コラム vol.116
マイナス金利とはどんなものか?
公開日:2016/02/25
ついに「マイナス金利」政策を導入
日銀の基準金利がマイナスになるとは、日銀と金融機関がお金のやり取りをする際、金融機関が日銀にお金を預ければ、これまで利息が付いていたものが、利息は付かず、預けて引き出せば、いくらか減って戻されるということです。
※2月数値は2月16日時点
金融機関にお金を預ければ(たとえわずかでも)利息が付くというのが原則ですが、その逆の状況をつくりだしているわけです。
この政策は、消費を促し投資を促すことで市中にお金が回り、日本経済が活況になる事を狙っており、そこから「貯金をしてもお金は増えません、安全資産(安全な投資)と呼ばれている国債・MRFなどはもう金利はほとんど付きません。だから積極的にいろんなモノに投資してください。お金を抱えるのではなく、使ってください」というメッセージが読み取れます。
先行き不安かチャンス到来か
基準金利が下がると、結果的に銀行などの金融機関が企業や一般個人に貸す金利が低くなります。大手銀行の住宅ローンは、2月16日からの適用金利で、史上最低金利を更新しています。
借り入れを行う際の金利は、名目金利と実質金利という考え方があります。
実質金利(A)=名目金利(B)-インフレ率(予測値)(C)
設備投資や土地活用を含めた不動産投資においては、名目金利だけでなく実質金利も合わせて考える必要があります。
これまで日銀は2%のインフレ目標を設定したために、度重なる金融緩和政策を打ち出してきました。これも先に述べた政策のためです。(C)を上げることで、(A)が下がり、投資を促す策です。
しかし、インフレ目標達成は延期され、2%に届かない年もあり、インフレムードが下がってきています。(C)が上がらなければ、(A)は下がらず、投資が促進されません。今回は、(B)を下げることで(A)が下がることを狙うという、投資を促す政策だといえるでしょう。
今回のマイナス金利の導入により、日銀は、景気回復をあきらめていないということを鮮明に示しました。
「こんな奇策を導入するとは、この先の日本経済に不安を感じる」という声も聞こえる一方、不動産投資意欲が高い方の中には、「チャンス到来」と考える人もいます。
「先行き不安かチャンス到来か」どう考えるかは、皆さんの判断ということになるでしょう。