コラム vol.003
指標でつかむ賃貸住宅経営 その2
~ 家賃下落・空室リスクと一括借上 ~
公開日:2014/10/01
賃貸住宅経営を始めるに際して、資金計画で重要な指標となるのは、賃貸住宅経営計画だ。賃貸住宅を建ててから、入居が始まり以後30年~50年の長きもの間、賃貸住宅の経営を行うことになる。
賃貸住宅経営においては、火災や事故などにより、消失あるいは使えないといった物理的なリスクを除き、経営にフォーカスしたリスクでは、(1)空室リスクと(2)家賃下落リスクがある。
実質的に(実際は収入金額差)一定の支払いを行うことにより、この2つのリスクを回避する手法が、管理会社(サブリース会社)との間に結ぶ一括借上契約だ。一括借上(サブリース)契約を行った場合、オーナー様は管理会社との間で契約を行い、ご入居者と賃料のやり取りを行わない。その場合どうしても、空室がどれくらいであるか、賃料のアップダウン状況はどうか、などというリスクをあまり気にしなくなってしまいがちだ。
金融の世界では、空室(=賃料収入減)や、賃料のダウン、というマイナスだけをリスクと呼ぶのではなく、賃料アップも含めた想定外の事象についてリスクと呼ぶのが一般的だ。
一括借上契約では、こうしたリスクを管理会社が負う対価として、一定額が徴収される形となる。もちろん、契約形態は管理会社⇔オーナー様間での金額契約と管理会社⇔ご入居者での契約であるから、対価として一定額を徴収されるとはならないが、理屈ではこうなる。
極端な例だが、急に家賃が下落した場合や空室が続く場合などは、管理会社はそのマイナス分の負担をしなければならないということになる。こうしたこともあって、オーナー様と管理会社の間では、定期的に賃料設定を見直す契約改定が行われることになる。
以上から考えると、たとえ一括借上契約を行っていたとしても、賃貸住宅経営の経営計画においては、家賃の下落確率と空室の確率をよみこむ必要がある。経年劣化により5年ごとに家賃が一定額ずつ減るという単純なものではなく、周辺家賃の増減率などを見込んで、上昇と下落の確率を見込む必要がある。
こうした、増減の確率をいくつかのパターンに分けて、
- 1. もっとも家賃下落が少ないシナリオ
- 2. もっともよくないシナリオ
- 3. 中間のシナリオ
などという感じで3パターンくらい作るとよいだろう。
そのなかで、3.中間シナリオ=中位確率のパターンを賃貸住宅経営の基本線として見ておけばいいだろう。
- 【サブリース会社による一括借上げ計画における注意事項】
- ○賃貸住宅を賃貸する場合、借主(サブリース会社を含む)による一定の条件があります。
- ○賃料は、契約開始日以降、賃貸借契約に基づき一定期間経過時およびそれ以降も契約に定める期間が経過するごとに、貸主借主協議の上、賃料の改定を行う場合があります。
- ○また改定時期にかかわらず、物価・経済状況の変動や近隣賃料の著しい変化等により賃料が不相当になった場合も、貸主借主協議の上、賃料の改定を行う場合があります。
- ○賃料改定の協議が、賃料の改定期日以降に整った場合は、改定期日に遡って改定されます。
- ○賃貸借契約においては、契約の定めに従い、賃料の免責期間が適用される場合があります。
- ○また、建物や設備の維持修繕等においては、建物の所有者としてご負担いただく費用があります。
- ○賃貸借契約期間中においても解約になる場合があり、また、貸主から更新の拒絶をされる場合には正当な事由が必要となります。