こんにちは。パロアルトインサイトCEO・AIビジネスデザイナーの石角友愛です。
今回はスマートドアベル(チャイム)のRing(英語ページ)をご紹介します。
どこからでもスマートフォンで来訪者を
確認できるスマートドアベル
Ring社は2012年に創業し、2018年にアマゾンに買収されたスタートアップ企業。作っているものは、スマートドアベルと呼ばれるセキュリティカメラ搭載のドアチャイムです。以前、アマゾン社員による無料スマートホームコンサルテーションを受けた時にRing購入を強く勧められたため、購入しました。
私がRIng社製ビデオドアベル(以下Ring)を買ったのは、家のチャイムがスマート化しておらず、誰が来たか遠隔で分からないという課題があったためです。
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Ring(ビデオドアベル)の取り付け方
取り付け方法は極めてシンプルです。手順は以下の通りです。
- 1) ドアの横にRingを設置します
- 2) 電池を充電して、Ringに電池を入れます
- 3) スマートフォンなどにアプリをダウンロードして、Ringを登録します
画像シェアで防犯対策
Ringを導入して分かったことは、防犯対策のために効果があるということです。Ring社の公式ウェブサイトに公開されている情報では、ロサンゼルス市とニューアーク市で行った実験で、Ringをドアに置いている家とそうでない家で、空き巣が入る確率が最大50%以上少なかったということです。
なぜ、空き巣に入られる確率が下がるのでしょうか?それは、Ringが単なる防犯カメラだけではなく、画像をシェアする機能に理由があると私は推測します。Ringユーザーは、毎月3ドル払うと過去60日間の動画を保存して自分が選んだ人(家族、ご近所さん、友人など)に共有できます。Ringの動体検知機能は非常に優れており、ドアに誰かが近づくと全て動画が記録されます。
アメリカでは一軒家が多く、アマゾンなどの宅配物は家のドアの前に放置されます。それを盗む人が多いのですが、Ringが設置されていると誰が盗んだか一目瞭然です。手慣れた常習犯は顔をマスクで隠したりフードを被ったりしながら盗みますが、盗む瞬間をRingが記録しています。そして、その情報をご近所さんにシェアしたいと思う人が多く、Ringのアプリから、「この風貌の人に注意!」という情報が取得できます。
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情報共有アプリとして活用
最近では、私の住んでいる町でコヨーテが出没したことがかなり話題になって、実際にRingのシェアリング機能を使って、明け方に2匹のコヨーテがゴミ箱を漁ろうとしている動画がシェアされました。
動画だけではなく、どこでその事件が発生したかという大まかな位置情報も共有されるので、昨日はここで出没して、今日はここで出没していたから、もしかしたらこの北の森に向かっているのかも、などと刑事が犯人を追跡するような気持ちでコヨーテの移動をチェックしたりできます。
プライバシーを守るため、ピンポイントで家を特定できる情報は共有されませんが、半径1km程度の範囲内でこの事件が起きたということが分かります。
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同じように、例えば飼い猫が逃げてしまった時に猫の画像をRingアプリにあげておいて、ご近所同士の情報共有アプリとしても利用できます。最近はやりのご近所SNSに似ていますが、Ringは防犯などに特化しており動画シェアができるところが大きな違いです。最近日本でも強盗などの物騒な事件が増えていますが、マンションについている防犯カメラだけでなく、スマートセキュリティカメラとしてRingなどがついているとより安全な生活が送れるようになるかもしれません。
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防犯だけではなく、Ringを通して遠隔でインターコムと話せるので、郵便配達の人に荷物を置いておくように指示したり、不審者がベルを鳴らした時に実際は家にいなくても、あたかも家にいるようなフリをすることもできます。
大かがりな防犯カメラは設置するのも大変で、一台あたりの費用も高くなりますが、Ringのようにスマートフォンより小さく、誰でも簡単に設置できるスマートセキュリティカメラが市場に出たことで一気に利用が広がっていると感じます。
パロアルトインサイトCEO・AIビジネスデザイナー
石角友愛さん Tomoe Ishizumi
パロアルトインサイトCEO 兼 AIビジネスデザイナー。
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのGoogle本社で多数のAIプロジェクトをリードする。後にHRテックベンチャーの立ち上げや流通系AIベンチャーを経て2017年パロアルトインサイトを起業。日本企業に対してシリコンバレー発のAI戦略提案からAI実装まで一貫した支援を提供する。新著に「いまこそ知りたいAIビジネス」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)があり、プログラミング教育、ギフテッド教育、留学などについての出版も5冊あり。
現在、AI&ビジネス、シリコンバレーとIT企業、新しい働き方、女性の社会進出論などでの言論活動を積極的に行う。毎日新聞「経済観測」コラムニストであり、日経クロストレンドコメンテーター、日経xwoman(クロスウーマン)アンバサダー、NewsPicksのプロピッカーなども務め、ビジネスインサイダージャパンとマネー現代で寄稿連載中。
※2019年4月現在の情報となります。