「土地活用としての民泊は可能か?」
第1回 いわゆる「民泊」とは?
公開日:2016/03/31
訪日旅行客の急激な増加
その年の世相を映した言葉として選ばれる、いわゆる流行語大賞。2015年の流行語大賞のひとつは、みなさまのご記憶にもあるかと思いますが「爆買い」でした。
訪日外国人が家電製品などを大量に購入するさまをあらわした「爆買い」という言葉が象徴するように、今、多くの外国人旅行客が日本を訪れています。
2015年1月19日の国土交通記者会・交通運輸記者会で配布された日本政府観光局(JNTO)作成の報道発表資料によると、2016年の訪日外客数は1,973万7,000人(前年比47.1%増)、JNTOが統計を取り始めた1964年以降、最大の伸び率となったそうです。また、1970年以来45年ぶりに訪日外客数が出国日本人数を上回ったそうです。
将来的な目標として、日本政府は、訪日外客数を2020年までに年間2,000万人としてきました。しかし、安部晋三首相は、2015年12月に行われた講演の中で、訪日旅行客数年間3,000万人を目標することを明言しています。2020年といえば、東京オリンピックが開催されます。また、2019年にはラグビーワールドカップが日本の各地で開催されます。日本政府の目標は皮算用ではなくむしろ現実味を帯びた数字といえるでしょう。
ところが、このように急激に増加する訪日外国人に対する日本国内の宿泊施設がそれに伴って増加していません。訪日外国人に対する宿泊施設は不足しているのが現状です。
「民泊」とは
そこで、個人が空き家や空き室を利用して、旅行客を宿泊させて収入を得る「民泊」というものが広がりました。もともと、「民泊」という言葉は、農山漁村地域で体験型の宿泊をさせて宿泊料を受け取ることを意味していましたが、ここでは、「民泊」を個人が空き家や空き室を利用して、旅行客を宿泊させて収入を得ることとして解説していきます。「民泊」は、上記のとおり、個人で空き家や空き室を貸したいという貸主(ホスト)と、旅行先で宿泊場所を求める訪日外国人(ゲスト)がいて初めて成り立つものです。
そこで、このホストとゲストを結びつける、仲介(マッチング)を行う会社があります。読者の皆さんも聞かれたことがあるかもしれませんが、「Airbnb(エアビーアンドビー)」は、手数料をとってホストとゲストを仲介するサービスを提供する会社です。
「Airbnb」は2008年アメリカのサンフランシスコで誕生し、日本法人が設立されたのは2014年です。このような、「民泊」のホストとゲストを仲介する会社は、「Airbnb」以外にも「カウチサーフィン」、「とまりーな」、「スペースマーケット」、「軒先ビジネス」、「Spacee(スペイシー)」などがあるようです。
「民泊」に関する問題点
「民泊」のゲストが訪日外国人である場合、日本人とは地理も文化も異なることから生じる問題があります。
まず、物件の利用開始までに考えられる問題として、物件がどこにあるかわからず道に迷ってしまったり、鍵の引き渡しがうまくできなかったりする場合です。利用開始後でも、トイレの使い方がわからず(海外旅行された方であればお気づきかと思いますが、トイレの様式は国によってさまざまです)、トイレを詰まらせたり水浸しになったりというトラブルもあるようです。また、日本ではまれだと思いますが、ゲストハウスで薬物を使用するなど、犯罪の温床になっていたり、ゲストハウスの備品が持ち出されたり、ということも耳にします。
さらに、法律的な問題点については、おおまかにいうと以下の通りです。
- ・旅館業法のいうところの「旅館業の経営」に該当するか
- ・旅館業法の特例として認められるのか
- ・国家戦略特例区域の基本方針
- ・例外として認められるための要件件