大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

メニュー
コラム vol.421
  • 不動産市況を読み解く

地価LOOKレポートで見る、都市部の地価の最新状況

公開日:2022/09/30

地価の動向を知るには、3月下旬に公表される公示地価や9月下旬に公表される基準地価(都道府県地価)があります。これらは、対象地域は全国に及び、調査地点も多く、かなり大掛かりな調査ですが、それぞれ年1回の公表ですので、なかなかタイムリーな状況が掴みにくいとも言えます。
こうした状況を補完するために、取引量の多い都市部の地価動向の調査が国土交通省により行われています。 今回は、国土交通省より公表された、最新の「令和4年第2四半期 地価LOOKレポート」について解説します。 注:最新の公示地価については、コラム「地価はどれくらい回復したのか?2022年地価公示を読み解く」(https://www.daiwahouse.co.jp/tochikatsu/souken/scolumn/sclm397.html)をご確認ください。

地価LOOKレポートとは

国土交通省が主体となって調査・公表している地価LOOKレポートは、「高度利用地地価動向報告」とも呼ばれ、主要都市の地価動向を、先行的に動向が出やすい高度利用地等の地区について、四半期毎に地価動向を調査することで、先行的な地価動向を明らかにするものです。
具体的な調査内容は、

  • 1)不動産鑑定士が調査対象地区の不動産市場の動向に関する情報を収集するとともに、不動産鑑定評価に準じた方法によって地価動向を把握し、その結果を国土交通省において集約する。
  • 2)各地区の不動産関連企業、金融機関等の地元不動産関係者にヒアリングを行う。
    以上2つの方法で調査が行われます。

次に、対象地域ですが、三大都市圏(東京圏・大阪圏・名古屋圏)に加えて、地方中心都市等において特に地価動向を把握する必要性が高いと国土交通省が指定した地区で、東京圏35地区、大阪圏19地区、名古屋圏8地区、地方中心都市等18地区の計80地区となります。これを、住宅系と商業系に分けると、その内訳は、住宅系地区・・・高層住宅等により高度利用されている地区は23地区で、商業系地区・・・店舗、事務所等が高度に集積している地区は57地区、計80地区です。
これら各地区の地価動向が9区分の変動率で評価されており、これをみれば地価の動向がわかります。

令和4年=2022年第二四半期の状況

ここからは最新の2022年第二四半期(4~6月)の地価動向を見てみましょう。
主要都市の高度利用地等における地価動向は、新型コロナウイルス感染症の影響が広まった状況からの経済活動正常化への期待感が広まっていることにより上昇ムードが高まっています。とくに、投資需要は強く、前期(22年1~3月)と比較すると、特に商業地において横ばいや下落地区数が減少し、上昇地区数が増加しました。 用途別でみれば、住宅地では、変動率区分(上昇・横ばい・下落)が1地区で上方に移行したことにより、23地区すべてで上昇となり、横ばい、下落はゼロでした。また、商業地(全57地区)では、下落または横ばいから上昇に転じたのが11地区、下落から横ばいに転じたのが7地区で、上昇は35地区で全体の61%となっています。都市部における住宅地の堅調ぶりが目立ち、上昇ムードの高まりが続いています。

これを圏域別でみれば、下記のようになります。三大都市圏での下落は1、横ばい13、上昇48、で77%が上昇となっています。

表:圏域別の地価動向の一覧

  上昇 横ばい 下落 合計
三大都市圏 48(77%) 13(21%) 1(2%) 62(100%)
東京圏 26(74%) 8(23%) 1(3%) 35(100%)
大阪圏 14(74%) 5(26%) 0(0%) 19(100%)
名古屋圏 8(100%) 0(0%) 0(0%) 8(100%)
地方圏 10(56%) 4(22%) 4(22%) 18(100%)
全国 58(73%) 17(21%) 5(6%) 80(100%)

出典:国土交通省令和4年第2四半期 地価LOOKレポート

前期との変化でみれば、変動率区分(上昇・横ばい・下落の区分)は、19地区で上方に移行し、61地区で変わらずとなりました。上昇地区数が46地区から58地区に増加、横ばい地区数が21地区から17地区に減少、下落地区数が13地区から5地区に減少しました。多くの地区で改善または上昇となっており、どの区分、どの地域においても、上昇や横ばいから下落に転じた地区はありませんでした。都市部地価は上昇基調にあることが明確に読みとれます。

主要都市地価上昇の背景

上昇基調の背景には何があるのでしょうか。 住宅地においては、国土交通省の分析によれば、「マンション市場の堅調さが際立ったことから、引き続き上昇を維持」とあります。住宅ローン金利は引き続き超低水準が続き、需要が旺盛な状況が続いています。 また、商業地では、主に地方圏において新型コロナウイルス感染症の影響などにより下落している地区が何地点か残るものの、経済活動正常化への期待感や超低金利環境の継続等による好調な投資需要が旺盛なことが背景にあると思われます。

まとめ

地価LOOKレポートは、年4回調査・公表されます。公的な地価の公表がそれぞれ年1回ですので、都市部においては、土地など不動産取引において先行指標として活用することができます。 ぜひ、他の地価の動きと合わせて参考にしてみてください。

メルマガ
会員登録

注目
ランキング

注目ランキング