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コラム vol.514
  • 賃貸住宅経営のポイント

不動産の等価交換による賃貸住宅経営

公開日:2024/07/31

土地を保有している場合、その土地に賃貸住宅を建て、自ら賃貸住宅経営を行うことが一般的な方法と言えますが、土地の所有者が土地を提供し、開発業者などが建築費を負担する「等価交換方式」で賃貸住宅経営を行うことも可能です。
不動産の等価交換とは、土地の所有者は土地を提供し、開発業者は建設費用を負担。建物が完成したら、土地の出資分だけ、建物の一部を所有するという方法です。その際に、土地と建物の価値を同じにして交換するため、等価交換と呼ばれます。等価交換には、土地オーナーが土地を提供し、開発業者がマンションを建てるケースだけではなく、土地と土地を交換する、マンションだけではなく、ビルやテナントと土地を交換するケースもあります。当然、価値が異なるときは、差を調整するために費用を負担し、価値の差を埋めることもあります。

イメージとしては以下のようになりますが、土地のすべてを提供することもできますし、部分譲渡方式と呼ばれる一部にとどめる等価交換も可能です。一般的に等価交換は、土地を再購入して不動産取得税等が課税されることのない部分譲渡方式が採用されることの方が多いようです。

基本的には、デベロッパーが興味を持つような利便性のある場所で、ある程度の広さが必要ではありますが、そのような土地を保有しているのにもかかわらず、まだ活用していないケースでは、検討に値する方法だと言えるでしょう。

等価交換のメリット

費用負担がない(少ない)

等価交換の最大のメリットは、所有する分の土地の価値分だけ賃貸住宅を所有するので、賃貸住宅経営を行う際に費用負担がなく(少なく)、費用負担というリスクがない(少ない)という点です。一般的には、不動産の等価交換を行うことで、土地の所有者は建築費用を負担することなく土地活用を行うことができるわけです。

立体買い換えの特例

等価交換には「立体買い換えの特例」という譲渡税の優遇措置があります。等価交換では、土地を売却して売却収入で建物を取得するということになりますので、税法上では不動産の買換えに該当します。原則として土地の売却益には譲渡所得として所得税と住民税が発生しますが、一定の要件に該当する場合は、「立体買い換えの特例」を活用することで、譲渡所得税を繰り延べることができます。
税金が免除されるのではなく繰り延べですから、最終的には支払うことになりますが、等価交換利用時には税金がかかりません。ただし、等価交換の際に、キャッシュを受け取っていた場合は、その金額に対して譲渡所得税がかかります。

等価交換のデメリット

立地条件が厳しい

開発業者からすれば、利便性が高く広い土地を求めますので、該当する遊休地を持っている土地オーナーはごく一部に限られるでしょう。開発業者からのアプローチが大半ですから、等価交換にふさわしい(開発する価値のある)土地かどうかが、まず大きなポイントになります。

交渉に知識と労力が必要

土地オーナーが最終的に保有する床面積を還元床(還元される床という意味)と呼びますが、等価交換で収益を向上させるためには、いかに還元床を多くするかが鍵となります。土地オーナー、開発業者とも、少しでも還元床が多いほうが有利となりますので、すぐに交渉が成立することは少ないかもしれません。
この還元床を決める際に使う計算方法には、出資比率による方法と、売価還元による方法の2つがあります。
出資比率による方法とは、文字通り、土地所有者とデベロッパーの出資額の比率で案分する方法です。土地価格と完成した建物価格で比較し、出資した分だけ保有することになります。
売価還元による方法とは、開発業者が必要な収益から床面積を計算し、還元床を決める方法です。開発業者が出資した建築費総額と適正利益から売上を算出し、その売上となる専有面積を開発業者が取得します。土地所有者は残りの床面積を取得することになります。

土地を手放すことになる

等価交換によって売却した土地を再び買い戻すことは、ほぼ不可能と言えるため、結果的に、土地の一部(またはすべて)を失うことになります。先祖代々の土地で、途中から親族の反対意見が出てきたとしても、契約内容によりますが、今後自由に土地活用を行うことも難しくなります。等価交換を行う前に、関係者との意思疎通を図っておくことが何よりも重要です。

基本的に利回りが低くなる

等価交換によって土地と交換する建物は、通常「完成品としての建物」です。自ら賃貸住宅を建設する場合には、収支は建築費用原価で計算しますが、等価交換の場合は完成した建物ですから、利回りなどの収益性では劣ることになります。一方、税務対策のために立体買替の特例を適用する場合は、借り入れもなく、減価償却も少なくなることがあり、自己建設の場合と比較して不動産所得が多くなる可能性があることにも注意が必要です。

パートナー選びが重要

「土地はあるが自己資金を持ち出したくない」「土地活用は専門の会社に任せたい」「自分で不動産経営を行うつもりはないが、相続の対策をしておきたい」と考える人にとっては、検討する価値がある方法と言えるでしょう。
ただし、開発業者との交渉を行う上では、土地オーナーとしても当事者としての意識を持ち、等価交換についての知識、メリット・デメリットをしっかり理解しておくことも必要です。そして将来に向けて長い付き合いになりますし、大切な土地を預けるわけですから、何よりも、信頼できる開発業者を選定することが大切です。

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