所有者不明土地の解消なるか?土地の相続登記義務化へ
公開日:2019/02/28
POINT!
・全国で約410万ヘクタールもの所有者不明の土地が存在
・法務省は所有者不明土地を減らすための改革を進める
増加する一方の所有者不明土地
数年前から問題提起されている、所有者が不明の土地について改革が進みそうです。
まず、「所有者不明土地」とは、どのような土地なのでしょうか。
国土交通省のWebサイトによると、所有者不明土地とは「相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない一筆の土地をいう」とされています。つまり、不動産登記簿などで所有者がすぐ分からなかったり、判明しても連絡がつかなかったりする土地のことです。
日本中でこの所有者不明土地が増えており、一般財団法人国土計画協会の所有者不明土地問題研究会によると、全国で約410万ヘクタール(2016年の推計)もあるとされ、2040年には約720万ヘクタールにまで広がるといわれています。こうした状況が放置されると、政策上さまざまな支障が起こることが予想されます。例えば、新たに道路を建設する、拡幅するなどのとき、所有者不明土地があると誰の許可を得て土地を買収していいかわからず、計画を進めることができなくなり、道路というインフラ整備に支障をきたしてしまいます。ほかにも、こうした問題が増えていることから、登記を管轄する法務省が改革を目指しています。
所有者不明土地を減らすための具体的な改正案は、以下の通りです。
- 1)相続登記を義務付ける。そして、登記をしていなければ罰金を科すことも検討する。
- 2)所有権を放棄する制度の創設を検討する。
- 3)遺産分割協議に期限を設ける。
- 4)相続財産管理人を土地ごとに選任する。
ある人が亡くなったとき、土地を相続するべき人が登記簿上の名義を書き換えないまま放置すると、外部からは権利者が誰なのか分かりにくく、売買や賃貸借などの土地取引を妨げる要因にもなります。このため、相続登記を義務付けることで所有者不明土地を減らし、土地の有効活用を促します。どれくらい実効力があるか疑問があるとの報道もありますが、所有者不明土地の減少が今後大きく進展することは間違いありません。
しかし、先に述べたように所有者不明土地はすでに全国にかなり存在しています。
これらに対する解決策はないままです。上記の事項が制度化されても、これまでの所有者不明土地をどうするか、という問題は残ります。
期待される土地活用
都市部では、相続しても使わない土地は売却すれば新たな買い手が見つかり、その土地は有効に使われるでしょう。問題は地方の相続土地です。 例えば、両親の住む家を、両親がともに亡くなった後に相続したとしても、それはすでに使わない土地(+家屋)になってしまっている事例が増えています。 また、所有者権移転の登記、そして固定資産税、また維持管理費など、使わない土地にコストがかかることを避けたいと思う方も多いようです。さらに、少子高齢化が進み、管理が物理的に難しくなっている現実もあります。しかし、現行の民法では土地の放棄は認められていません。
こうした状況を解決するために、土地を手放したい方と土地を入手したい方とのマッチングを行うような制度もいま検討されているようです。うまく機能すれば、放置される土地が減り、土地活用が進むことが期待されるでしょう。
土地を相続しても、土地活用の知識も経験もない場合には、大和ハウス工業が提供する土地の有効活用を検討してみてはいかがでしょうか。地方都市においても、さまざまな利用方法を考えれば、その土地が収益を生む可能性があります。賃貸住宅だけでなく、工場用地、物流施設、商業施設など、大和ハウス工業が提供するさまざまなソリューション事例を見ると、全国各地で施設建築を行っています。一度検討されてみるとよいでしょう。