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コラム vol.372
  • 不動産市況を読み解く

住宅ローン減税の延長と賃貸併用住宅における適用

公開日:2021/10/29

インパクトの大きい住宅ローン減税、延長の可能性

住宅ローン減税が再び延長される可能性が出てきました。
「延長はなさそうだ」との声が夏頃までは聞かれましたが、9月下旬に国土交通大臣が延長の検討を表明したため、税制改正大綱に盛り込まれることを経て延長される可能性が出てきました。住宅ローン減税は所得控除ではなく税額控除のため、恩恵を受ける方へのインパクトは大きく、延長は多くの方から好感を得られるでしょう。
税額控除は税額が控除(=減る)されることです。所得控除は、医療費控除や生命保険控除など、税額の算定基準となる所得が控除されることです。そのため、一般的には税額控除の方が減税される額が大きくなります。

住宅需要の高まりに伴う経済への影響は、とても大きいため(単なる住宅需要だけでなく例えば、家具・家電など関連消費が期待できます)、新型コロナウイルス感染拡大の経済への影響の下支え策としての「住宅ローン減税の延長」が、昨年と同じく今年も期待されていました。そのような動きを見ての省庁の行動だと思われます。

住宅ローン減税は正式には「住宅借入金等特別控除」といい、その源流は、1972年に制定された「住宅取得控除」で、住宅ローンを組んで住宅を取得する方の金利負担を軽減するために制定されたものです。その後、何度かの改正を伴いながら、現在に至るまでこのような制度が存在し続けています。

住宅ローン減税の適用と概要

現行の住宅ローン減税については(来年度も延長可能性があり、また大きな変更はないと思われますが、正式な内容はまだ未決定ですので、ここでは現行制度のものを記載します)土地活用ラボの記事(下記)を参考にしてください。(編集注:現行制度の入居期限などもこちらにあります。)入居期限については、下記に現行制度の期日が決まっていますが、新型コロナウイルスの影響などが適用されると、特例が認められるようです。

ご参考コラム:固定資産税据え置きと住宅ローン減税の拡充!2021年度住宅・不動産関連の税改正について

住宅ローン減税は、「自らが住むための住宅を購入する際に借りた住宅ローンの一定割合を控除=減税」する仕組みです。(ちなみに、新築だけでなく、中古、あるいはリフォーム費用のローンにも適用されます)。現行(令和3年度分)の制度では、消費税10%に増税された時に期間が延びましたので、減税期間は最長13年間で、控除率は1%、最大控除額は、4000万円×1%=40万円(長期優良住宅等は50万円の場合もあります)、これが10年間続きます。その後3年間は、そのまま住宅ローン残高もしくは取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%など、少しややこしい仕組みになります(詳しくは税理士等にご相談ください)。また、住宅ローン減税の還付を受けるためには、確定申告が必要となりますので注意してください。

住宅ローン減税は、賃貸住宅として利用されるものには適用されませんが、賃貸併用住宅においては、その一部は「自らが住むための住宅」であり、当然その分の住宅ローン減税を受けることができます。(年収など、その他各種条件があります)。
以下、賃貸併用住宅の住宅ローン減税についてご説明します。

賃貸併用住宅における住宅ローン減税適用について

賃貸併用住宅で、以下の要件を満たせば、住宅ローン減税を適用することができます。

  • ・建物の延べ床面積が50m2以上であること
  • ・適用を受ける年度の合計所得が3000万円以下であること
  • ・新築あるいは取得した日から6カ月以内に入居し、12月31日まで居住していること
  • ・10年以上の住宅ローンを組んでいること(ここまでは、一般住宅と同じ)
  • ・2分の1以上が自らの居住用になっていること

例えば、総額1億円の賃貸併用住宅を購入。そのうち7000万円を住宅ローンとして借り入れ、6割が自宅部分の場合(一般的な住宅の場合、合計所得3000万円以下で床面積50m2以上の建物)

7000万円×60%=4200万円→4000万円が上限
4000万円×1%=40万円(1~10年目分)

となります。

まとめ

住宅ローン減税は延長される可能性がでてきました。延長される場合、概要はこれまでのパターンだとあまり変わらないことが多いですが、まだ分かりません。現行のままの可能性が高いですが、年数(現行13年間)が短くなる可能性や控除率(現行は1%)が引き下げられる可能性なども考えられます。 賃貸併用住宅においても条件を満たせば適用されます。かなり大きな減税ですので検討中の方は恩恵を受けたいものです。 住宅ローン減税の適用は個人様や企業様の状況により異なります。また本文では概要を中心に述べ、細かい補足事項などは記載しておりません。必ず、専門家などにご相談してください。

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