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コラム vol.538-1
  • 土地活用税務コラム

令和7年度税制改正大綱 不動産編(1)住宅取得と住環境改善の支援策が継続の見込み

公開日:2025/02/28

2024年12月に「令和7年度税制改正大綱」が公表されました。 近年、土地・住宅価格の上昇、建設資材や人件費の高騰、住宅ローン金利の変動といった住宅市場の変化により、子育て世帯や若者夫婦世帯の住宅取得がさらに厳しくなっています。政府は子どもを産み育てることを経済的な理由であきらめない社会を実現するため、「こども未来戦略」の集中 取り組み期間の一環として子育て世帯に支援策を講じています。
不動産に関連する改正として、毎年関心事のひとつとなっているのが住宅ローン減税です。今回の改正においても、この方針が令和7年も引き続き実施されることが盛り込まれました。
また、地震などの自然災害が相次ぐ中、安全で快適な住環境の整備の重要性もますます高まっています。しかし、耐震性の低い住宅や断熱性能が不十分な住宅が依然として多く残されており、高齢化の進展に伴い、バリアフリー化の促進も大きな課題となっています。こうした住環境の改善を目的として、既存住宅特定改修工事に対する所得税額の特別控除についても継続の方針が打ち出されました。 ここでは、以下の特例についてご紹介します。

  • (1)住宅ローン減税
  • (2)子育て対応リフォームの税額控除
  • (3)既存住宅特定改修工事の所得税額の特別控除

(1)住宅ローン減税

子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に、住宅ローン減税の上限が1000万円引き上げられ、新築住宅の床面積要件を40m2以上に緩和されています。令和6年一年間の措置とされていたところ、改正で令和7年も適用できることとされました。
子育て世帯や若者夫婦世帯を対象とした優遇措置が拡大されることで、住宅購入やリフォームを検討する方にとっての追い風となることが期待されます。住宅購入を検討している方は、今後の税制改正の動向を踏まえ、賢明に計画を立てることが大切です。

  • ・借入限度額の上乗せ
    住宅ローン減税の特例措置については、子育て世帯や若者夫婦世帯に対して借入限度額の上乗せが引き続き適用されます(図1)。これにより、長期優良住宅や低炭素住宅は5000万円、ZEH水準の省エネ住宅は4500万円、省エネ基準適合住宅は4000万円まで借入限度額を引き上げ。環境性能の高い住宅の普及を促進し、持続可能な住宅市場の形成を目指す方針が伺える内容となっています。
    対象となるのは、19歳未満の子がいる世帯、夫婦のいずれかが40歳未満の世帯で、入居した年の12月31日時点での適用になります。
  • ・住宅の床面積要件の緩和
    合計所得金額が1000万円以下の世帯に限り、新築住宅の床面積要件が従来の50m2以上から40m2以上へと引き下げられます。この適用を受けるためには、令和7年12月31日までに建築確認を受ける必要があるため、取得を考えている場合には注意が必要です。

図:令和7年の借入限度額と床面積要件

出典:国土交通省「令和7年度住宅税制改正概要

(2)子育て対応リフォームの税額控除

住宅支援の強化が求められている中、子育てに優しい住環境の拡充は欠かせないものであり、既存住宅のリフォームを支援する必要性が高まっています。この観点から、令和6年度税制改正大綱で既存住宅の子育て対応リフォームに係る所得税の特例措置が創設され、子育て世帯や若者夫婦世帯が行う子育て対応リフォーム工事が対象に加えられました。
今回の改正で、対象期限が令和7年1月1日から12月31日までの1年間延長されます。

子育て世帯や若者夫婦世帯が、子育てに適した住宅リフォームを行う場合、標準的な工事費用の10%を所得税から控除することができます。控除の対象となる工事費用の上限は250万円で、最大控除額は25万円。また、対象工事の限度額を超えた分やその他の増改築工事についても、一定の範囲内で5%の税額控除が適用されます。
対象となるのは、19歳未満の子がいる世帯、夫婦のいずれかが40歳未満の世帯で、令和6年12月31日(これらの方が年の途中で死亡した場合には、その死亡の時)の適用によります。 なお、子育てに適した住宅リフォームとは、次のいずれかに該当する工事をいいます。

  • ・住宅内における子どもの事故を防止するための工事
  • ・対面式キッチンへの交換工事
  • ・開口部の防犯性を高める工事
  • ・収納設備を増設する工事
  • ・開口部・界壁・界床の防音性を高める工事
  • ・間取り変更工事(一定のものに限る)

(3)既存住宅特定改修工事の所得税額の特別控除

この特例により、既存住宅で特定の改修工事を行った場合、かかった費用の一部が所得税から控除されます。合計所得金額が2000万円以下であれば、住宅ローンの利用に関係なく受けることができますが、適用対象として住宅が自己の居住用であることや、工事の内容が基準を満たしている必要があります。ただし、合計所得金額2000万円超の年は適用が除外されます。

※控除限度額は工事の種類により異なる。特定の改修工事をして令和6年及び令和7年に居住の用に供した場合の標準的な工事費用の額に係る控除対象限度額及び控除率

居住年 対象工事 控除対象
限度額
控除率
令和6年・令和7年 バリアフリー改修工事 200万円 10%
省エネ改修工事 250万円(350万円)
三世代同居改修工事 250万円
耐震改修工事又は省エネ改修工事と併せて行う耐久性向上改修工事 250万円(350万円)
耐震改修工事及び省エネ改修工事と併せて行う耐久性向上改修工事 500万円(600万円)
  ※子育て対応改修工事 250万円 10%

(注)カッコ内の金額は、省エネ改修工事と併せて太陽光発電装置を設置する場合の控除対象限度額である。

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