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コラム vol.340
  • 不動産市況を読み解く

期限が近づく!生産緑地問題はどうなっているのか?

公開日:2020/10/30

POINT!

・生産緑地に指定された農地の約8割に関係する「生産緑地の2022年問題」が近づいてきている

・延長の意思表示をするか、手放すかの判断をする時期を迎えている

「都市圏の2022年問題」といわれてきた、生産緑地の指定解除期限が2022年より始まります。
この問題は2016年半ばから話題に上がりはじめ、2017年には、メディアでも大きく取り上げられました。
土地活用ラボニュース」でも「1800坪の生産緑地に新しいライフスタイルを実現した5棟の賃貸住宅」として紹介されています。

2017年前後には、「生産緑地をどうするか」、つまり予想される問題として、「一斉に指定解除を受けてそれらが宅地として市場に出ると供給過剰で地価が下がるのではないか」ということが話題になりましたが、現在はあまり報じられていません。今回のコラムは、生産緑地に関する最近の動きと対応策について検討してみます。

ほとんどの生産緑地が2022年に期限を迎える

平成4年(1992年)に、新生産緑地制度がスタートし、三大都市圏の特定市における多くの都市農地が生産緑地の指定を受けました。指定を受けなかった市街化区域にある農地を、税の重さ、地価の上昇などが相まって手放す方が多く、年々減少しています(概ね半減しています)。その一方で、税の軽減のある生産緑地の減少はわずかにとどまっています。その結果、2016年時点で三大都市圏の市街化区域内農地の約5割を生産緑地が占めています(国土交通省:平 成31年特定生産緑地制度資料)。
また、生産緑地に指定された農地のうち圧倒的多数は、1992年の新制度導入時に指定を受けています。そのため、面積の概ね8割にあたる生産緑地が、2022年に指定から30年が経過することになります。
このように2017年頃に大きく騒がれた「生産緑地の2022年問題」は、平成30年(2018年)に「特定生産緑地制度」が施行されると、あまり取り上げられなくなりました。
特定生産緑地制度について、「特定生産緑地制度の手引き平成31年3月版」(国土交通省都市局 都市計画課 公園緑地・景観課 資料)を基に簡単にまとめておきます。

  • ・生産緑地の所有者等(相続などを含む)からの申し出があれば、市町村長は告示から30年経過するまでに(つまり2022年までに)、生産緑地を特定生産緑地として指定できることになりました。
  • ・特定生産緑地に指定された場合、買い取りの申し出ができる時期が、「生産緑地地区の都市計画の告示日から30年経過後」(多くは2022年が30年にあたります)から、10年延期されます。
  • ・10年経過する前であれば、改めて所有者等の同意を得て、繰り返し10年の延長ができます。
  • ・特定生産緑地の税制については、従来の生産緑地に措置されてきた税制が継続されます。(農地並み課税が適応されます)
  • ・逆に、期日までに特定生産緑地に指定しない場合は、買い取りの申し出をしない場合でも、従来の税制措置が受け られなくなります。(激変緩和措置があります)
  • ・特定生産緑地の指定は、告示から30年経過するまでに行うこととされており、30年経過後は特定生産緑地として指定できません。

この先どうするかの決断の時期にきている

このように、生産緑地制度が実質的に延長されることになり、オーナー様はその「意思表示」をする必要があります。
すでに延長の意思表示を市区町村に提示している方もいるようですが、生産緑地を保有するオーナー様でまだ決めかねている方は、保有する生産緑地をこの先どうするかを、あと1年程度で決めなければいけません。
まず自身が所有する土地を手放すかどうかの選択です。手放さない選択は主に以下の3つです。(いうまでもありませんが、「手放す」というのは「売却する」ということです)

  • 1)延長する
  • 2)一部売却し、一部はそのまま延長する
  • 3)延長せずに別の用途に用いる

どの選択肢がベストなのかは、オーナー様の今後の生計、他の資産状況、相続はどうするのか、また、該当地の周辺環境等により異なります。
期限が近づいています。まだ決めかねている、よく分からないという方は、大和ハウス工業の担当者など専門家に相談するとよいでしょう。

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