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コラム vol.519
  • 不動産市況を読み解く

最新 2024年分 路線価の分析

公開日:2024/08/30

2024年分の路線価が7月1日に公表されました。路線価は、相続税や贈与税の税額を計算する基準となるもので、2024年1月1日から12月末までに発生した相続や贈与に適用されます。

最新2024年路線価の状況

路線価の価格時点は、1月1日でこれは公示地価と同じ日で、価格は公示地価のおよそ8割となっています。最新の2024年分の路線価は、全国約32万地点(標準宅地)の平均変動率で前年比プラス2.3%、現行の算定方式となった2010年以降で最大の上昇率となりました。コロナ禍以降を振り返れば、2023年はプラス1.5%、2022年はプラス0.5%、2021年はマイナス0.5%となっており、地方を含めて全国的に上昇が顕著となってきました。ちなみに、2024年3月下旬に公表された「令和6年(24年)地価公示」における全国全用途平均上昇率もプラス2.3%と同じ値です。各地点を見ても、例年概ね8割の地価となっています。
路線価の上昇は不動産市況が好調な状況を反映したもので、これにより相続税などにおける土地の評価額が上昇します。相続や贈与で引き継いだ資産の価値が上がる事は喜ばしいことですが、その一方で納める税額が増えることになり、何らかの対応策の必要性を感じる人も少なくないでしょう。

都道府県別単位でも上昇する都道府県が増加

都道府県別の変動率でみれば、前年比で上昇した都道府県は31都道府県で、変動率がマイナスからプラスになったのは2県となりました。

図:都道府県別の標準宅地の対前年変動率(平均値)(2024年の大きい順に表記)

各年の国税庁データより作成

変動率をみれば、上昇率がトップだったのは福岡県で5.8%(前年は2位:4.5%)、2位は沖縄県5.6%(前年は4位:3.6%)、3位は東京都5.3%(前年は5位:3.2%)、4位は北海道5.2%(前年は1位:6.8%)5位は宮城県5.1%(前年は3位:4.4%)となっています。上昇率ベスト5は昨年と同じ顔ぶれです。
特徴として、地価公示と同様に地方主要地域の上昇が目立っています。上昇している31都道府県では、その多くで上昇率が拡大しています。
また、都道府県庁所在地の最高路線価地点をみれば、上昇したのは43地点でした(昨年と同数。2022年は31地点、2021年は8地点)。多くの地方都市の中心部、あるいは人口・商業の集積地における路線価は、価格上昇のフェーズとなっていますが、その一方で人口減少などが顕著な地域では、上昇の兆しが見えない状況となっています。

路線価は、どう見れば良いか

土地の路線価は、国税庁のWEBサイト「路線価図・評価倍率表」を見れば分かりますが、少し解説します。
国税庁によれば、「土地価額算定にあたっては、路線価が定められている地域にある土地については、路線価方式により土地価格を評価、その他の地域にある土地については倍率方式により評価されます」ということになっています。
路線価が定められている地域(あるいはその周辺地域)では、「路線価方式」で計算します。しかし、路線価が示されているのは、道路に面している宅地のみで、道路に面していない場所は、次の方法で計算します。ベースの計算式は、評価対象地が接する路線の路線価×面積(=地積)です。これに、画地調整率(=評価対象地の形状、たとえば奥行距離、不整形の度合い、角地などに基づき、価額を補正する率)を掛けて補正します。
路線価が定められていない地域の土地は、「倍率方式」を用いて価格評価を行います。倍率方式では、固定資産税評価額(すべての固定資産に対し評価が行われます。3年に1度の見直し)に地価事情の類似する地域ごとに定めた「評価倍率」を掛けて算出します。

相続税の対応は、早めに

相続税の申告は、該当の方が亡くなってから10カ月以内と定められています。生前から対策ができれば、何らかの相続対策を行うこともできますが、亡くなってからの相続対策は、行いにくくなります。
冒頭で述べたように、相続時の土地評価額(路線価)が上がってきています。土地や建物を相続する可能性のある方は、両親などと一緒に早めに準備をしておくことが、一層大切になってきました。多額の相続税を納めることになり、現金の準備に慌ててしまうことのないようにしたいものです。
土地や建物を活用した相続時の税務対策には、様々な方法があります。とくに、賃貸住宅を活用する方法などはかなり有効な手段として知られています。これから対応を始めようとお考えの方は、大和ハウス工業などの専門家に相談すると良いでしょう。

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