対談 【第1回】サステナビリティを考える
社会の要請に応えて改革を続けているから、持続可能(枝廣)
枝廣 私が2年前から「幸せ経済社会研究所」をつくって活動しているのは、経済の仕組みと社会の仕組み、それから幸せと、その関係がどうなっているのか、今世界中でその研究が始まっているので、それを日本にも伝えていきたいと思ったからです。また、日本からも発信できることがいっぱいあります。
例えば日本には老舗企業がたくさんあります。老舗企業とは、まさに「持続可能な企業」です。樋口会長が仰るように、社会の要請に応えて改革を続けているから、持続可能なのです。そういう知恵や、「もったいない」といった、持続可能な生き方をする知恵が、日本にはたくさんあるのです。
その中で、経済成長を続けざるを得ない社会の仕組み、経済の仕組みを変えて行くにはどうしたらいいかを、今いろんな人と議論を始めていますが、企業もただ成長すれば良いという時代ではないなあと思います。その辺り、樋口会長はどうお考えでしょうか。
樋口 企業というのは成長し続けなければならないと思います。幸せかどうかというのは物心両面どちらも大事です。「あなたは右の足と左の足とどちらが大事ですか」。「どちらも大事です」と言いますね。
物質的な面、これはお金になるでしょうけど、お金があったら幸せかというとそうでもないしね。心豊かに生きられず、友達もいなかったらつまらん。お金がいくらあっても寝たきりであれば幸せとは言えない。だから切り離して考えられるものではないでしょう。
企業の成長は、多くのお客様がその企業が作る商品なり、企業が行う事業を理解してもらい、喜んでもらえて初めて可能になります。そうでなかったら企業のエゴ、これは社会からノーサンキューと言われます。企業もそうだし、人間だってそうだと思います。