対談 【第1回】サステナビリティを考える
2055年、大和ハウスは住宅メーカーではなくなる?!(枝廣)
枝廣 自分の会社が自動車メーカーだと思ったら、車を作ることが仕事になる。そう思っていると、車をどういうデザインにしようとか燃費をどうしようとか、車の範疇でしか考えられないですよね。だけど「人々に移動の手段を提供すること」が自分たちのビジネスだと考えを変えたら、別に車じゃなくてもいいし、いろんなことができます。
同様に、「自分たちは住宅メーカー」だと思っていたら住宅を作ることしか考えられないけれど、社会に求められ人々の役に立つもの喜ばれるものを提供するといったら、すでに取り組まれているように、農業もあれば環境もあれば福祉もあるというように、アメーバのようにいろんな形になるでしょう。
その意味で、先ほどの樋口会長に対する質問で「2055年に大和ハウスがどういう建物を造っているか」をさらに一歩進めると、私は2055年には大和ハウスは住宅メーカーではなくなると想像しています。住宅も作っているかもしれないけれど、食べるものとか住む場所とか人々の居心地の良さとか、福祉とか、いろんなことを含めて幸せを提供しているように想像しています。
樋口 創業者は確かに「大和ハウスは総合生活産業だと。それを目指している。」と言いました。その通り、住宅だけの会社をめざしているわけではありません。新商品というのは、部屋に籠って、こんなのが良いのではと考えるのではなく、あちこち出歩いていろんな現場を見て、「こんな商品があったらいいのにな」というニーズを見つけてくることです。それが「ミゼットハウス」でした。子どもたちがくれた知恵です。子どもたちが「ミゼットハウスを作ってくれ」と言ったわけではないのです。
枝廣 最初に森さんが言ったように、CSRにとって特に大事なのは「社会との対話」です。企業と社会の共創のためにも対話が必要です。その場合、社会のニーズを全て聞くのではなく、ある程度先見の明のある人なり企業なりが、先進的なものを社会に伝え、文化的な価値を見せるなど、社会をリードし、先が見えるようにしてあげる。そんな存在が求められていると思います。
森 『サステナブル』は、これからの企業に不可欠のキーワードになっていくと思います。
枝廣さま、樋口会長 本日はありがとうございました。