コラム vol.028
2015年土地活用のトレンドはどう変わるのか?
~不動産市況と土地活用~
公開日:2015/02/25
今年1年を予測する
平成8年から平成26年までの地価公示の増減率を分析し、それらから平成27年の予測を行ってみたい。これら2つのグラフは、公表されている住宅地と商業地の地価公示の増減率を示したものだ。《平成8年(1996年)~平成26年(2014年)》。
大都市圏ではプラス、地方はマイナスと予測
まずは、住宅地からみていこう。
ミニバブル、リーマンショックを経て、首都圏の地価はおおむね10%近く値下がりした。高騰したエリアのマンション価格は、それ以上値下がりした物件も見られた。(グラフ1)その落ち込みからの回復のキザシは平成24年あたりから見られ、平成26年には東京圏、大阪圏、名古屋圏などの大都市圏は、概ねプラスの値を示した。(大阪のみマイナス0.1%)
このグラフの兆候、そしてサイクル的に見ても、平成27年に発表される大都市の地価公示は更にプラスの値を示すだろう。ではどれくらいプラスになるかというと、概ね2~3%の間だと思われる。
しかし、地方都市においては、下落率は減るものの、まだマイナスの値だろうと予想する。
6年ぶりに全国平均でもプラスになる可能性も
次に商業地について。
こちらの回復は住宅地よりも明らかで、平成26年には3大都市圏すべてでプラスの値を示し、全国的にみても、わずかな下落(マイナス0.5%)となっている。(グラフ2)
ファンドの資金流入、企業の旺盛な出店意欲などをふまえると、大都市圏の平成27年の商業地はプラスになるだろう。そして、6年ぶりに全国平均でもプラスになるかもしれない。
地価公示と住宅着工戸数の相関関係
次に、賃貸用住宅建設市況にフォーカスした市況予測を行いたい。
前述したように、大都市圏では住宅地、商業地ともに地価が上がると予想した。では、地価が上がると、賃貸住宅の着工数は増えるのだろうか?
グラフ3は、1984年から昨年までの地価公示(平均値)と賃貸住宅着工戸数の前年対比の数値をグラフ化したものだ。前年対比を見ることで、増加傾向か下落傾向かが分かる。
そして、これら2つの値の相関係数を計算したところ、0.43という数字になった。相関係数については、2つのデータの関係性、影響関係について判断する基準になる。マイナス1~プラス1の間で表現され、概ね0.4以上で関係性がある、0.7以上で強い関係性があると解され、逆にマイナスになると、逆の影響を持つと解される。
2つのデータの相関係数は0.43と計算され、やや関係性があるということになった。印象的には、0.7程度の強い関係性があると思っていたが、意外にもそこまでの強い関係性はなかった。
しかしながら、関係性はあるということになるので、昨年並みかややそれを超える数字になるだろう。
さらには、相続税改正に伴う、そのソリューションとしての土地活用分が上乗せされることは間違いないので、この2つを合わせると、昨年よりも賃貸住宅着工戸数は多少伸びると予測される。