昨年末、財務省から2016年度の税制大綱が発表されました。いくつか改正ポイントがありましたが、住宅取得に対する手厚い税制優遇は引き続き継続されますので、現在の税制について整理してみたいと思います。
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新築住宅の建物分の固定資産税の減額措置(一戸建ては3年間、2分の1に)
→ 2018年3月31日まで2年延長
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自宅の買い替えなどの譲渡損失の繰越控除(売却損を最長4年間、所得から控除)
→ 2017年12月31日まで2年延長
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長期優良住宅の特例(登録免許税の税率引き下げ、不動産取得税の減税、固定資産税の減額期間の延長)
→ 2018年3月31日まで2年延長
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相続した古い空き家や解体後の土地を売却した場合、売却益から3000万円を控除して所得税を計算
→ 2016年4月1日から 2019年12月31日までの売却が対象
「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置の控除額」が拡充
「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」とは、両親や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合、一定金額まで贈与税がかからない特例のことです(2019年6月30日まで)。
2016年9月までは控除額は、良質な住宅であれば1,200万円(一般住宅は、700万円)です。10月以降は消費税率8%の場合は引き続き1,200万円までですが、消費税率10%が適用される場合、良質な住宅であれば控除額が3,000万円(一般住宅は2,500万円)と大幅に拡大します。この制度は、年間110万円の基礎控除と併用できるので、合計すると3,110万円(一般住宅は2,610万円)まで贈与税ゼロで援助が受けられます。
適用の条件は、
- ・贈与を受けた年の翌年の3月15日までに居住する、もしくは居住することが確実と見込まれること。
- ・贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること。
- ・家屋の登記簿上の床面積が50m2以上240m2以下であること。
このように、時期によって条件が変わってきますので、大きなお金を援助してもらえる可能性がある人は、いつ買うのが一番いいのか、ハウスメーカーの担当者などに相談してみるのがいいでしょう。
※()は一般住宅の場合。
※ 良質な住宅の条件
- 1. 省エネルギー性の高い住宅〈断熱等性能等級4または、一次エネルギー消費量等級4以上〉
- 2. 耐震性の高い住宅〈耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上、または免震建築物〉
- 3. バリアフリー性の高い住宅〈高齢者等配慮対策等級3以上〉
のいずれかの性能を満たす住宅
その他の住宅購入にかかる税金の軽減措置
その他にも住宅購入にあたって、いろいろな減税措置が用意されています。
登録免許税の軽減措置(2018年3月31日まで)
所有権の保存登記 0.4% ⇒ 0.15%(優良住宅の場合0.1%)
※優良住宅(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅)は2018年3月31日まで延長。
不動産取得税の軽減措置(2018年3月31日まで)
住宅及び土地の取得に係る標準税率 4% ⇒ 3%
新築住宅は1,200万円控除
※優良住宅(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅)は1,300万円まで控除。2018年3月31日まで延長。
固定資産税の軽減措置(2018年3月31日まで延長)
建物と土地に対しての軽減税率があり、今回2年延長されました。
固定資産税
※戸建ての場合建物に関しては3年間の軽減措置となります。
不動産売買契約書に係る印紙税の軽減措置(2018年3月31日まで)
契約書金額によって印紙税額が変わりますが、それぞれに軽減税額が決められています。
このように、住宅購入にあたってのさまざまな税制優遇措置がありますので、これをうまく活用して理想の住まいを実現してください。
※掲載の情報は2016年3月現在のものです。内容は制度運用中でも変わる場合がありますのでご了承ください。