コラム vol.030
介護報酬改定と土地活用
公開日:2015/03/12
平成27年度(平成27年4月)より介護報酬が改定されることが決まっている。
改定の基本的な考え方とそれに伴う、土地活用としての介護施設についても検討してみたい。
改定の背景は、以下のようにまとめられる。
団塊の世代の全てが75歳以上となる、2025年に向けて、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される「地域包括ケアシステム」を構築していく。
一方で、2025年以降、我が国の介護保険制度を支える40歳以上人口は減少すると見込まれる。このため、“2025年に向けた地域包括ケアシステムの構築”とともに、保険制度の支え手や介護サービスの担い手の減少とは対照的に今後も増大が見込まれる介護ニーズに対して、質の高い介護人材を確保し、より効率的なサービスの提供体制をいかに構築していくのかも考慮が必要。
改定の根幹は
- (1)中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の更なる強化
- (2)介護人材確保対策の推進
- (3)サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築
があげられる。
(社会保障審議会介護給付費分科会「平成27年度介護報酬改定に関する審議報告」より)
では、具体的にいくつかの改正点を見ていこう。
■ 介護報酬全体を2.27%引き下げ
消費税の10%アップが見送られたこともあり、全体で、2.27%引き下げられ、基本的なサービスを提供した場合の報酬の大部分が下がった。マイナス改定は、06年度以降、9年ぶりのことだ。
土地活用として、介護関連施設の運営をする場合、収支計画に影響が出なければいいのだが、と懸念される点だ。
- ■ 中重度者向けサービスの拡充
- ■ 「活動」と「参加」に焦点を当てたリハビリテーションの推進
- ■ 看取り期における対応の充実
■ 介護職員の賃金を月1.2万円引き上げ
介護職員は、求人募集に対して応募が少ないことが続いてきた。その理由のひとつには、労働環境と賃金の不釣合いがあるのでないか、との指摘があった。この改正は、こうしたことの改善策と見ていいだろう。
この改正も、借り上げを行う、介護運営会社にとっては収支マイナス要因となるため、オーナーとの間の賃貸借契約金額にマイナスの影響を及ぼす可能性もある。
今後の動きに注目しておきたい。
以下、参考までに介護給付と保険金の推移のグラフを掲載しておく。高齢化社会が進むことは確実で、それは、このグラフがますます右方上がりになるということだ。