どのくらいの人が都道府県間で移動するのか?2018年人口移動報告と単身世帯の増加
公開日:2019/02/28
POINT!
・「転入超過」は全国で7都府県
・転入者は賃貸住宅需要の大きな柱の1つになる
日本国内では、どのくらいの方が都道府県をまたいで移動するのでしょうか。
総務省統計局が毎月発表する住民基本台帳に基づく人口移動報告(2019年1月31日に発表)によれば、国内における2018年の都道府県間移動者数は約254万人でした(同一都道府県内移動は、約282万人)。
「転入超過」は7都府県
同報告によると、「転入者」から「転出者」を差し引いた人数がプラスになる「転入超過」は全国で7都府県しかありません。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、福岡県、大阪府といういつもの顔ぶれです。あとの40道府県は転出超過になっています。
転入者が一番多いのは東京都で約8万人。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県で、約14万人も転入超過になっています。
最も多く移動するのは、20代前半の男性で、次いで10代後半の男性となっています。就職、進学を機に移動する方が多いようです。
1都3県の10代後半から30歳未満の転入超過が約13万人。1都3県の転入超過約14万人の約9割がこの世代ということです。(総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」より)
転入者・転出者数などの詳細は、月単位で総務省統計局から報告されます。
ちなみに、2019年1月の数値では、少ない県でも400人くらいの転入者がいました(最多の東京都では約2万8,000人)。
都道府県間移動者のほとんどは、「進学・就職」が移動理由となっています。
進学・就職で引っ越す方のほとんどは、賃貸住宅を選択します。10代後半~20代の収入面を考慮すると、賃貸住宅か学生寮、社宅に住むことになるでしょう。このように、転入者は賃貸住宅需要の大きな柱の一つになります。
人口移動と世帯数
次に人口移動と世帯数について考えてみます。
日本では1960年代から、つまり日本において近代化が進むにつれて、人口の移動が活発になってきました。その主なパターンは農村部から都市部への移動ですが、これが都道府県間の移動の場合もあれば、同一都道府県内というパターンもあります。
こうした流れに伴い、世帯あたりの構成人員は減っていきました。1世帯あたりの人数は1980年には約3.2人でしたが、2015年には2.38人となっています。この数字は今後もさらに減少していくでしょう。2040年には2.08人となる予測で、このころになると、「4人家族って多いよね」という状況になりそうです。(以上、総務省統計局データより)
単身世帯数は2030年~2035年あたりがピークと予想されていますが(国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計〈全国推計 2018年推計〉」より)、このころになると世帯数そのものが減少し始めていますので、全世帯に占める単身世帯の割合は増え続けます。1980年では全世帯に占める単身世帯の割合は19.8%でしたが、2015年には34.5%、つまり3世帯に1世帯は1人暮らしという状況です。この割合は増え続け、2040年には39.3%になると予想されています。(国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計〈全国推計 2018年推計〉」より)
地域により多少の違いはありますが、単身世帯の65%~70%は、賃貸住宅に住んでいます。都市部の周辺地域では75%近くの所もありますし、地方都市においてもかなり大きな数字となっています。この傾向は全国的に見られるもので、この割合が続くとするならば、単身世帯の増加は、賃貸住宅需要の増加につながるといえます。