コラム vol.117
マイナス金利政策は、不動産投資・土地活用投資にどんな影響をあたえるのか?
公開日:2016/02/25
目論見は大きく崩れた!?
マイナス金利政策は、欧州中央銀行(ECB)が2014年に導入しました。それによりユーロ安が起こり、EUの貿易黒字がもたらされました。
ユーロ圏以外でも、スイス、デンマーク、スウェーデンなどでも導入されています。
日本におけるマイナス金利政策は、投資と消費を促す目的とともに、円安を誘導し、それにより海外輸出関連企業がけん引する形での株価上昇(持ち直し)を狙っていました(貿易黒字にもつながる)。
しかし、この目論見は大きく崩れました。為替相場においては、発表から2~3日は121円程度の円安に振れましたが、その後一変、2月11~12日ごろには112円まで円高が進みました。アメリカの追加金利引き上げの先送り感、中国などの通貨不安、ヨーロッパ各国の通貨信用低下、など複合的な理由が入り混じっての円高進行といわれています。
マイナス金利によって住宅価格が上昇
マイナス金利を先に導入した北欧国で起こったとされているのが、住宅価格の上昇です。マイナス金利政策は貸出金利(個人の場合住宅ローンなど)低下につながることから、住宅が買いやすくなります。価格は需給のバランスで決まりますから、多くの人が買おうという意欲を見せると、売る側は強気の価格設定になるのは必然です。それが繰り返されると価格が上昇するというわけです。
住宅ローン金利の低下によって住宅購入意欲が高まることが予想されますが、すでにマンション価格は、首都圏においてかつてのバブル期に近いほど高くなり、すでに容易に購入に踏み切れる価格ではなくなってきています。この点については、この先の動向に注目したいところです。
活況を示す賃貸住宅投資・土地活用投資
一方、ローン金利低下により、今述べたような実需用不動産の行方は微妙ですが、賃貸住宅投資・土地活用投資においては活況になる気配に満ち溢れている状況です。
マイナス金利政策決定以降、全国各地で講演を行いましたが、どの会場に行っても、「過去最高クラスの集客状況です」(主催者)ということでした。「人の多さに加えて、いつも以上に真剣な顔つきで聞いていただいているような気がします」
以前に2016年の賃貸住宅(貸家)の住宅着工戸数の予測を行いましたが、今回のマイナス金利政策がしばらく続くならば、上方修正が必要かもしれません。