「土地活用としての民泊は可能か?」
第2回 法律上の問題点を詳しく
公開日:2016/04/27
「旅館業法」という法律と「民泊」
「民泊」という言葉や「民泊」を仲介するインターネットサービスが普及するにつれ、「民泊」の法律的な問題点も浮き上がってきました。新聞やテレビでも取り上げられることも多いのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、「民泊」が旅館業法という法律に違反するのではないか?という問題です。
旅館業法とはどんな法律でしょうか。旅館業法は、1948年(昭和23年)7月に施行された法律で、「旅館業の業務の適正な運営を確保することにより、旅館業の健全な発達を図るとともに、旅館業分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進し、もって公衆衛生及び国民生活の向上に寄与すること」を目的として制定されています(旅館業法第1条)。旅館業法では、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」を旅館業、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」として定義しています。そのため、宿泊料をとらない場合は旅館業法の適用はありません。また、生活の本拠を置くような場合は貸家業であって旅館業法の適用はありません。
旅館業の種別としては、
- (1)ホテル営業
- (2)旅館営業
- (3)簡易宿泊所営業
- (4)下宿営業
の4種があります。
旅館業を経営するものは都道府県知事(保険所設置市または特別区については市長または区長)の許可を受ける必要があります。
この許可は旅館業法施行令で定める構造設置基準に従っていなければなりません。
また、旅館業の運営は、都道府県の条例で定める換気、採光、照明、防湿、清潔等の衛生基準に従っていなければなりません(厚生労働省HPより)。
この点、「民泊」は宿泊料を受けて民間の住宅に旅行者を宿泊させるサービスです。
ところが、「民泊」を提供するホストの方たちは旅館業を経営するための許可を受けていません。
そのために「民泊」が旅館業法に違反するのではないか?と問題視されているのです。
「民泊」は違法なのか?
では、「民泊」は旅館業法に違反するのでしょうか?たしかに、インターネットで知り合った方に有料で個人的に宿泊させている、ということであれば「業」とはいえず、旅館業法には違反していないと考えることもできます。
しかし、反復継続して有料で不特定多数の方を対象に宿泊料を受けて宿泊させているとなると旅館業法に違反することになるでしょう。
平成27年11月には、京都府警がマンションを「民泊」として外国人旅行者を有料で宿泊させていた業者の役員を旅館業法違反で書類送検したケースもあります。
政府は平成28年3月30日に2,020年の訪日客を現在の2倍にあたる4,000万人(昨年12月では3,000万人を目標にすると安部首相が講演で述べていました)、訪日客による消費額を8兆円にするという目標を決めました。
他方で、東京や大阪のホテルの稼働率は80%を超えており、客室が足りないのが現状です。
また、家や車などを所有せず、シェアして利用する共有型経済の考え方も広まっています。
こうした状況の中、旅館業法の適用を除外して「民泊」を認める動きが広まりつつあります。