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コラム No.6-2

CREコラム

CRE戦略とは何か(2)CREの直接的効果

更新日:2019/09/30
公開日:2016/03/25

CRE戦略とは、企業の経営戦略に基づきながら中長期的な企業価値向上を目指すものですが、CRE戦略導入によって直接的な効果を得ることもできます。

2010年に国土交通省から発表された、「CRE戦略実践のためのガイドライン(2010改訂版):合理的なCRE戦略の推進に関する研究会」で発表された内容を参考に紹介します。

(1)コスト削減

まず、立地、面積、拠点の統廃合、効果的な拠点戦略などによって、企業が使う不動産に関するコスト削減を図ることができます。拠点の問題は、ITネットワークの活用などによって、思い切った変革へとつなげていくことも可能です。
昨今の働き方改革への対応に伴い、「働く場所」を再考する企業はとても増えています。移動による交通費の削減だけではなく、働く場所を目的によって変更したり、働く人の状況に応じて働く場所を提供したり、優秀な人材を確保し、労働生産性を向上させるために、多様な働く場所が望まれています。

また、広すぎるスペース、拠点間の無駄、稼働状況の季節変動など、企業において不動産に関するコストは多方面にわたります。加えて、設備の修繕費、改修費、管理費、賃料、共益費、物流コストなどのコスト、そして、場所による人件費の差額、従業員の交通費など、総合的な見直しを図ることで、大きなコストダウンにつなげることができます。

日本企業の多くは不動産の所有コストに関する意識がやや低く、所有している不動産にはコストがかからないという認識でいる経営者も少なくありません。しかし、所有にも、資本コストや未稼働コスト、管理コストなどの見えないコストがあることも忘れてはいけません。 仮に、その場所を賃貸する場合のコストを計算してみれば、その場所にいることで本当に収支がとれているのかどうか、明らかになるはずです。こうした試みは、不動産に関するコスト意識を徹底させる意味でも効果的です。

(2)キャッシュ・イン・フローの増加

不動産の活用によるキャッシュ・イン・フローの増加に関しては、いくつかの側面があります。
まず、CRE戦略によって生産性を上げ、事業の収益を向上させることによってキャッシュ・イン・フローを増加させることができます。前述のオフィスの効果的な活用による生産性の向上もその有力な方法のひとつです。
また、本業とは無関係の不動産を売却したり賃貸に活用したりすることでキャッシュを得ることも可能です。さらに、その売却収益を別の事業に投資し、事業収入を拡大させる方法も、キャッシュを増加させる有力な方法です。
むしろ、この手段こそ、CRE戦略の主となる活動といえるでしょう。最近では、遊休地や不動産のオフバランスによって資金を本業に集中させたり、将来の柱になるような新規事業に資産を投下したりすることで、企業体質を改善する動きが増えています。
従来、不動産資産は、企業にとってバランスシート上の問題であり、キャッシュ・イン・フローの問題として捉えられることは、あまりありませんでした。
しかし、こうしたキャッシュ・イン・フローへの影響、会計の制度変更を考えると、バランスシート上だけではなく、PL(損益計算書)への影響も非常に大きなものがあります。

(3)経営リスクの分散化・軽減・除去

不動産はリスクも抱えています。バブル経済のときのような市況のリスクや会計制度の変更などは象徴的なリスクです。
CRE戦略は、こうしたリスクを分散化し、軽減するという狙いもあります。
そのためには、不動産のオフバランス化を図ったり、あるはCREマネジメントを含む不動産管理業務をアウトソーシングしたりすることもひとつの方法です。

(4)顧客サービスの向上

消費者との直接的なビジネスを行う企業にとっては、CRE戦略の見直しを行い、場所や快適性などの改善を図ることが、消費者へのサービス向上につながります。
また、CRE戦略の適性化は、企業全体としての体質改善によって、製品やサービスの価格、クオリティの向上にもつながるはずです。

(5)ブランディング

適正な場所や立地条件、あるいは建築物によって、消費者や顧客に対するブランディング、イメージアップにもなります。
ブランド評価や企業イメージの評価には、場所やランドマークとしての不動産が影響を与えることに加えて、地域社会に対して不動産の活用を提供するなどのCSR的な活動もあります。

(6)資金調達力アップ

企業の財務バランスやキャッシュフローの増加が好転すると、金融機関からの評価が上がり、資金調達力もアップすることでしょう。

こうした効果を高めていくためにも、CRE戦略は、これまでにない企業としての意思決定や戦略転換を必要とします。CREに関する意思決定部門などを新設することで、CRE戦略に関する意思決定の速度を上げることも必要でしょう。

ああこうした効果を高めていくためにも、CRE戦略は、これまでにない企業としての意思決定や戦略転換を必要とします。CREに関する意思決定部門などを新設することで、CRE戦略に関する意思決定の速度を上げることも必要でしょう。

参考:「CRE戦略実践のためのガイドライン(2010改訂版):合理的なCRE戦略の推進に関する研究会」(国土交通省)

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