我が家に相続が起こったら?
考えたことありますか?
例えば、夫婦と子ども2人の4人家族。そんな世帯主に突然の事故。何から手を付ければいいのか、まずは、お通夜に、お葬式に、四十九日に…なにぶん初めてのこと、思い浮かぶのはこんなところでしょうか。
いえいえ、相続という観点からはもう一山あるのです。それは、世帯主(亡くなった方を被相続人と言います)が残してくれた財産について。
たとえば、通帳に入っている預金、証券会社にある株を、いったい誰が引き継ぐかといった遺産分け手続き、水道やガス、携帯電話といった身近なところから、住まいや自動車の名義変更手続き、生命保険金の請求等と忙しく、相続税の申告手続きへと進むのです。
相続税という税金は、被相続人が財産を沢山残してくれるほど高くなる税金。だけど、一定のライン(基礎控除額と言います)までは負担ゼロ、相続税はかからないのです。
じゃあ、我が家のラインはいくらなの?と気になるところです。
それは、残された家族の数、つまり相続人の人数で決まるのですが、相続人が多いほど、そのラインは高くなり、少ないほど低くなります。相続税が改正される来年平成27年以後の早見表(「表1:基礎控除額について」参照)をみてみましょう。
たとえば、この家族の残された相続人は、配偶者と子ども二人の3人ですから、4,800万円をこえる財産を相続したら相続税がかかるということになります。
【 】内が、平成26年に相続が起こった場合。比較すると来年からはずいぶんラインが下がりますよね。
さらにこのライン。相続人数が少ないと下がっていく仕組みですから、少子化が進んでいる日本では、たとえ残された財産が少なくても相続税がかかるという家庭が、これまでよりもふえてくるのでしょうね。
ほんの一部の富裕層だけの話しだったのに、時代もかわったものですね。
※ 平成27年以後の相続・遺贈の場合です。
※ 【 】内は、平成26年までの基礎控除額。
相続する財産が、相続税のかかるラインをどうやら超えそう。そういうご家庭では、いったい相続税の負担はどのくらいか、心配ですよね?
これも早見表(表2:「改正後のケース別相続税負担額」参照)をみてみましょう。相続人が3人のこの家庭のケースだと、仮に6,000万円の財産を相続すると相続税は120万円。1億円だと630万円が、相続人全員で負担する相続税です。
さて、皆さんのご家庭では、どれくらいの負担がありそうでしょうか?
※ 配偶者と子が相続人であるケースで計算。
※ 税額は配偶者控除適用前。
ところで、この相続税、もう少し奥が深くて、色々な配慮のある仕組みなのです。そんな制度を勉強して、上手な相続の準備のお話しをしましょう(続く)。
筆者プロフィール
- 海野裕貴税理士事務所
海野 裕貴(うみの ひろたか) - 税理士・CFP(r)・1級FP技能士・中小企業診断士・行政書士
- 証券会社、保険会社、FP会社等を経て、2007年5月に独立、税理士事務所を開業。相続、個人のタックスプランニングを中心にサービス展開中。
- ラジオFM横浜「教えて税理士さん」出演をはじめ、ハウスメーカー、証券会社、生命保険会社、損害保険会社他、講演多数。
- 主な著書 「事業承継成功のポイント50」「経営者のための勇退アドバイス」「大家さん・地主さん必見!不動産相続 成功の扉」「成功したい人が読む はじめての相続・贈与の生前対策」その他、「けんた君教えて!くらしのなかの税金知識シリーズ(全国法人会総連合)」、毎日新聞・浜銀総研・納税通信連載執筆等多数。現在「バンクビジネス(近代セールス社)」にて連載中。
- 海野裕貴 税理士事務所 HP : http://www.greatdivide.jp/
※当該ページは、平成26年4月15日現在の法律等に基づいて執筆しています。今後、税制改正により内容の変更が生じる可能性がありますので、ご了承ください。また、出来るだけわかりやすくご理解いただくために専門用語や制度を簡略化して表現していることもご了承くださいますよう重ねてよろしくお願い申し上げます。具体的な相談は税理士等の専門家へお尋ねください。