ここ30年で50代以下での持ち家比率が大きく低下!伸びる賃貸住宅需要
公開日:2017/07/20
POINT!
・50代以下の世代では、持ち家比率が低下傾向
・主な原因は、大都市圏の地価高騰、持ち家志向の低下、賃貸住宅のレベルアップ
都道府県別の持ち家比率
賃貸住宅に住む世帯の割合は、どのくらいだと思いますか?
持ち家のデータは各市町村も公開していますが、全国的なデータは、総務省が5年に一度行う住宅・土地統計調査の中にあります(図1)。
最新のデータは2013年のもので、日本全体の持ち家比率は61.7%となっています。都道府県別でみると、一番多いのが富山県で79.4%、次いで秋田県78.1%、山形県76.7%、以下福井県、新潟県と日本海側の各県が続きます。
これを世代別で見てみると、興味深いことがわかります。
1988年と2013年の年齢別持ち家比率を比べたのが図2です。
図1:都道府県別 持ち家比率
2013年総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査」より作成
図2:年齢別に見る持ち家比率の変化(1988年・2013年比較)
総務省統計局「1988年住宅統計調査」「2013年住宅・土地統計調査」より作成
賃貸住宅を選択する理由
50代以下の世代では、賃貸住宅暮らしをする方が増えています。その理由を検討してみましょう。
まず挙げられるのは、都市部における住宅価格の高騰です。2012年の終わりごろから、首都圏や関西圏などでマンション価格が上昇しています。この傾向は今も続いており、大都市では年収に対するマンション価格が10倍を超えています。
「さすがに高いので、今はやめておこう」と考える方もいるでしょう。
持ち家は欲しいけれど、所有する時期を遅らせている方が増加しています。
また、「持ち家志向」そのものの低下もあります。
非正規雇用の方が増えていること、また大企業でもボーナスなどでインセンティブの割合が増えることで給与が安定しないなど、収入に関することが1つ目の理由です。
次に、ライフスタイルの変化も考えられます。
多額のローンを抱えたくない、自分の好きなことにお金を使いたい、だから賃貸住宅で十分といった考えです。また、生涯未婚率の上昇、晩婚化が進み「結婚したので我が家を持とう」という状況が減りつつあります。
ほかにも、近隣住人とのコミュニケーションの難しさなどを指摘する声もあります。
最後に、「賃貸住宅の建物としてのレベルアップ」も持ち家比率を低くしている大きな理由だと思います。かつての安かろう、悪かろうの賃貸住宅は減り、新しく建てられる賃貸住宅は、外観の見栄えがよく、水回り設備も充実し、収納スペースも工夫され、そしてセキュリティレベルも高いというものが増えています。
こうしたことから、「賃貸住宅で十分だ」という消極的な思いでなく、「賃貸住宅がいい」といった積極派が増えているようです。
今後も、50代以下の賃貸派は増えてくるものと予想されます。