4期市長を勤めた名士のお家柄。
故郷のお役に…と、残された土地を高齢者マンション併設の多機能施設に活用。
土地は西脇市の中心部の一等地にあり、すぐ傍を杉原川が流れ、隣は地元の銀行。道向かいには区民会館とショッピングセンター…という好立地、好環境の場所。高瀬さんは、この利便の良い土地を「有効に活用するには…」とつねづね思案しておられたそうです。「長年、父が市長を勤めさせていただいたし、自分自身もここで育った土地ですから、土地を売却してしまうのでなく、先祖から代々の土地を守りつつ、できるならこの町に恩返しできるようなことに生かせたらと考えていました」と。そこでふと思い当たったのが、故郷の町の高齢化です。以前、神戸の大学病院で研修医をしていた時代に、西脇の病院に赴任していた時期があり、来院する高齢の患者さんの姿を通して、高瀬さんは高齢化が進む町の変わりようを目の当たりにした記憶があられたのです。けれども、高齢者向けの十分な施設が町にはなかった。
「これでいいのだろうか、町の方々の老後は…」。高齢者の方々が、たとえ一人になっても安心して生活できる場所が必要なのではないのだろうか。そして「高齢の母親のことを想うとますますそんな考えに至ったわけです」と高瀬さんは話し、そして土地の活用としてまず考えたのが高齢者向けの賃貸マンションでした。しかし考えを神戸の医師仲間に話すと、すでに介護施設を経営していた仲間の医師から介護事業の話を聞くに及んで、高瀬さんは「それなら高齢者用マンションと介護施設とを同じ敷地内に設けるほうが高齢者の方々に喜ばれるのでは…そのほうが、地域のために少しでもお役にたつのでは…」と、そう考えるようになられたというのです。安全で安心して暮らせる居場所さえあれば、高齢者の方々が住み慣れた故郷を離れなくてもよくなる。遠くに住む息子や娘が暮らす、環境の異なる土地に移り住まなくていいかもしれない…。
CASE3
「ときの郷」と「メゾン セントレ」