大和ハウス工業、大和リビング、大和ハウス賃貸リフォームによるバリューチェーンが、お客様の賃貸住宅経営を支えます。
公開日:2022/02/28
大和ハウス賃貸リフォーム株式会社 代表取締役社長 森田 一彦
I:新会社設立の目的、意義を教えていただけますか。
森田:大和ハウスグループ全体で「サプライチェーンの最適化とバリューチェーンの最大化を図る」ために、大和ハウス工業株式会社(以下、大和ハウス工業)集合住宅事業本部と大和リビング株式会社(以下、大和リビング)が同一事業グループに集約されました。
その一環として、大和ハウス賃貸リフォーム株式会社が新たに設立され、大和ハウス工業の完全子会社である大和ハウスリフォーム株式会社(以下、大和ハウスリフォーム)の賃貸住宅部門が、吸収分割により移管されました。
現在のスタッフは、大半が大和ハウスリフォームから配置され、そこに大和ハウス工業から加わったスタッフで構成されていますので、賃貸住宅のリフォームについて、専門知識を持った集団になっています。
大和ハウス賃貸リフォームでは、これまでに大和ハウス工業で建築いただいた約114万戸(2021年3月末現在)の賃貸住宅および今後新たに建築させていただく賃貸住宅について、長期にわたり安定した資産価値の維持・向上をサポートできる体制を構築します。
多様化するご入居者や社会のニーズ・価値観にお応えし、既存の賃貸住宅を進化させることが、私たちの考える「Heart One Reform」です。大和ハウスグループのシナジーで、大切な資産である賃貸住宅の価値を高水準で維持し続け、サステナブルな住まいづくり・街づくりに貢献し、オーナー様だけでなく、ご入居者や地域の方々にも満足いただけるリフォームをご提案いたします。
I:大和ハウス工業、大和リビング、大和ハウス賃貸リフォームの3社が、それぞれの役割を果たすということでしょうか。
森田:ご入居者の退去後に行う内装メンテナンスは、管理会社が行うことが多く、分社前は、集合住宅のリフォームといえば外装メンテナンスが中心でした。
ところが大和リビングでも、大和ハウス工業が建築した賃貸住宅の管理をしていることから、内装・外装問わずリフォームの提案・施工を行っていたので、オーナー様にはグループ各社からご提案をすることがあったと思います。
そこで、大和ハウス賃貸リフォームの設立にあたり、オーナー様に分かりやすくサービスメニューをご提示できるようにしました。大和ハウス工業は新築・建て替え工事の請負、大和リビングは管理、大和ハウス賃貸リフォームはメンテナンス・リフォームの実施と、各々の設立趣旨に基づいた役割に立ち返りました。
そして、それぞれの専門分野に特化するため、大和ハウスリフォームを分社して、大和ハウス賃貸リフォームという会社をつくり、そこにすべてを集約することになったのです。
この役割分担が機能すれば、大和ハウス工業が建てて、大和リビングが管理をし、大和ハウス賃貸リフォームがリフォームや建物の維持・修繕をする。そしてオーナー様の賃貸住宅経営の発展のための売却や別の建物の建築を支援する。協業してこのバリューチェーンをつくろうと、3社で話し合いを進めています。
現在当社のメイン事業は、大和ハウス工業で建てていただいた建物の保証延長工事です。
保証体系に即した診断結果に基づき、オーナー様に適切な指定材料を使用した工事内容などをご説明します。そのうえで指定された工法で施工することにより、資産価値を維持しながら外観も美しくなり、ご入居者の満足度アップにつなげていきます。
そして、今後は住宅設備機器などの更新や間取りの変更を伴うリノベーションをさらに強化していきます。大和ハウス工業が建築した建物ですから、グループ会社である当社は詳しく把握しています。市場のニーズを大和リビングとも情報共有しながら、ご入居者にも喜んでいただけるリフォームを行っていきます。
このような役割分担、協業体制を敷いていきますので、オーナー様は普段のお付き合いが多い大和リビングに遠慮なく相談していただければ、弊社が連携してすぐに対応させていただくことが可能です。
I:オーナー様の資産形成の中で、大和ハウス賃貸リフォームが重要な役割を担うということですね。
森田:大和ハウス賃貸リフォームの役割は、賃貸住宅を生涯フォローし、オーナー様に出来るだけ多くの利益をもたらすことです。つまり、新築→メンテナンス(保証延長)→資産価値の維持・向上(リノベーション等)→建替えのサイクルを継続させることです。また、資産状況により継承(買取再販)も必要になります。そのためには、確実なメンテナンスによって「資産価値を維持向上」することが何よりも重要となりますし、スムーズな資産承継をサポートするためにも十分な商品力のある賃貸住宅として魅力を保持する必要があります。また、買取りや再販の際にも、十分な商品力のある物件として魅力を保持する必要もあります。
オーナー様の資産維持・向上の支援という意味では、大和ハウス工業で賃貸住宅を建てていただいたオーナー様が、他社で建築された建物のリフォームを依頼されるケースがあります。その場合、高い技術力と盤石な体制が必要です。
日々の業務をしっかり行いながら、一層の高い技術力と体制を完備していきます。
I:バリューアップやリノベーションが実現すれば、買取再販のビジネスも生まれそうですね。
森田:弊社がこれから伸びていくカギは買取再販にあると思っています。従来の賃貸住宅経営は、土地を所有されているオーナー様が新築されるのが主です。しかし最近そのビジネスモデルにも変化が表れており、大和ハウス工業が購入した土地に賃貸住宅を建て、投資家に売却するビジネスモデルが一つの柱になりつつあると考えています。このスキームは、新築だけではなく築年数が経過した建物をリノベーションによる付加価値を付けて再販する事業にも展開し、ビジネスチャンスとなるヒントだと思います。単に綺麗に修理するのではなく、付加価値を高めることが出来れば、次の経営者が引き継ぎ、十分魅力ある資産活用になると考えます。すでに買取再販の実績も上がってきていることから、そこにしっかり大和ハウス賃貸リフォームが関わって、積極的に展開していきたいと
思っています。
当社もすでに2021年10月にアセット事業部を立ち上げています。まずは東京と大阪でスタートし、今後は全社的に取り組むためにも、専門業務に対応できる人財を確保していきたいと考えています。
I:賃貸住宅リフォームの専門集団として、オーナー様からの期待は大きいと感じました。
森田:大和ハウス賃貸リフォームは、賃貸住宅リフォームの専門集団を目指して新設されました。
オーナー様からのご要望に対して、メンテナンス・リフォーム・買取り・売却まで、すべてまとめて対応することができます。その理由の一つは、オーナー様とのリレーションが強固であるということがあげら
れます。賃貸住宅のリフォームは、長期にわたってお考えいただかなければならないことが多く、賃貸
住宅経営の過程のなかで、築年数や保証延長のタイミングを中心に、営業担当が継続的にご連絡や訪問を行い、長くサポートさせていただきます。
実際、オーナー様から「賃貸住宅が古くなってしまい、収益も上がらなくなってきたので建て替えようと思っている」とご相談を受けるケースがいくつもあります。建替えもリフォーム・リノベーションも、単なるリフレッシュなら他の会社でもできます。しかし大和ハウス工業で建てていただいた建物なら、定期点検の経緯やその後の建物診断の有無により、当社としてのご提案ができます。
そのようなご相談をいただけるように、これからもオーナー様との関係をしっかりと築いていこうと考
えています。