シアトル郊外の新築で出合った超スマートキッチン
先日、シアトル郊外の新築の家の見学に行きました。アメリカでは新築の家は珍しいので見たかったのと、ラスベガスのインテリア関係のイベントでベストデザイン賞を受賞した家ということに興味を持ちました。
家自体は2500スクエアフィートの敷地に建っている3階建てのタウンハウスです。ベッドルーム3カ所、浴室2カ所、トイレ3カ所のレイアウトで玄関階は入り口、2階に上がるとベッドルームと浴室、3階がダイニングキッチンとベランダという造りでした。
インテリアやデザインはスカンジナビア風のもので統一されており、レンガの壁や真っ白いタイルなどがいろいろなところに使われていて非常に美しいつくりでした。
私が一番興味を持ったのは、すべてのキッチン家電がボッシュで統一されている超スマートキッチンです。ボッシュは2020年のCESでスマート冷蔵庫「ホームコネクトフリッジ」を発表しました。アメリカで定着化してきている献立レシピアプリ会社のchefling, inc.と資本提携し開発した2つのカメラが内蔵された冷蔵庫で、中に何が入っているかをスマートフォンからいつでも確認できます 。また、材料の賞味期限や量により、今日のおすすめレシピを提供してくれる機能が付いています。
※イメージ
スーパーマーケットに足を運んでから、「たまねぎを切らしていたのではないか?」と思い余分に買ってしまうことがあるのですが、そういうことももう心配しないでよくなるということです。
外出先からスマートフォンアプリで家電を操作する
ボッシュは近年スマートキッチン化に力を入れています。私が見学した新築の家の、電子レンジやオーブン、食洗機がすべてビルトインされた大きなキッチンカウンターを見て、感動しました。電子レンジも電動でビルトインの棚から出てくるのです。これがすべてスマートホーム化されれば、外出先からアプリで動かすこともできるし、アレクサ搭載なので、キッチンにアレクサを置いておけばアレクサを通してオーブンの予備加熱などをすることができます。
※イメージ
スマートホームがもたらす新築物件へのさらなるニーズ
私自身、スマートホーム化にはかなりこだわりいろいろなスマートデバイスを導入してきましたが、一番導入が難しいのがキッチンでした。なぜなら、家を購入または引っ越す時点でキッチンの家電はすでにビルトインされており、買い替えるのにはカウンターや棚を壊し、配管なども見直す大きな工事が必要となるからです。
アメリカでは中古住宅がほとんどで新築は珍しいと冒頭に記述しましたが、ある統計によると41%のアメリカ人が新築の家に住みたいと答えています。
To Buy a New or an Existing Home? Why, How Much, and Where(英語ページ)
また、18~34歳では、20%高い金額を払ってでも新築に住みたいと思う人が21%ほどいると分かり、ニーズは大きいと感じます。必ずしも広大な土地である必要はなく、このように技術を駆使したライフスタイルとデザインを重視した新築物件が今後もっと増えるかもしれません。
パロアルトインサイトCEO・AIビジネスデザイナー
石角友愛さん Tomoe Ishizumi
パロアルトインサイトCEO 兼 AIビジネスデザイナー。
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのGoogle本社で多数のAIプロジェクトをリードする。後にHRテックベンチャーの立ち上げや流通系AIベンチャーを経て2017年パロアルトインサイトを起業。日本企業に対してシリコンバレー発のAI戦略提案からAI実装まで一貫した支援を提供する。新著に「いまこそ知りたいAIビジネス」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)があり、プログラミング教育、ギフテッド教育、留学などについての出版も5冊あり。
現在、AI&ビジネス、シリコンバレーとIT企業、新しい働き方、女性の社会進出論などでの言論活動を積極的に行う。毎日新聞「経済観測」コラムニストであり、日経クロストレンドコメンテーター、日経xwoman(クロスウーマン)アンバサダー、NewsPicksのプロピッカーなども務め、ビジネスインサイダージャパンとマネー現代で寄稿連載中。