コラム vol.015
ロードサイド店賃貸の仕組みと歴史
公開日:2014/09/01
ユニクロ創業者の方が書かれた著書の中に、「全国にチェーン展開でき1000億円を超えることができたのは大和ハウス工業のおかげだ。」という一文がある。
今や世界企業のユニクロは地方都市の衣料店として出発、現在はすでに閉鎖されている小さな証券取引所だった広島証券取引所に上場、そして全国展開を目指した。上場後に飛躍的に売り上げを伸ばすのであるが、その際にサポートしたのは大和ハウス工業だった。この成長ストリーは、業界ではとても有名な話として知られているが、一般の方々にはそれほど知られていないのかもしれない。
ここでは、「土地活用としてのロードサイド店舗」をテーマとして取り上げる。
大和ハウス工業が ロードサイド店舗の事業を始めたのは1976年、今から40年近く前の事だ。土地活用と言えば賃貸住宅経営しかない、と言ってもいい時代に新しいソリューションモデルを提供しはじめた。国民の所得が大きく伸び、郊外にニュータウンが建設され、自家用自動車の普及が進んでいた頃だ。
郊外のロードサイド店舗は、ガソリンスタンドやドライバー相手の食堂(ドライブイン)などがまず発展した。その後1970年代の前半からはファミリーレストランがロードサイドに展開を始める。そして、その後は家電・洋服(紳士服)、スポーツ用品、靴などの全国チェーンの量販店が進出といった流れだ。
大和ハウス工業の土地活用としてのロードサイドサポート事業は、土地のオーナーと出店を希望する事業者を仲介する仕組み(LOCシステム)だ。
土地オーナーは土地を貸し地代収入を得るというパターンと、オーナー自らがテナント用店舗を建てて、それを貸す(賃料収入)というパターンがある。
建物を建てず土地だけを貸す場合は、初期投資がほとんどかからない。一方、建物付きで貸す場合、テナントが退店しても他のテナントを付けることが求められるが、居ぬき店舗を探す企業は多いので、案外すぐに新たな企業が入店することが多い。また、場合によるが賃貸住宅経営などに比べて、投資回収までの期間は短いようだ。