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コラム vol.538-2
  • 土地活用税務コラム

令和7年度税制改正大綱 不動産編(2)不動産に係る税制の特例措置が延長される見通し

公開日:2025/02/28

2024年12月に「令和7年度税制改正大綱」が公表され、不動産に係る税制の特例措置が延長される見通しとなりました。ここでは、以下の特例についてご紹介します。

  • (1)サービス付き高齢者向け住宅に係る不動産取得税の特例
  • (2)サービス付き高齢者向け住宅の固定資産税の軽減
  • (3)宅地建物取引業者が取得した既存住宅の不動産取得税の特例
  • (4)相続に係る所有権移転登記等の登録免許税の特例
  • (5)処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例

(1)サービス付き高齢者向け住宅に係る不動産取得税の特例

サービス付き高齢者向け住宅に係る不動産取得税の特例は、一定の要件を満たす高齢者向け住宅について、土地・建物の不動産取得税の軽減措置が受けられる制度です。
高齢化が進む現在、高齢者が安心して暮らせる住まいの確保が重要な課題となっています。高齢者の住環境の整備が引き続き必要であることから、今回の改正により、特例措置の適用期限が令和9年3月31日まで2年延長されました。

サービス付き高齢者向け住宅に係る不動産取得税の特例の適用対象となる住宅等

  新築住宅
要件 床面積 特例 30m2以上(本則40m2以上)160m2以下(共用面積を含む)
建物要件 取得の日前に一定の要件を満たす新築のサービス付き高齢者向け住宅の登録を受けたことを証する書類を添付して都道府県に申告がされた場合(10戸以上)
取得要件 ・改正法の施行日から令和7年3月31日までの取得 → 改正案 令和9年3月31日
・国又は地方公共団体から建築費補助を受けていること
軽減額 1,200万円/1戸

サービス付き高齢者向け住宅用土地に係る不動産取得税の特例の適用要件

  新築住宅
要件 床面積 特例 30m2以上(本則40m2以上)160m2以下(共用面積を含む)
建物要件 取得の日前に一定の要件を満たす新築のサービス付き高齢者向け住宅の登録を受けたことを証する書類を添付して都道府県に申告がされた場合(10戸以上)
取得要件 ・改正法の施行日から令和7年3月31日までの取得 → 改正案 令和9年3月31日
・国又は地方公共団体から建築費補助を受けていること
軽減額 次のいずれか多い方の金額
イ:4万5,000円(150万円×3%)
ロ:土地1m2の評価額×1/2×住宅の床面積の2倍(200m2が限度) ×3/100

(2)サービス付き高齢者向け住宅の固定資産税の軽減

新築のサービス付き高齢者向け住宅の固定資産税についても、一定の要件を満たすことで税額が軽減される特例措置が適用されます。この軽減措置もまた、適用期限が令和9年3月31日まで2年延長が決まりました。

適用期限 令和7年3月31日⇒改正案:令和9年3月31日までに2年延長

適用要件

戸数 戸数10戸以上のものに限る
床面積要件 30m2以上(本則40m2以上)160m2以下 共同住宅にあっては、各独立部分に係る廊下、階段、その他その共用に供されるべき部分の面積を、各独立部分の床面積の割合により配分して算入
構造要件 主要構造部が耐火構造又は準耐火構造であること等
補助受給要件 国又は地方公共団体からサービス付き高齢者向け住宅に対する建設費補助を受けていること

(3)宅地建物取引業者が取得した既存住宅の不動産取得税の特例

近年、空き家の増加が大きな課題となっています。また、人口減少や高齢化が進む中、新築住宅の供給だけでなく既存住宅の有効活用が重要視されています。このような背景から、中古住宅の流通を活性化し、良質な住宅の有効活用を促進するために設けられたのがこの特例です。

不動産業者が中古住宅を取得して一定の増改築を行った後、原則として取得の日から2年以内に個人の自己居住用住宅として譲渡(再販売)する場合、不動産取得税が減額されます。ただし、この特例を受けるためには、取得した住宅が耐震基準を満たしている、もしくは耐震改修を行う予定であることが求められます。
今回の改正で、適用期限が令和9年3月31日まで2年延長されました。

出典:国土交通省「令和7年度税制改正概要」

(4)相続に係る所有権移転登記等の登録免許税の特例

相続に係る所有権移転登記等の登録免許税の特例は、不動産の相続に伴う登記手続きの負担を軽減し、円滑な相続登記を促進することを目的として創設されました。
通常、不動産の売買、贈与、相続などによって所有権が移転する際には、登録免許税を納める必要があります。しかし、個人が土地を相続(相続人に対する遺贈を含む)した後、その土地の所有権移転登記をしないまま亡くなった場合、その個人の名義で登記する手続きについては、登録免許税が免除されます。今回の税制改正により、令和9年3月31日まで2年間延長されることになりました。
所有者不明の土地の発生を防ぐために、相続人が相続や遺贈による不動産取得を知った日から3年以内に登記・名義変更の手続きをしない場合には、一筆ごとに10万円以下の過料の対象となります。この相続登記の申請義務化は令和6年4月1日から施行されており、施行以前に相続発生分については、令和9年3月31日までの相続登記が必要です。先々代の相続登記が未登記の土地については上記の登録免許税の免税がありますので、早期に登記を終えておく必要があるでしょう。

(5)債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例

事業承継において、会社の財務状況が悪化していると円滑な承継が難しくなります。特に、中小企業の経営者が個人で所有する事業用資産(不動産や設備など)を会社に移転する場合、「みなし譲渡課税」による多額の税負担が発生する可能性があります。こうした背景から、企業再生や事業承継の円滑化に貢献するものとして、債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例が創設されました。
この特例では、中小企業の取締役などで、その法人の債務の保証人となっている個人が、自身の資産(有価証券を除く)を法人の事業のために提供し、その資産を合理的な再生計画(債務処理計画)に基づいて法人に贈与した場合、通常かかるはずの「みなし譲渡課税」が免除されます。
この特例の適用期限が、令和10年3月31日まで3年間延長されることが決定しました。
特例の適用には、以下の要件を満たす必要があります。

  • 適用要件
  • ・その個人が、再生計画に基づき、その内国法人の債務の保証に係る保証債務の一部を履行していること。
  • ・その再生計画に基づいて行われたその内国法人に対する資産の贈与及び保証債務の一部の履行後においても、その個人がその内国法人の債務の保証に係る保証債務を有していることが、その再生計画において見込まれていること。
  • ・その法人がその資産の贈与を受けた後に、その資産をその事業の用に供することがその債務処理計画において定められていること(※)
  • ※一般に公表された債務処理を行うための手続きについての(中小企業再生支援協議会等の準則に則り作成された計画を言う。

自由民主党税制調査会資料より作成

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