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コラム vol.249-6
  • 土地活用法律コラム

家族信託第6回 家族信託の手続きの流れ

公開日:2018/09/28

POINT!

・「任意代理・任意後見」、「信託」、「遺言」の3点セットがお勧め

・70歳までには、財産相続について考えておく必要がある

具体的な家族信託の流れを見てみましょう。
まず、図1のチェックシートを活用して、ご相談者が抱えている問題を明確にしてください。
一つでも当てはまる項目がある人は、家族信託の活用を検討してみてください。

「財産管理等委任契約·任意後見契約」、「信託」、「遺言」の3点セット

私どもはご依頼者の望みを叶えるために、「財産管理等委任契約・任意後見契約」、「信託」、「遺言」の3点セットをお勧めしています。
信託は、財産管理をする役目は果たせますが、受託者は本人の代わりにはなれません。認知症が進んでしまい、後見人を立てなくてはならない状況もあるかもしれません。裁判所から専門家が後見人に選任されることを希望しない場合には、本人が選んだ信頼できる人に後見人になってもらえるよう「任意後見契約」を組んでもらいます。これは公正証書にする必要があります。
そして、拒否されないのであれば、「遺言」を作成してもらいます。「信託」は契約日時点の財産をどうするか、を決める契約ですが、その日以降に財産が増える可能性があります。お亡くなりになった時点での財産とイコールではありませんので、遺言で死亡時の信託していない財産の継がせ方を決めてもらいます。
また、お墓や仏壇を大切に継いでいってほしいと願う方は多いのですが、それらを護る「祭祀主宰者」は遺言でしか決められません。「祭祀主宰者」を明確にするために、遺言を残しておいたほうがいいですよ、と説明すると、すんなり話が進むこともあります。
いずれにしても、公証役場で手続きを行いますが「財産管理等委任契約・任意後見契約」、「信託」との3点セットですので「遺言」のみの手続きよりは、はるかに抵抗感は薄れます。
これら一連の手続きにかかる費用についてもお話ししておきましょう。
なにしろ、「オーダーメイド」なので契約内容によって費用にも違いがあります。
ただし、私たちの事務所の「実家信託パック®」は40万円、50万円、70万円の3コース(2018年9月現在、名義変更や不動産の信託登記、公正証書などの手続きにかかる費用は別途必要です)。家族全員の同意がある、とか、住宅ローンはすでに全部返済してしまった、などの条件に当てはまる方には一律の報酬で対応しています。

親が認知症になっても財産対策を諦めない

医師から認知症の診断を下されたらもう手遅れかというと、決してそんなことはありません。まず、預貯金が凍結されるかどうかは、認知症の診断書があるかどうかではなく、あくまでも銀行の窓口で本人の意思確認ができるかどうかが判断基準です。慌てて後見人を立ててしまい、後悔のないようにしましょう。

「70歳の誕生日までに家族信託」を世間の常識に

本稿は基本的に「認知症リスクのある親を持つ人々」に向けて書いてきましたが、「認知症リスクの高まってきた人」自身にも読んでほしいと思います。親が自ら「将来、認知症になって資産が凍結してしまっては家族に迷惑がかかるから、そろそろ対策をしておこう」と行動を起こしてくれれば、子どもにとってこんなに安心なことはありません。
2018年3月、厚生労働省は「健康寿命」(介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間)が、2016年は男性72.14歳、女性74.79歳だったと公表しました。
この健康寿命から考えると、男女ともに70歳までには対策を講ずる必要があるといえるでしょう。
ですから読者の皆さんには、本稿で仕入れた知識をもとにして、積極的に家族信託を利用していただきたいと思います。そうすれば、いずれ近いうちに、「元気なうちに家族信託をするのが当たり前」の世の中になるでしょう。
転ばぬ先の杖として、「70歳までに家族信託」が世間の常識になる日はまもなくやってきます。

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