コラム vol.012
北陸新幹線開通間近の金沢・富山地方 その3
~北陸最大都市、古都金沢の今後~
公開日:2014/09/01
北陸新幹線開通で北陸地方がどう変わるかを考えるシリーズの3回目。
北陸エリア最大の都市である石川県金沢市。経済の中心地でありながら、江戸時代からの加賀百万石と呼ばれた、歴史ある風情な街並みが残った観光地でもあり多くの観光客が訪れる街だ。
今年度末開通する北陸新幹線は、ひとまずここまでとなる。(その後福井方面へ延伸が計画されている)
富山市の回(コラムvol.010)でも取り上げたが、ここ2年間の金沢市の地価は下落率減少、そして上昇へと転じている。新幹線の開通に先立ち駅舎は新築され大きく様変わりした。とくに市街地側の正面口は先進的なデザインが話題となった。
金沢は、古くからの街に見られるように、中心街に大きな城(址)と公園があり、その周りには低層の商店、町屋が続いている。新たにここに居を構える方々は、必然的に郊外へと向かう事になる。典型的な城下町の名残を残しながら、そのエリア(北陸)の中心都市として発展、人口が増えていったのだ。金沢のほか、松山なども典型例なこのタイプ、中心地には低層が多い古い街並み、そして郊外に分譲マンションや新興戸建住宅地、賃貸住宅が広がっている。
企業と土地の利用という観点で見てみよう。図1は法人の土地利用について、全国の県庁所在地の平均と金沢市とを比較したものだ。
一見して、2つの特徴が見える。
一つ目は、法人の賃貸用住宅の少なさだ。
富山市も同様の傾向が見られたが、金沢においても法人が所有する土地に立つ賃貸用住宅としての利用割合は少ない。
二つ目は、工場・倉庫としての利用率の高さだ。
歴史ある城下町という特性上、工場倉庫などは郊外にあると考えられる。近年の市町村合併が行われていないことを鑑みると、古くからの工場が点在しているのだろう。
金沢の街を歩いていると、古い街並みがまだまだ多く残っており、シャッターの降りている商店も多くみられる。街の発展には、こうした土地の再利用も考慮すべきだろう。いまの六本木ヒルズがあった場所のように。 しかし、地方では大きなビルを建てるわけにもいかないから、こうした場所には今後も需要が見込まれる賃貸住宅がいいのかもしれない。