分の財産を配偶者や子どもたちにどのように分配したいか決めておく。
  • ・老後の生活設計をしておく。
  • ・自分の近況、健康状態を正確に把握しておく。
  • ・子どもたちが遠距離であれば交通費などの経費を用意する。

生前相続家族会議の注意点

親や子どもが、自分の希望や考えを伝えるだけでは、せっかく開催した家族会議も効果が半減してしまいます。考えを伝えるとともに、より良い解決策を見出していくために、家族会議に臨む心づもりを明確にしておく必要があります。
まず、親子が親の相続発生後、お互いの希望を叶えるためには、どのような対策を行えばいいのかということです。前向きに、何をすればいいのかを考えるわけです。
次に、今後どのようなリスクが待っているかも想定しておく必要があります。こちらは、避けてしまいがちなテーマですが、病気やいま想定できるリスクなどに備えておくことも大切なことです。
ただし、この場合、専門的な相続に関する知識や税金に関する知識も必要となることも多いでしょうから、弁護士や税理士などの専門家を交えて会議を行う必要があるかもしれません。

議事録も残しておく

家族会議でほかに気をつける点は、きちんと「議事録」をつくり、「誰が何を言った」という内容を残しておくことです。議事録をつくるのは大変ですが、それをもとに遺言書をつくれば、誰からも不平のない内容になるでしょう。
遺言書を親と長男だけでつくるようなことをすると、他の兄弟姉妹の不審を招きます。だからこそ家族会議が重要なのであり、議事録をつくっておくことが不可欠なのです。議事録をつくっておけば、「あなたは賛成したよね」「意見も主張したけれども、最終的にOKしたよね」「だから、このような遺言書になりました」というエビデンスになります。 実際には、遺言書があったとしても争いになるケースがあります。「親父とこんなことを話した記憶はない」「勝手に兄貴がつくったに違いない」などと言い出す相続人が出てくる場合があり、結果的に裁判沙汰になるケースがあります。
家族会議は、まず親が音頭を取って開くこと、親が司会進行を行うこと。そして、議事録を残しておくことが大切です。
議事録には出席者がサインをし、「この通りだったよね」という共通認識を持つ形にしましょう。

家族が揉めないためには、生前からの準備が大切

この議事録に基づいて遺言書の作成や財産分けを行っていくことが、わたしたち税理士がおすすめする「しくみ」です。
きちんとやっていれば問題のないことでも、このようなことをしていないために、多くの人が揉めてしまっているのです。
もうひとつ、とても大切なことをお伝えします。「相続税の申告には、税務調査がつきものである」ということを認識しておいてください。税務調査があっても問題ないようにしておくことは非常に大切なのです。このことを忘れず、相続の準備をしていきましょう。

家族会議は一度開催して終わりではありません。最初に開催することができれば、その後は定期的に開催し、親の近況と想いを伝え続けるのが理想的です。

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